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私の休日
しおりを挟むエイル様のお誕生日が間近に迫りつつある本日。
私は坊ちゃんの侍女とはいえ、ちゃんと週2日休みを貰っている。貴重な休みだけれど、今は1人寂しく黒の森に来ている。
カトリーヌ様に拾われ、侯爵家に来た時。
そこらの貧乏娘にみんな良くしてくれ、挙句に素性も分からないのに召し抱えるというもんだから、その頃圧倒的な人間不信だった私は、兎に角自分に有利な契約書を作成して貰った。
週2日休みに、細々とした休憩。給金のことはさることながら、1番はー
「副業オッケーでありがたいわ」
元々冒険者登録をしていた手前。折角魔物蔓延る黒の森の近くに住むんだから、冒険者を辞めるなんてそんな勿体ないことは出来ない。
もし侍女を辞めても、職はあった方が良いしランクを考えても失くすのは惜しい。
給金3割カットの現状で、エイル様の誕生日プレゼントを買うなら、元手は少しでも多い方がいい。
早速入り口付近へ向かうと、顔見知りの警備兵に出会った。
「おー!レナ嬢。この前は面白かったって聞いたぜ?」
「面白いわけないでしょう。警備兵があんな体たらくでどうするつもりです?」
「いやいや、俺らは伝令が主なんだから勘弁してくれよ。そもそもあの日非番だったし」
「貴方がいたら少しはマシだったでしょうけど。まあ、1番は怪我しないことですから、お互い気をつけましょう」
「おーお褒めに預かり光栄だ」
軽口を挟む彼を尻目に、私は黒の森へ入って行く。
黒の森の名前は、魔力溜まりを中心に木々が黒ずんでいくからだ。大体は硬質化するが一部は魔物になる。木の魔物は擬態力が高く中々厄介だが、あまり森の出口付近には現れないのが救いだ。
さて。今日はどんな獲物が出るのか。
黒の森では包囲磁石が効かないので、日がある内に入り、木の上から太陽の位置を確認して日が沈むまでに出るのが鉄則。
森は常に様相を変えるから、地図も作れない。
まあ、深部まで行かなければ魔物は雑魚で済むので、冒険者の程度によって探索範囲は決まってはいるから、そこまで心配しなくても良いけれど。
不意に冷たい風が吹き抜ける。春先とはいえ、まだまだ木枯らしが吹いて体を冷やしていく。
魔物の活動期にはまだ早いけど、なるべく高く売れるものが良い。それから夕方出掛けるからちゃちゃっと出て欲しい。
あまりいい顔されないけど、深部まで行くべきかな?
とりあえず、全速力の為に脚を意識して走ることにした。
木々を抜けて深部を目指す。なんて格好つけているけど、単に入り口から反対方向へ真っ直ぐ向かって走っているだけ。
暫く駆け抜けても影すら見えない。今日はどうも黒の森が静かだ。
もしかしたら最悪何も見つからないかも知れない。
他の冒険者が小物を狩る中を静かに追い抜き、いつもよりかなり奥へ来たと思う。
ここまで来れば流石に誰もいない。
木々の背丈は一層高くなり、日が入らず辺りは薄暗い。その中で、ふと光が反射した気がして、そこを目当てにまた駆け出した。
見つけたのは小さな泉だった。
黒の森には不似合いな、おかしな程澄み切った泉だ。
そこで私は痛感する。
これ、坊ちゃんが来なきゃいけない場所なんじゃない??
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