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坊ちゃんと私の日常(であれ)
しおりを挟むええ。私が油断していたんです。私が悪いんです。
いやだって、まさか森の中で炎系の魔法ぶっ放すとか思いもしなかったものですからね。
私の監督不行き届きといいますか、森で炎系魔法はダメだぞ☆とか教えなきゃいけなかったんですね、どうもすみません。
「冒険者を助け出したのは偉い。よくやった」
「「はい」」
「しかし、いくら黒の森とはいえ森の中で炎系の魔法を放ったらどうなると思う?」
「燃えます……」
「ん?聞こえない」
「森が!燃えます!!」
「そうだな。森が燃えて下手をすれば街まで広がるどころか、他領へ広がっていたかも知れないな??それどころか魔物が森から溢れた可能性もある」
「「はい……」」
今、私と坊ちゃんは執務室にて御館様から叱責を受けています。
あの後、坊ちゃんが核へ向かって炎系魔法を放ち、魔法は核を打ち抜き空へ向かい、盛大に爆発して霧散。その後私に突っ込まれた坊ちゃんが火事を恐れて広範囲に水魔法を展開して、周囲は土砂降りの阿鼻叫喚な事態に。
そこへ伝令を受け取った御館様と騎士団。そしてギルドから冒険者が来て、事態を収集してことなきを得たのに……
「今回は空へ向けたから良かったものの……」
「面目ございません」
「レナは学園に行くまで給金3割カット」
「ひっ!!」
「テオンは大嫌いな筋トレを毎朝課す」
「えぇっ!」
「何か文句があるのか?」
「ありません……」
ううっ!御館様の迫力には敵わないっ!
それにしても最悪なことに給金が!私の命より大事なお給金がカットに!!
やっぱり坊ちゃんの物語イベントに参加すると碌なことがないっ!!
肩を落としつつ、私は坊ちゃんを連れて執務室を後にした。
「レナ」
「なんですか」
「そんな落ち込まないで。僕が悪かったよ」
優しい坊ちゃん。貴方のせいでもあるけど貴方のせいだけじゃない。
「ありがとうございます。けれど、きちんと指導しなかった私が悪いのです……」
「給金カットがそんなに悲しいの?」
「まあ……ええ、そうですが大丈夫です」
「僕のお小遣いを分けようか?」
「ありがとうございます。けれどそれをしたら私はここにはいられません。矜持に関わります。まだここへいたいので、お気持ちだけで」
「お金大好きなくせに、変に頑固なんだよなぁ」
「恐縮です」
「褒めてないんだけど」
そう言ってへへっと笑う坊ちゃんに釣られて私も口角が上がってしまう。
やっぱり坊ちゃんは万人に愛される主人公。破天荒でもどこか憎めないのは何かの属性?
今回はイベントだと調子に乗った罰として受け止めることにした。
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