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第一章 自分探し
第12話 長い月日を経て
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【前回】外出する事になった
第12話 長い月日を経て
――外へ平和その物だった。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「あ、英雄様じゃないか!」
「っ、え?」
「あ、八百屋のおばちゃん! 久しぶり!」
「蓮燔君も久しぶり。怪我は? 具合はどうなんだい?」
「まぁ、初めは熱とか出てましたけど俺は大丈夫ですよ。」
「……お、おい。」
俺の記憶がない事を考慮して、少しぐらい説明してくれても良いんじゃないか?
蓮燔に連れられてやってきた、学園から近い所にある商店街。
商店街らしいといえばらしいのかもしれないが、この商店街はかなりの活気がよく目立つ。左右には沢山の店が立ち並び、アトラ魔法学園の他にも学校が幾つかあるのもあって、出掛ける前にお金の価値について再度確認した知識から見ると、かなり易いように思える。
その安さは食品に限らず、日用品や衣類。医薬品にも反映されているそうで、かなり良心的だと言えるだろう。
ただここは譲れないといった範囲に入るのか、魔法に関する品。又は魔法薬等を調合する為に必要な素材に関してはそれらと比べると高く見える為、そこはちょっと他とは違うのかもしれない。
「あぁ、そっか。奏、この人は俺達がいつも野菜を買う八百屋さんのおばちゃん。よく俺達の事を気に掛けてくれててさ、魔法は使えないけど料理、すっごく上手いんだ。」
「何だい今更自己紹介なんて……。もしかして、奏君の弟さん?」
「あぁいや、実は奏、記憶喪失でさ。原因も分からないみたいで、今は怪我の悪化にさえ気を付ければ普通に生活しても、体育の授業以外は出ても良い事になってさ。同室である事、元々仲が良い事から俺も学校を公欠扱いにしてもらって、奏がある程度生活に慣れるまで学校を休む事になってるんだ。」
「なんてこった、まさか……あれの所為かい?」
「あれ?」
「奏、俺達を守る為に製作途中の、未完成の大魔法を使ったんだ。魔力が足りなかったから大気中の魔力や使い魔の魔力、そして勿論自身の魔力も全て使い切って。で、結局お前が目を覚ましたのは昨日。……2か月も眠ってたんだ、お前は。」
2か月……。
そう考えれば確かに、これだけ騒がしくなるのも無理はない。
だが、気になるのはその俺“達”と言う所。何がどうなってどういう風になったのかは謎だが、それでも気になる事はかなり多い。
「蓮燔、お前はその大魔法について何か知らないのか?」
「教えてはもらってた。……でも、俺は理解出来なかったんだ。いや、多分あれはお前以外には分からない。」
「……成程。」
「そもそも、大魔法ってのは他者に分からないように創るべきなんだ。悪用されるのを防ぐ為に。けどまぁ俺は確かに、お前に教えを乞うてお前が色々とオリジナル魔法を教えてくれたり、オリジナル魔法の作り方とか作る上での暗黙のルールとかも教えてもらった。でも、俺は使えないんだ。根本を理解出来てないから。お前に教えてもらった用途しか知らない。」
「……そうか。」
「ごめん、力不足で。」
「いや、そういう基礎の部分っていうか、当たり前過ぎる事は今の俺には分からない。だから十分助かってる。」
「……そっか。なら良かった。」
「……奏君。」
「あ、は、はい。」
「記憶を失って、色々戸惑う事はあると思う。でもね、それでも私達は君に助けられたんだ。君が居てくれたから私達はまたこうやって生きていられる。私には魔法なんて難しいもんはさっぱりだけど、野菜で何か困ったり、普段の生活やこの街の事で分からない事があったら遠慮なく聞いとくれ。」
「……はい、その時は宜しくお願いします。」
「……うん、うん。記憶がなくてもその誠実さと真面目さは奏君だねぇ。おばちゃん、安心したよ。……あ! そうだ、2人共! さっき新鮮な野菜が入荷した所なんだ! 寄ってかないかい? 安くするし、今なら昨日の夕飯、作り過ぎちゃったから少し持ってかえっとくれよ!」
「わっ、良いんですか!? 奏、行って良い?」
「まぁ……良いんじゃないか? 厚意はありがたく受け取っとくべきだ。」
「じゃあ、おやっさんにも挨拶しようぜ! 魚屋の夫婦んとこにも挨拶だな!」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第13話 人の温もり」
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今後とも『いつぞやの約束は夜空の向こう』をよろしくお願いいたします。
第12話 長い月日を経て
――外へ平和その物だった。
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「あ、英雄様じゃないか!」
「っ、え?」
「あ、八百屋のおばちゃん! 久しぶり!」
「蓮燔君も久しぶり。怪我は? 具合はどうなんだい?」
「まぁ、初めは熱とか出てましたけど俺は大丈夫ですよ。」
「……お、おい。」
俺の記憶がない事を考慮して、少しぐらい説明してくれても良いんじゃないか?
