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一章:人狼チュートリアル
5話:自己紹介 BY 幼馴染
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牙王の説明が終わり、解散の流れとなったが、
古里太は女子たちに提案して、
そのまま自己紹介をする運びに持っていく。
紹介の提案には、女子たちも全員賛成してくれた。
たしかに、これから生死を賭けたゲームをするというのに、
なし崩しでグダグダ進行するのでは、何か気持ちが悪い。
「じゃあまず、言い出しっぺで、ひとりしかいない男の、
ボクから自己紹介しよう」
古里太に女子たちの視線が集まる。
「ボクは古里太。伊木野古里太(いきの・こりた)。
苗字でも名前でも、自由に呼んでもらって構わない」
牙王がいた液晶画面と音楽も消えて、
無音になった玄関ホールに、彼の声が響き渡る。
「ここにひとりだけの男なんで、何かと話しにくいかとは思う。
でも、人狼を発見できなければ、残りはみんな処刑されるんだ。
だから、何か気づいたことがあれば、遠慮せず気軽に話して欲しい」
ごく平凡な自己紹介だが、最初はこれでいい。
女子たちがどういう態度に出るかによって、
だんだん色をつけていくのが良いだろう。
「処刑指名権を持ってるのはボクだけだから、
自分が人狼でない、無実だと証明したいなら、
ボクに情報を教えてくれないと分からない」
この一言は、古里太がよく考えを練ったものだ。
たとえばもし、「オレに逆らうと処刑するぞ! 従え!」と、
最初から高圧的で強権的な態度に出た場合、
女子に正面から反発されるか、または渋々従うものの、
内心では快く思っていない、という状況が生まれるかもしれない。
だが、この先に人狼の殺人と裁判が待ち受けているのだから、
情報を集められる体制になっていた方がゲーム上有利だろう。
だいたい、ゲームフィールドである、この館の部屋を全部調べる、
という基本的なことですら、ひとりでやりきるのは困難だ。
というのも、見取り図を見ると、二階建てで二十部屋以上ある。
一部屋一時間ざっと調べても、一日八時間で、三日かかる。
実際はさらに、二時間、三時間調べる必要があるかもしれない。
もし、何か見落としがあれば、それが人狼の推理と、
裁判の勝敗に直結してしまうかもしれない。
しかし一方、女子との会話から情報を引き出すこともやりたい。
だから、強権発動すれば逆らえないのだとしても、
自発的な協力が得られるに越したことはないのだ。
「処刑指名権」は「最後の切り札」であって、
濫用しない方が、ハーレムの主人側にとっても得になる。
そこで、「無実だと証明したいなら」という言い方なら、
抵抗が少なく協力しやすいのではないかと考えた次第だ。
「この先生きのこるためには、協力が必要なんだ。
だから、みんなボクに協力してくれ。以上」
古里太は、そう紹介を締めくくった。
そこに、つぶやき声が聞こえてくる。
「きのこる先生……」
「ニャワワンか」
あだ名で呼び合うふたり。
この変なあだ名を言った彼女は、
古里太とすでに知り合いだ。
「じゃあ、次の紹介はワンちゃん」
そう言って、彼女に次のバトンを渡す。
「ぼくは、日輪湾子(にわ・わんこ)ッス!
コリくんとは昔から幼なじみだったッス」
ボクッ娘の幼なじみ。それが湾子だ。
他の女子と同じ制服の黒セーラーを着ているが、
赤髪のポニーテールが、一目で分かるトレードマーク。
スポーツをしているので、身体の線は引き締まっている。
「通称、クレイジードッグ。運動全般が得意で、
筋が通らないなら、男子でもぶん殴って見せるッス!
脳筋? 男女(おとこおんな)? だから何ッス?
でも、学校の宿題とコイバナはカンベンっすよ」
ずいぶんくだけた自己紹介で、少し場の空気が和んだ。
幼なじみは体育会系の女。
ファンキーな女だが、義理堅いのは心強い。
「コリくんの言った通りの理由で、
ぼくはコリくんに協力するし、
みんなも協力して欲しいッス!
