前世の記憶持ちの私は、異世界で王女として生きていく?!

禕餓邏祀

文字の大きさ
5 / 18

街にて

しおりを挟む
城下町。多くの人々が行き交い、いつの時間でも賑やかで笑顔が溢れている場所。

そこを私は、一人で歩いていた。
決して家族と離れた訳ではない。
父様とゼル兄様は先に城へ帰るらしく、30分ほど前に馬車に乗って行かれた。
ハイル兄様は、折角だからとギルドへ行って鍛錬されるそうだ。
リオンは、最初は着いてきていたのだが、人混みに酔った様で強制帰還となった。

まぁ、護衛も居るし大丈夫だろう。
そんな安直な考えでいたのが数分前。
何故こんなことを言っているかというと、はぐれたのだ。護衛と。
つまり、今は本当に一人。

きっと迷惑をかけているだろうけど、私はなかなか無い自由を満喫する為どんどん進んでいく。
誕生日に欲しい物をくださるらしいからいろいろと見て回っているのだけれど、これというものが無い。

「うーん。どうしましょう。」

つい、言葉を漏らしてしまう。

「そこの道行くお嬢さん、困っているのであればこの僕が助けてあげよう。何か探しものかな?」

目の前に茶髪の男が現れる。
喋り方からしてナルシストっぽい人だ。
まぁ、確かに顔は整っている。
自分に自信があることもいい事だろう。ありすぎはいけないと思うが、
ここは、やんわり断っておこう。

「いえ、大丈夫です。特に探している物はないので、少し歩いていただけですし。」

「ふむ。なら今からボクとお茶を飲みに、なんてどうだろう?」

「ありがたいお誘いですが、遠慮させていただきます」

すると、男は断った私に腹が立ったのか癇癪を起こし始める。

「君!この僕が誘っているのにさっきから何だその態度は!名を申せ!そして、黙って僕に従え!護衛も雇えぬただの貴族の娘が!」

うん。殺ってもいいですか?
いいよね?
はい、殺りマース。

元々私は前世からこういった男が大嫌いなのだ。
そう思いながら鉄拳をお見舞いしてやろうと拳を握る。

よし!

そうして私が、殴る体勢に入ろうと思ったその時、視界が暗くなった。
不思議に思い前を見ると男が立っている。
ナルシストくんではない。
知らない人だ。

「失礼。そこの男の物言いに少し腹が立ったもので乱入させていただきます。」

そう言って男は、ナルシストくんを殴った。
もう一度言う。殴ったのだ。

「うぎゃ!」

汚い声が聞こえたが、それ以前に何故無関係の人がおそらく見ず知らずの私の前に立ち、おそらく他人であるナルシストくんを殴ったのか。

「え?」

疑問は尽きないが、今度はその男に腕を引っ張られる。
そして、人混みの中心から抜け出し、路地裏へと入った。
いつの間にか野次馬が多く集まっていたんだなと客観的に考えていると、男が口を開いた。

「何故、一人でいたんだ?危ないとは考えなかったのか?」

「え?あの、えっと?………そ、そうですね、危ないことだと思います。」

いきなりの男からの質問?説教?に戸惑いながらも返答する。
すると、男はしまったという顔をして口を開く。

「すまない。一方な話し方では先ほどの男と変わらないな。俺の名前は、ミゼル・ヨデンという。ヨデン公爵家の次男だ。それで、君は?」

「わ、私は、アマリヤ…」

と、ここまで言って話すのをやめる。
この行為はとても失礼な事だと分かっているのだが、自分が王女だと言ってしまってもいいものか悩む。
うーん。でも、相手がきちんと身分を教えてくださったのだし、ここは私もちゃんと言うべきだろう。

「アマリヤ・ジルシフ・サニリーナと申します。この度は、助けて頂きありがとうございました。ミゼル様。」

そう言ってから頭を下げる。
これで先ほどの非礼も詫びれたらいいのだけれど。
いや、この考えはかなりおこがましいわね。
気持ちを整理して頭を上げる。

「………。」

視界には固まったミゼル様。
私は何かやらかしてしまったのだろうか?
いや、やらかしていた。
やはり、先ほどの非礼に怒っていらっしゃる!
ああ、ど、どうしましょう!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

異世界召喚されました。親友は第一王子に惚れられて、ぽっちゃりな私は聖女として精霊王とイケメン達に愛される!?〜聖女の座は親友に譲ります〜

あいみ
恋愛
ーーーグランロッド国に召喚されてしまった|心音《ことね》と|友愛《ゆあ》。 イケメン王子カイザーに見初められた友愛は王宮で贅沢三昧。 一方心音は、一人寂しく部屋に閉じ込められる!? 天と地ほどの差の扱い。無下にされ笑われ蔑まれた心音はなんと精霊王シェイドの加護を受けていると判明。 だがしかし。カイザーは美しく可憐な友愛こそが本物の聖女だと言い張る。 心音は聖女の座に興味はなくシェイドの力をフル活用して、異世界で始まるのはぐうたら生活。 ぽっちゃり女子×イケメン多数 悪女×クズ男 物語が今……始まる

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

落ちこぼれ村娘、拾った王子に溺愛される。

いっぺいちゃん
恋愛
辺境の村で育った元気娘 ミレイ。 ある日、森で倒れていた金髪の青年を助けるが、 実は彼は国一の人気者 完璧王子レオン だった。 だがレオンは外に出ると人格がゆるみ、 王宮で見せる完璧さは作ったキャラだった。 ミレイにだけ本音を見せるようになり、 彼は彼女に依存気味に溺愛してくる。 しかしレオンの完璧さには、 王宫の闇に関わる秘密があって—— ミレイはレオンの仮面を剥がしながら、 彼を救う本当の王子に導いていく。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。 ※この作品は「小説家になろう」でも同時投稿しています。

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこからいろいろな人に愛されていく。 作者のキムチ鍋です! 不定期で投稿していきます‼️ 19時投稿です‼️

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...