25 / 35
24、人の噂も七十五日
しおりを挟む
何だか大きな声を出したお陰か、私のもやもやした気持ちはすっかり無くなっていた。まさかフェリクス様から謝罪が欲しかった訳でもないのに、全く自分の気持ちなのに不思議である。
新しくお茶を沸かして持って行くと、フェリクス様と兄達がわいわいと話している。
「思い出した。私の周りでも顔を腫らした女性が居ましたよ」
「それ、私もですね。何か植物のかぶれかと思ってましたよ」
「ああ、私も思っていた。その後、自然と距離を開けられていて、すっかり忘れていたが……そうか、あれもそうだったのかも知れない」
……兄も女性関係は苦労しているらしい。私はそっと皆のカップにお茶を注ぐ。
「……ジェラルド殿は、妹君が私の従者をやるなど、反対されないのですか? 」
突然私の話題になり、えぇ……と声が漏れてしまった。その話は先程終わったと思っていたのに。兄はちら、と私を見た後、屈託無く笑った。
「……今回なんて防呪して頂きましたし、あの表情を隠す眼鏡も外して、髪の色も戻りました。貴方に会ってからの方が妹が妹らしく居られている、と私は思っています。薬師で無ければ王宮で上級侍女をしていたかも知れないと思えば、好きな仕事も出来ている今の方が随分と高待遇だなと思います」
「……兄様」
「しかも、森の一人歩きが二人歩きになれば生存率も上がるというものだ」
「……兄様? 」
「ですね。心配しなくて済むのがとても有り難いです」
「副団長まで!! 」
せっかくじんわりと感動しかけたと言うのに、二人は私を弄って笑っている。確かに弄られる原因は私にあるけれど。じとっと半目で睨んでも、兄には効かないらしい。フェリクス様はそんな私達が可笑しかったのか、小さく笑った。
「そう言われたら、私はここに来て本当に良かったと思えます」
「ええ、こちらこそ。魔物討伐の折りにはとても頼りにしております」
「ふふ、それは任せておいて損はないですよ」
一人剥れる私を放って、男達は親睦を深めるのだった。
次の日はいつもより遅く目が覚めた。昨日部屋に戻ったのが遅過ぎた。忙しい兄と副団長には回復薬と栄養剤を渡しておいたから心配な無い。フェリクス様はまたあの目で私を見ていたけど。
今日は樹木の魔法を使いこなす為に特訓する日だ。
私はいそいそと魔力回復薬を空間収納箱に入れる。その他に回復薬、毒消し、魔物避けや着替えも入っているけれど、一向に一杯になる気配が無い。
しかも鞄に手を入れると思った物が取り出せるという便利機能付きで、これに慣れてしまうと重い荷物は持てなくなりそうだ。勿論、人前ではバレない様に斜めがけの荷物入れも活用しているけれど、相手がフェリクス様だけの場合、荷物を減らせてとても助かる。
今日は厚手の綿シャツに一見スカートに見える幅の広いパンツにブーツにした。
昨日軽くしか食べていなかったので、とてもお腹が空いている。髪を三つ編みにして後ろで一つに丸めて整え、私は部屋を出た。
遅めのブランチはほぼ昼食の時間に近く、食堂はちらほら人が居て、皆食事やお茶をしている。
食堂は早朝から日暮れ後まで常に開いていて、交代制の騎士に対応している。夜番には注文すれば食堂を閉める時間にお弁当も作ってくれるので、至れり尽くせりだ。
それなのに食べ損ねて調理場を借りてしまう辺り……もう少し今後は気をつけようと思う。
今日は特訓でぼろぼろになる予定なので、夜ご飯用のお弁当を作って貰う事にした。カウンターで食事を貰うついでに頼むのだ。
「すみません、お弁当を頼みたいのですが……」
「はいよ! 何だリサちゃん偉く別嬪になったじゃないか!! やっぱり彼氏が出来ると女の子ってのは綺麗になるもんだねぇ! 」