コリくんのような天才軍師でないと、
ぼくたち、つわものたちのリーダーは務まらないッス」
「天才」は大げさだが、湾子に頭脳を使うゲームで、
負けたことは過去にほとんどない。
逆に、運動で勝ったこともないが。
友好的な人間がひとりでもいるのは、
これからの人狼を戦う上で好材料だ。
古里太は、少しホッとした気分だった。
そもそも、この疑心暗鬼の状況にあっては、
お互い見知っている旧知の仲、というだけでも心強い。
ただし、それは彼女が人狼でなければの話だが……。
古里太は女子たちに提案して、
そのまま自己紹介をする運びに持っていく。
紹介の提案には、女子たちも全員賛成してくれた。
たしかに、これから生死を賭けたゲームをするというのに、
なし崩しでグダグダ進行するのでは、何か気持ちが悪い。
「じゃあまず、言い出しっぺで、ひとりしかいない男の、
ボクから自己紹介しよう」
古里太に女子たちの視線が集まる。
「ボクは古里太。伊木野古里太(いきの・こりた)。
苗字でも名前でも、自由に呼んでもらって構わない」
牙王がいた液晶画面と音楽も消えて、
無音になった玄関ホールに、彼の声が響き渡る。
「ここにひとりだけの男なんで、何かと話しにくいかとは思う。
でも、人狼を発見できなければ、残りはみんな処刑されるんだ。
だから、何か気づいたことがあれば、遠慮せず気軽に話して欲しい」
ごく平凡な自己紹介だが、最初はこれでいい。
女子たちがどういう態度に出るかによって、
だんだん色をつけていくのが良いだろう。
「処刑指名権を持ってるのはボクだけだから、
自分が人狼でない、無実だと証明したいなら、
ボクに情報を教えてくれないと分からない」
この一言は、古里太がよく考えを練ったものだ。
たとえばもし、「オレに逆らうと処刑するぞ! 従え!」と、
最初から高圧的で強権的な態度に出た場合、
女子に正面から反発されるか、または渋々従うものの、
内心では快く思っていない、という状況が生まれるかもしれない。
だが、この先に人狼の殺人と裁判が待ち受けているのだから、
情報を集められる体制になっていた方がゲーム上有利だろう。
だいたい、ゲームフィールドである、この館の部屋を全部調べる、
という基本的なことですら、ひとりでやりきるのは困難だ。
というのも、見取り図を見ると、二階建てで二十部屋以上ある。
一部屋一時間ざっと調べても、一日八時間で、三日かかる。
実際はさらに、二時間、三時間調べる必要があるかもしれない。
もし、何か見落としがあれば、それが人狼の推理と、
裁判の勝敗に直結してしまうかもしれない。
しかし一方、女子との会話から情報を引き出すこともやりたい。
だから、強権発動すれば逆らえないのだとしても、
自発的な協力が得られるに越したことはないのだ。
「処刑指名権」は「最後の切り札」であって、
濫用しない方が、ハーレムの主人側にとっても得になる。
そこで、「無実だと証明したいなら」という言い方なら、
抵抗が少なく協力しやすいのではないかと考えた次第だ。
「この先生きのこるためには、協力が必要なんだ。
だから、みんなボクに協力してくれ。以上」
古里太は、そう紹介を締めくくった。
そこに、つぶやき声が聞こえてくる。
「きのこる先生……」
「ニャワワンか」
あだ名で呼び合うふたり。
この変なあだ名を言った彼女は、
古里太とすでに知り合いだ。
「じゃあ、次の紹介はワンちゃん」
そう言って、彼女に次のバトンを渡す。
「ぼくは、日輪湾子(にわ・わんこ)ッス!
コリくんとは昔から幼なじみだったッス」
ボクッ娘の幼なじみ。それが湾子だ。
他の女子と同じ制服の黒セーラーを着ているが、
赤髪のポニーテールが、一目で分かるトレードマーク。
スポーツをしているので、身体の線は引き締まっている。
「通称、クレイジードッグ。運動全般が得意で、
筋が通らないなら、男子でもぶん殴って見せるッス!
脳筋? 男女(おとこおんな)? だから何ッス?
でも、学校の宿題とコイバナはカンベンっすよ」
ずいぶんくだけた自己紹介で、少し場の空気が和んだ。
幼なじみは体育会系の女。
ファンキーな女だが、義理堅いのは心強い。
「コリくんの言った通りの理由で、
ぼくはコリくんに協力するし、
みんなも協力して欲しいッス!
コリくんのような天才軍師でないと、
ぼくたち、つわものたちのリーダーは務まらないッス」
「天才」は大げさだが、湾子に頭脳を使うゲームで、
負けたことは過去にほとんどない。
逆に、運動で勝ったこともないが。
友好的な人間がひとりでもいるのは、
これからの人狼を戦う上で好材料だ。
古里太は、少しホッとした気分だった。
そもそも、この疑心暗鬼の状況にあっては、
お互い見知っている旧知の仲、というだけでも心強い。
ただし、それは彼女が人狼でなければの話だが……。
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