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誕生日パーティーの私(?)
しおりを挟む誕生日パーティーには接する領地からの招待客や、街の摂生官や各所お偉方がホールへ集まり、侍女侍従は待機室で飲み食い出来るようになっていて、皆交代で仕事に出る。
おかしい、私もそっちにいた筈なのに……
招待客の中でも、1番面倒な相手にパーティー会場に入った途端に捕まるとはなんたる不覚。
「何故あなたが堂々とこのホールにいるのかってこの私が問うてますのよ?早くお答えになって?」
目の前には私より頭1つ分小さいのにキャンキャン吠える……ではなく、黒髪をくるんと巻いたレディが腰に両手を当ててふんぞり返っている。
エイル様、坊ちゃんの従姉妹のエリザベス嬢。御年12歳。御館様の弟君の大事な1人娘である。
普段はカーベニオン領地の端、川辺の地域を管理していて、夏は避暑としてよく遊びに行っていたのだが……どうしてこんなにこまっしゃくれたのか。
「ですから、私は坊ちゃんの侍女としてですね」
「侍女って言っても、あなた本来ならメイドの身分でしょう、何なのよこのきっ…気合いの入ったドレスは?!」
「奥様のお若い頃のドレスを拝借致しました」
「ずるっ……なんて分布相応なドレスをっ!あなた、どんな手を使いましたの?!」
「はいはい、エリー。そこまで。困らせちゃダメだろう?」
白熱するエリザベス嬢の口をむぎゅっと手で押さえ込んだのは、父親のリズモンド様。御館様とは違って、明るい茶色の髪をした柔和な方だ。もう少し早く止めて欲しいところではあるけれど。
「ごめんなさいね、レナ。この子ったら、学園に通いだしてから変にかぶれてしまったのよ」
そう言いながらくすくすと笑うのは薄い水色のドレスを身に纏ったリズモンド様の奥様であるエスカリーナ様。私の奥様にも負けず劣らずの美人である。
「そうですよね、都会の貴族も沢山通ってますし」
「この年頃って、つんつんしてるのがかっこいい!なんてほら、そんな時期なのよ」
「昔はあんなに素直で一緒に鬼ごっこしたりシャボン玉飛ばしたりお可愛かったですのに……」
「早く正気に戻って欲しいわぁ」
「むがっ!お母様!そうゆーことは私のいないところでお話しになって!」
リズモンド様から逃れて、顔を真っ赤にして抗議するエリザベス嬢。自覚あったんかい。1番恥ずかしいのでやめましょうね?
争って(?)いる内に全員ホールへと入り、続いてかカーベニオンご家族。それから本日の主役、エイル様が入場すると、会場はわっとざわめいた。
エイル様のなんと堂々としたお姿よ。まるで絵本の王子様のよう。
白地に青をふんだんに使った装飾は、テオン坊ちゃんもお揃いではあるけれど、私ともお揃いなんですがどういうことですか奥様?!
「あなた…ついにやりましたわね?!」
横ではエリザベス嬢がキーキー言ってるけど、
「やられたのは私なんですが?!」
「まあ!なんたる不遜な態度!これは懲らしめてやりませんと!」
「良いでしょう。勝負しますか?石飛ばし?的当て?かけっこ?どれも私が勝ちます」
「何で全部子供のお遊びなのよ!」
「親戚の子って小さいままの記憶で止まってません?」
「私はあなたの親戚じゃないのよ?!」
おっと、ついつい。からかい甲斐があるのは今も健在のようで一安心。
「良いでしょう。学園に通っている私の実力、見せつけてあげます」
学園……
「それでしたら学園の成績で勝負いたしましょうか?」
「何を言ってるのかしら?あなた学園に入ってないじゃない」
「テオン坊ちゃんが編入することになりましたので、私も来期から通うんです」
「なんですって?!」
あまりの大声に、周囲の人達がこちらをチラチラと見る。そのざわめきの中、エリザベス嬢がぽつりと、
「……折角エイル様を独占していたのに……」
なんて言ってるの、私が聞こえないとでも?
エリザベス嬢、テオン坊ちゃんのハーレム要員じゃなかったのか~!従姉妹なんて絶対フラグ立ってると思ったのに、エイル様狙いだったのね?
「この勝負、負けられないですね」
「たかが侍女の分際で私の成績に勝てるとでも?完膚なきまでに叩きのめしてあげるわ!」
「はい、エリー。その言葉使いはやめましょうね?」
そうして、エリザベス嬢はエスカリーナ様に引きずられてカーベニオンご夫妻のところへ行ってしまった。
さて、私も坊ちゃんの面倒を見ないとね。
あれだけ魔力があるので、見つけるのは簡単。むむ、坊ちゃんたら挨拶もそこそこに外に出たわね?!大方、子フェンリルのフェンと遊ぼうとしてるんでしょうけれど。
ご飯食べたいのになぁ。
しかし侍女として、付き添わないと。仕方ない。
私は挨拶で混雑している人々の間を縫って、庭に出ることにした。
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