「いえ、彼氏は居ないのですが……。あの、お弁当……」
「はいよ! 仲良くデートだね! それ食べてる間に作っておくから! 見せつけてくれるねぇ! 」
「えーと……」
違う。かと言ってこの人は私の主人ですと言うのも違う気がする。かと言って雇い主と言っても、元々の雇い主は騎士団であるし説明が面倒だ。
「まあ、良いか」
私はおばちゃんに説明するのを諦めた。別に意地になって否定して説明する事でもない。その内噂を聞いたら勘違いも無くなるだろう。
「『まあ、良いか』では無いと思うが」
後ろから付いて来たフェリクス様は不満気な声を出した。
「きっと勘違いは無くなって行きますよ。フェリクス様も七十五日過ぎる頃には新しく彼女がいるかも知れませんし」
「何故そうなる」
「……多分今日の朝、あの事で朝礼があったと思うんです」
「それは分かるが、それと俺の恋人の話と何処で繋がるんだ? 」
周りを見れば、いつもより色めき立って熱い視線を向けて来る女性達が目に入る。
「呪うくらいなら、告白しろと言ったのが、多分曲解されてます」
フェリクス様もそれとなく周りを見回した。あちこちできゃーっと歓声が上がって、素早く正面に顔を戻した。その表情は……完全な無だった。そのまま席に座ると、大きな溜め息を吐く。
「……浮き足立てとは言っていない」
「言葉って難しいですよね。兄や副団長の身が心配です……」
「目の前の俺を心配して欲しいんだが」
「こう、他者を跳ね除ける防御壁とか無いんですか? 」
「無茶を言うな、常に張ってたらその内倒れるぞ」
「張れるんですね」
それで行けそうな……あ、倒れられたら駄目だった。私の役目はそこにあるのだ。彼曰く『秘術』を露見する訳には行かない。
「……フェリクス様、人の噂も七十五日。浮き足立つ人達も放っておけば落ち着きますよ。それまで頑張りましょうね」
どうせ何か言われるのは私だろうから、フェリクス様は大丈夫だと思う。私もちょっと心持ちが強くなって来たから、何か言われてもきっと平気だ。
皆が浮かれ過ぎて七十五日でまじない禁止まで忘れられたら困るけれど。
噂の渦中の彼はちらりと視線を移して何かを見つつ、
「……お互い様にな」
と、呟く様に返事をした。
その後、鍛錬場の大岩の前に来ると、先に訓練していた魔導師達が、波が引く様に居なくなった。
「……何だか、避けられてますね」
「昨日の事は魔導師が起こした不祥事だからな。その被害者だと思えば、距離を置きたくもなるだろう」
「そうですか……けどせっかく空いたので、思い切り練習しましょう! 」
「リサ、切り替え早いと言われるだろう? 」
切り替えが早ければ地味な振りをしていなかったと思う。けれど、最近噂されるのを気にしなくなって来た気もする。フェリクス様のお世話で考える暇が無いのかも知れない。はらはらすることの方が多いけれど、良い事だろう。
私は早速練習を開始した。魔力を走らせ、種や根を探して魔力を注入する。途端に太く育った根を、土の中から目の前に立ち上げた。
後は強度としなりを上げて、ひたすら打ち込む。これが難しい。下手に遅いと只の棒だ。これはこれでそれなりに使えるかもしれないけれど、目指すは魔物を跳ね除ける鞭なのだ。
「……フェリクス様、手本をお願いします」
「良いだろう」
フェリクス様はあっという間に大きな蔦を生やすと、岩に向かって打ち付けた。びしぃ! と音が鳴り、岩の表面がぱらぱらと剥がれ落ちる。
「これをやってみろ」
「岩が剥がれるとか無理です」
「別に割った訳では無いのだから、難しい事を言っていない。やれ」
「くぅっ……」
やはり彼は鬼か悪魔なのだろうか? そんな力があれば私は今頃魔導師になっている。