蓮燔に連れられてやってきた、学園から近い所にある商店街。
商店街らしいといえばらしいのかもしれないが、この商店街はかなりの活気がよく目立つ。左右には沢山の店が立ち並び、アトラ魔法学園の他にも学校が幾つかあるのもあって、出掛ける前にお金の価値について再度確認した知識から見ると、かなり易いように思える。
その安さは食品に限らず、日用品や衣類。医薬品にも反映されているそうで、かなり良心的だと言えるだろう。
ただここは譲れないといった範囲に入るのか、魔法に関する品。又は魔法薬等を調合する為に必要な素材に関してはそれらと比べると高く見える為、そこはちょっと他とは違うのかもしれない。
「あぁ、そっか。奏、この人は俺達がいつも野菜を買う八百屋さんのおばちゃん。よく俺達の事を気に掛けてくれててさ、魔法は使えないけど料理、すっごく上手いんだ。」
「何だい今更自己紹介なんて……。もしかして、奏君の弟さん?」
「あぁいや、実は奏、記憶喪失でさ。原因も分からないみたいで、今は怪我の悪化にさえ気を付ければ普通に生活しても、体育の授業以外は出ても良い事になってさ。同室である事、元々仲が良い事から俺も学校を公欠扱いにしてもらって、奏がある程度生活に慣れるまで学校を休む事になってるんだ。」
「なんてこった、まさか……あれの所為かい?」
「あれ?」
「奏、俺達を守る為に製作途中の、未完成の大魔法を使ったんだ。魔力が足りなかったから大気中の魔力や使い魔の魔力、そして勿論自身の魔力も全て使い切って。で、結局お前が目を覚ましたのは昨日。……2か月も眠ってたんだ、お前は。」
2か月……。
そう考えれば確かに、これだけ騒がしくなるのも無理はない。
だが、気になるのはその俺“達”と言う所。何がどうなってどういう風になったのかは謎だが、それでも気になる事はかなり多い。
「蓮燔、お前はその大魔法について何か知らないのか?」
「教えてはもらってた。……でも、俺は理解出来なかったんだ。いや、多分あれはお前以外には分からない。」
「……成程。」
「そもそも、大魔法ってのは他者に分からないように創るべきなんだ。悪用されるのを防ぐ為に。けどまぁ俺は確かに、お前に教えを乞うてお前が色々とオリジナル魔法を教えてくれたり、オリジナル魔法の作り方とか作る上での暗黙のルールとかも教えてもらった。でも、俺は使えないんだ。根本を理解出来てないから。お前に教えてもらった用途しか知らない。」
「……そうか。」
「ごめん、力不足で。」
「いや、そういう基礎の部分っていうか、当たり前過ぎる事は今の俺には分からない。だから十分助かってる。」
「……そっか。なら良かった。」
「……奏君。」
「あ、は、はい。」
「記憶を失って、色々戸惑う事はあると思う。でもね、それでも私達は君に助けられたんだ。君が居てくれたから私達はまたこうやって生きていられる。私には魔法なんて難しいもんはさっぱりだけど、野菜で何か困ったり、普段の生活やこの街の事で分からない事があったら遠慮なく聞いとくれ。」
「……はい、その時は宜しくお願いします。」
「……うん、うん。記憶がなくてもその誠実さと真面目さは奏君だねぇ。おばちゃん、安心したよ。……あ! そうだ、2人共! さっき新鮮な野菜が入荷した所なんだ! 寄ってかないかい? 安くするし、今なら昨日の夕飯、作り過ぎちゃったから少し持ってかえっとくれよ!」
「わっ、良いんですか!? 奏、行って良い?」
「まぁ……良いんじゃないか? 厚意はありがたく受け取っとくべきだ。」
「じゃあ、おやっさんにも挨拶しようぜ! 魚屋の夫婦んとこにも挨拶だな!」
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