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坊ちゃんと私の学園生活④
しおりを挟む学園生活が始まり、坊ちゃんの体験授業は続いている。
坊ちゃんに実技は無用な気もするけれど、城から出たことのない坊ちゃんにとって、全てが真新しいのか楽しそうなので、全部受けるなんて言い出さないか今からヒヤヒヤもの。
もしそんなことを言われても、私は黙って付いていくだけなんだけれど、1つだけ避けてくれたら嬉しい教科がある。
「初めましての方がいますので、改めて自己紹介をしておきます。私が魔法陣工学を担当するクラーク・マリアンです」
そう。目下教壇に立つ変態教師ことクラーク教授の授業。
彼女は相変わらず長いローブを纏い、側からは変態教師だとは微塵も感じさせない。こうしてみるとちゃんと教授としての威厳もあるように見える。
ただ、私を睨んでいるのは相変わらずだけれど。
「初めての方がいるとはいえ、授業は復習しません。魔法陣とは生活の中では切っても切れないものです。何故なのか代表的な例をあげて貰いましょう。カーベニオン君?」
「はい。魔法陣とは霧散してしまう魔力を固定する為に使います。固定魔法や魔道具など、私達の生活の中で必要不可欠な術です」
坊ちゃん、よく出来ました!
すると、クラーク教授がニヤリと笑いかける。
なんだか嫌な感じ。
「宜しい。では、魔法陣とはどのようにして霧散する魔力を固定しているのでしょうか?レナさん?」
「魔法陣は図形や呪文に強制力を与えて固定させますが、大切なのはその物質に魔力で刻むということです。金属なら土魔法で。水には水魔法で。そこにある物質を作動するように書き換える力こそが魔力固定の要となります」
これってもう習ってる内容なのかしら?
いくら私がこの中で1番年上だとしても、初めてでこんな質問なんて随分と目の敵にされたようね。
「……上出来です。魔法陣は魔力で綴らなければならない上に、その物質と相性の良い魔力でなければなりません。一般的な魔道具はそこまで拘る必要はありませんが、魔道具研究には土魔法の方が有利だったりします」
何とか大丈夫だったみたいだけど、この授業だと毎回当てられそうで面倒ね……
頭が痛い思いをしていると、くるくるとした赤髪の女の子が手を上げた。
「土に火魔法を刻む時も土魔法ということですよね?」
「はい。例えば罠として火魔法を固定したい時は、土の魔力で火魔法の図形を刻みます」
「混乱するぅ」「土魔法が有利ってのがズルいよ」なんて教室内がざわつくけど、確かに火魔法なら火属性の魔力を使いたいわよね。
「勿論、別魔力で刻んでも効果はあります。が、定着力が弱まるので使い捨てになります。これがスクロールなどに用いられてますね」
スクロールは一度切りの魔法が使える便利グッズ。
属性が少ない冒険者などは回復のスクロールや、いざという時の攻撃魔法をスクロールで持っていたりする。かなり高額だけれど。
「スクロールや、魔道具。魔法陣はあらゆるところで活躍しています。これらは魔法発動や魔道具作りの魔導工学にも大事な知識ですので、魔道工学を受講したい方は魔法陣工学をきっちり習得しておくと良いでしょう」
魔道具制作はかなりの修練が必要と聞いたけど、需要が高いし良い稼ぎになりそう。
けど、教師がなぁ……
「レナ」
私の方へ顔を寄せて、小声で話しかける坊ちゃん。
嫌な予感しかしない。
「僕、魔法陣工学受けてみようかなぁ」
「……止めたい所は山々なんですが」
「え、クラーク教授の教え方はとても分かりやすくて良さそうだよ?」
「稼げる内容ゆえにお止め出来ないのが悔しいです」
「レナはいつも侍女をやめるような言い方をするよね…」
「人生何があるか分からないですから」
「妙に達観してるんよなぁ」
「坊ちゃんの横にいれば誰だってそうなります」
「いや、レナの性格だよね?!」
「そこ!私語を慎みなさい!」
坊ちゃんの声が大きいからバレてしまったではないですか!
「申し訳ありません」
「2人は後で準備室へ来て下さい」
無駄に接点が出来てしまった……やはりハーレムは逃れられないのかしら。
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