それでも魔力回復薬を飲みつつがむしゃらにやった結果、私が何とか形に出来た時には、日は落ち、辺りはとっぷりと暗くなっていた頃だった。
新しくお茶を沸かして持って行くと、フェリクス様と兄達がわいわいと話している。
「思い出した。私の周りでも顔を腫らした女性が居ましたよ」
「それ、私もですね。何か植物のかぶれかと思ってましたよ」
「ああ、私も思っていた。その後、自然と距離を開けられていて、すっかり忘れていたが……そうか、あれもそうだったのかも知れない」
……兄も女性関係は苦労しているらしい。私はそっと皆のカップにお茶を注ぐ。
「……ジェラルド殿は、妹君が私の従者をやるなど、反対されないのですか? 」
突然私の話題になり、えぇ……と声が漏れてしまった。その話は先程終わったと思っていたのに。兄はちら、と私を見た後、屈託無く笑った。
「……今回なんて防呪して頂きましたし、あの表情を隠す眼鏡も外して、髪の色も戻りました。貴方に会ってからの方が妹が妹らしく居られている、と私は思っています。薬師で無ければ王宮で上級侍女をしていたかも知れないと思えば、好きな仕事も出来ている今の方が随分と高待遇だなと思います」
「……兄様」
「しかも、森の一人歩きが二人歩きになれば生存率も上がるというものだ」
「……兄様? 」
「ですね。心配しなくて済むのがとても有り難いです」
「副団長まで!! 」
せっかくじんわりと感動しかけたと言うのに、二人は私を弄って笑っている。確かに弄られる原因は私にあるけれど。じとっと半目で睨んでも、兄には効かないらしい。フェリクス様はそんな私達が可笑しかったのか、小さく笑った。
「そう言われたら、私はここに来て本当に良かったと思えます」
「ええ、こちらこそ。魔物討伐の折りにはとても頼りにしております」
「ふふ、それは任せておいて損はないですよ」
一人剥れる私を放って、男達は親睦を深めるのだった。
次の日はいつもより遅く目が覚めた。昨日部屋に戻ったのが遅過ぎた。忙しい兄と副団長には回復薬と栄養剤を渡しておいたから心配な無い。フェリクス様はまたあの目で私を見ていたけど。
今日は樹木の魔法を使いこなす為に特訓する日だ。
私はいそいそと魔力回復薬を空間収納箱に入れる。その他に回復薬、毒消し、魔物避けや着替えも入っているけれど、一向に一杯になる気配が無い。
しかも鞄に手を入れると思った物が取り出せるという便利機能付きで、これに慣れてしまうと重い荷物は持てなくなりそうだ。勿論、人前ではバレない様に斜めがけの荷物入れも活用しているけれど、相手がフェリクス様だけの場合、荷物を減らせてとても助かる。
今日は厚手の綿シャツに一見スカートに見える幅の広いパンツにブーツにした。
昨日軽くしか食べていなかったので、とてもお腹が空いている。髪を三つ編みにして後ろで一つに丸めて整え、私は部屋を出た。
遅めのブランチはほぼ昼食の時間に近く、食堂はちらほら人が居て、皆食事やお茶をしている。
食堂は早朝から日暮れ後まで常に開いていて、交代制の騎士に対応している。夜番には注文すれば食堂を閉める時間にお弁当も作ってくれるので、至れり尽くせりだ。
それなのに食べ損ねて調理場を借りてしまう辺り……もう少し今後は気をつけようと思う。
今日は特訓でぼろぼろになる予定なので、夜ご飯用のお弁当を作って貰う事にした。カウンターで食事を貰うついでに頼むのだ。
「すみません、お弁当を頼みたいのですが……」
「はいよ! 何だリサちゃん偉く別嬪になったじゃないか!! やっぱり彼氏が出来ると女の子ってのは綺麗になるもんだねぇ! 」
「いえ、彼氏は居ないのですが……。あの、お弁当……」
「はいよ! 仲良くデートだね! それ食べてる間に作っておくから! 見せつけてくれるねぇ! 」
「えーと……」
違う。かと言ってこの人は私の主人ですと言うのも違う気がする。かと言って雇い主と言っても、元々の雇い主は騎士団であるし説明が面倒だ。
「まあ、良いか」
私はおばちゃんに説明するのを諦めた。別に意地になって否定して説明する事でもない。その内噂を聞いたら勘違いも無くなるだろう。
「『まあ、良いか』では無いと思うが」
後ろから付いて来たフェリクス様は不満気な声を出した。
「きっと勘違いは無くなって行きますよ。フェリクス様も七十五日過ぎる頃には新しく彼女がいるかも知れませんし」
「何故そうなる」
「……多分今日の朝、あの事で朝礼があったと思うんです」
「それは分かるが、それと俺の恋人の話と何処で繋がるんだ? 」
周りを見れば、いつもより色めき立って熱い視線を向けて来る女性達が目に入る。
「呪うくらいなら、告白しろと言ったのが、多分曲解されてます」
フェリクス様もそれとなく周りを見回した。あちこちできゃーっと歓声が上がって、素早く正面に顔を戻した。その表情は……完全な無だった。そのまま席に座ると、大きな溜め息を吐く。
「……浮き足立てとは言っていない」
「言葉って難しいですよね。兄や副団長の身が心配です……」
「目の前の俺を心配して欲しいんだが」
「こう、他者を跳ね除ける防御壁とか無いんですか? 」
「無茶を言うな、常に張ってたらその内倒れるぞ」
「張れるんですね」
それで行けそうな……あ、倒れられたら駄目だった。私の役目はそこにあるのだ。彼曰く『秘術』を露見する訳には行かない。
「……フェリクス様、人の噂も七十五日。浮き足立つ人達も放っておけば落ち着きますよ。それまで頑張りましょうね」
どうせ何か言われるのは私だろうから、フェリクス様は大丈夫だと思う。私もちょっと心持ちが強くなって来たから、何か言われてもきっと平気だ。
皆が浮かれ過ぎて七十五日でまじない禁止まで忘れられたら困るけれど。
噂の渦中の彼はちらりと視線を移して何かを見つつ、
「……お互い様にな」
と、呟く様に返事をした。
その後、鍛錬場の大岩の前に来ると、先に訓練していた魔導師達が、波が引く様に居なくなった。
「……何だか、避けられてますね」
「昨日の事は魔導師が起こした不祥事だからな。その被害者だと思えば、距離を置きたくもなるだろう」
「そうですか……けどせっかく空いたので、思い切り練習しましょう! 」
「リサ、切り替え早いと言われるだろう? 」
切り替えが早ければ地味な振りをしていなかったと思う。けれど、最近噂されるのを気にしなくなって来た気もする。フェリクス様のお世話で考える暇が無いのかも知れない。はらはらすることの方が多いけれど、良い事だろう。
私は早速練習を開始した。魔力を走らせ、種や根を探して魔力を注入する。途端に太く育った根を、土の中から目の前に立ち上げた。
後は強度としなりを上げて、ひたすら打ち込む。これが難しい。下手に遅いと只の棒だ。これはこれでそれなりに使えるかもしれないけれど、目指すは魔物を跳ね除ける鞭なのだ。
「……フェリクス様、手本をお願いします」
「良いだろう」
フェリクス様はあっという間に大きな蔦を生やすと、岩に向かって打ち付けた。びしぃ! と音が鳴り、岩の表面がぱらぱらと剥がれ落ちる。
「これをやってみろ」
「岩が剥がれるとか無理です」
「別に割った訳では無いのだから、難しい事を言っていない。やれ」
「くぅっ……」
やはり彼は鬼か悪魔なのだろうか? そんな力があれば私は今頃魔導師になっている。
それでも魔力回復薬を飲みつつがむしゃらにやった結果、私が何とか形に出来た時には、日は落ち、辺りはとっぷりと暗くなっていた頃だった。
2
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
(完結)お荷物聖女と言われ追放されましたが、真のお荷物は追放した王太子達だったようです
しまうま弁当
恋愛
伯爵令嬢のアニア・パルシスは婚約者であるバイル王太子に突然婚約破棄を宣言されてしまうのでした。
さらにはアニアの心の拠り所である、聖女の地位まで奪われてしまうのでした。
訳が分からないアニアはバイルに婚約破棄の理由を尋ねましたが、ひどい言葉を浴びせつけられるのでした。
「アニア!お前が聖女だから仕方なく婚約してただけだ。そうでなけりゃ誰がお前みたいな年増女と婚約なんかするか!!」と。
アニアの弁明を一切聞かずに、バイル王太子はアニアをお荷物聖女と決めつけて婚約破棄と追放をさっさと決めてしまうのでした。
挙句の果てにリゼラとのイチャイチャぶりをアニアに見せつけるのでした。
アニアは妹のリゼラに助けを求めましたが、リゼラからはとんでもない言葉が返ってきたのでした。
リゼラこそがアニアの追放を企てた首謀者だったのでした。
アニアはリゼラの自分への悪意を目の当たりにして愕然しますが、リゼラは大喜びでアニアの追放を見送るのでした。
信じていた人達に裏切られたアニアは、絶望して当てもなく宿屋生活を始めるのでした。
そんな時運命を変える人物に再会するのでした。
それはかつて同じクラスで一緒に学んでいた学友のクライン・ユーゲントでした。
一方のバイル王太子達はアニアの追放を喜んでいましたが、すぐにアニアがどれほどの貢献をしていたかを目の当たりにして自分達こそがお荷物であることを思い知らされるのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全25話執筆済み 完結しました
冷遇されている令嬢に転生したけど図太く生きていたら聖女に成り上がりました
富士山のぼり
恋愛
何処にでもいる普通のOLである私は事故にあって異世界に転生した。
転生先は入り婿の駄目な父親と後妻である母とその娘にいびられている令嬢だった。
でも現代日本育ちの図太い神経で平然と生きていたらいつの間にか聖女と呼ばれるようになっていた。
別にそんな事望んでなかったんだけど……。
「そんな口の利き方を私にしていいと思っている訳? 後悔するわよ。」
「下らない事はいい加減にしなさい。後悔する事になるのはあなたよ。」
強気で物事にあまり動じない系女子の異世界転生話。
※小説家になろうの方にも掲載しています。あちらが修正版です。
完璧すぎると言われ婚約破棄された令嬢、冷徹公爵と白い結婚したら選ばれ続けました
鷹 綾
恋愛
「君は完璧すぎて、可愛げがない」
その理不尽な理由で、王都の名門令嬢エリーカは婚約を破棄された。
努力も実績も、すべてを否定された――はずだった。
だが彼女は、嘆かなかった。
なぜなら婚約破棄は、自由の始まりだったから。
行き場を失ったエリーカを迎え入れたのは、
“冷徹”と噂される隣国の公爵アンクレイブ。
条件はただ一つ――白い結婚。
感情を交えない、合理的な契約。
それが最善のはずだった。
しかし、エリーカの有能さは次第に国を変え、
彼女自身もまた「役割」ではなく「選択」で生きるようになる。
気づけば、冷徹だった公爵は彼女を誰よりも尊重し、
誰よりも守り、誰よりも――選び続けていた。
一方、彼女を捨てた元婚約者と王都は、
エリーカを失ったことで、静かに崩れていく。
婚約破棄ざまぁ×白い結婚×溺愛。
完璧すぎる令嬢が、“選ばれる側”から“選ぶ側”へ。
これは、復讐ではなく、
選ばれ続ける未来を手に入れた物語。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる