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第一章 自分探し
第31話 希少という言葉は一体何なりや
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【前回】互いに胸の内を明かし合った
第31話 希少という言葉は一体何なりや
――多過ぎると飽和して困るのに。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「あ、そうだ。なら話すついでにあれも話そうぜ。」
「あれ?」
「黎明の証とかの話。」
「「あぁ~。」」
黎明の……証?
「何だそれ。」
「この国の国王、騎士団、街からの感謝状。他にも国連や評議院、国王から贈られた称号と言うか、謝礼の品……みたいなのが沢山あってさ。その中の1つが黎明の証。確か……あれ、何処からだっけ?」
「国連から。奏の働きをきっかけに新しく作られた、奏の為だけに出来た証。ん、勿論国連所属国全ての刻印があるから偽装は勿論無理だし、そもそも羊皮紙その物に織り込まれた魔力とか魔法式が複雑だから複製も無理だ。“手にした者は黎明の証に封じられた膨大な魔力と使い魔を手にする事が出来る”とは聞いてるけどまだ箱に入れたままで俺達も実物は見てない。」
「評議院からは……何だっけ。そもそも持ってる人が世界で2人も居ないんじゃなかったか?」
「え”。」
「奏で3人目。評議院から、別名 神の使徒の証って呼ばれてる明星の雪。」
「……それ、明星の雪って言う名前か?」
「「「うん。」」」
「他種族から見れば人間なんて雪みたいなもんだろ?」
「しかも皮肉かよ。」
なんてネーミングセンスしてやがる。
「評議院局員クラスSの権力を証明するもんさ。」
「……評議院ってそんなに凄いのか?」
「まぁ、国際法だけが彼らを縛る事を出来る法律。国際法以外の、それぞれの国の法律は全て治外法権で突っぱねられるくらいには。」
「十分すげぇな。」
「明星の雪ってのは更に凄い物だ。評議院局員クラスSともなれば、如何なる法律も如何なる権力も持ち主を縛る事も傷付ける事も出来ない証明だ。」
「……待て。それって、明星の雪持ってる人は完全無法って事か?」
「「「うん。」」」
「そんな物、本当に人に与えて良いのかよ……。」
「それだけ世界的な名誉で光栄だって事だ。確か……評議院関係者以外では初めてだったな。」
こっちもか。
こうもぽんぽん凄い物を渡されるとどうにもその価値が軽くなってしまうような錯覚に襲われるのだが、それだけぶっ飛んだ事をしたという証明でもあるんだろう。これはこれで受け入れなければならない。
記憶がない身で評価されても反応に困るのだが。
「十分凄い、と言うより凄過ぎるくらいだな。」
「他人事じゃぁなければなぁ。記憶があった時の俺が何て言うか知らんが少なくとも今の俺には手に余るって。」
「「「身に余る光栄です、皆々様。俺のような若輩にそのような高貴な評価をしてくださり、心より感謝申し上げます。」」」
「慣れ過ぎだろ。少しは動じろ。」
「それ、俺の台詞。……ま、お前は“まぁ、そうなるわなぁ”って思える理由はあるにはあるし。」
「何だよそれ。」
「ま、直ぐに分かるから今は言わない。」
言えよ、今。
「最後が……国王からだな。」
「十分凄いはずなんだけどお前らが説明する順番を間違えた所為で全然凄いって感じねぇよこの野郎共。」
「国王からは豪邸と書物が贈られてる。」
「豪邸と書物?」
「あぁ。学校からそう遠くない所にあるぞ。びっくりするぐらい無数の結界が張られて、門番も警備も奏の為だけに選抜された“奏専属の騎士団”と代々王家に仕える執事やメイドの類。」
「……ごめん、十分凄過ぎたわ。」
「そんで、国連と評議院にも協力要請して世界中の種族言語関係なく搔き集められるだけの書物を収めた図書館もその豪邸に入ってる。」
「……最後のは、見たい。最後のは本当に欲しい。」
「「「他のも欲しいって言え罰当たりが。」」」
えぇ~……。
「……つか、それをもっと早く言えよ。そしたらもっと調査が捗ったかもしんねぇのに。」
「奏の体調が安定したら言おうと思ってたんだ。た、頼むから怒るのだけは勘弁してくれ。」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第32話 善は急げ、思い立ったが吉日」
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今後とも『いつぞやの約束は夜空の向こう』をよろしくお願いいたします。
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――多過ぎると飽和して困るのに。
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「あ、そうだ。なら話すついでにあれも話そうぜ。」
「あれ?」
「黎明の証とかの話。」
「「あぁ~。」」
黎明の……証?
「何だそれ。」
「この国の国王、騎士団、街からの感謝状。他にも国連や評議院、国王から贈られた称号と言うか、謝礼の品……みたいなのが沢山あってさ。その中の1つが黎明の証。確か……あれ、何処からだっけ?」
「国連から。奏の働きをきっかけに新しく作られた、奏の為だけに出来た証。ん、勿論国連所属国全ての刻印があるから偽装は勿論無理だし、そもそも羊皮紙その物に織り込まれた魔力とか魔法式が複雑だから複製も無理だ。“手にした者は黎明の証に封じられた膨大な魔力と使い魔を手にする事が出来る”とは聞いてるけどまだ箱に入れたままで俺達も実物は見てない。」
「評議院からは……何だっけ。そもそも持ってる人が世界で2人も居ないんじゃなかったか?」
「え”。」
「奏で3人目。評議院から、別名 神の使徒の証って呼ばれてる明星の雪。」
「……それ、明星の雪って言う名前か?」
「「「うん。」」」
「他種族から見れば人間なんて雪みたいなもんだろ?」
「しかも皮肉かよ。」
なんてネーミングセンスしてやがる。
「評議院局員クラスSの権力を証明するもんさ。」
「……評議院ってそんなに凄いのか?」
「まぁ、国際法だけが彼らを縛る事を出来る法律。国際法以外の、それぞれの国の法律は全て治外法権で突っぱねられるくらいには。」
「十分すげぇな。」
「明星の雪ってのは更に凄い物だ。評議院局員クラスSともなれば、如何なる法律も如何なる権力も持ち主を縛る事も傷付ける事も出来ない証明だ。」
「……待て。それって、明星の雪持ってる人は完全無法って事か?」
「「「うん。」」」
「そんな物、本当に人に与えて良いのかよ……。」
「それだけ世界的な名誉で光栄だって事だ。確か……評議院関係者以外では初めてだったな。」
こっちもか。
こうもぽんぽん凄い物を渡されるとどうにもその価値が軽くなってしまうような錯覚に襲われるのだが、それだけぶっ飛んだ事をしたという証明でもあるんだろう。これはこれで受け入れなければならない。
記憶がない身で評価されても反応に困るのだが。
「十分凄い、と言うより凄過ぎるくらいだな。」
「他人事じゃぁなければなぁ。記憶があった時の俺が何て言うか知らんが少なくとも今の俺には手に余るって。」
「「「身に余る光栄です、皆々様。俺のような若輩にそのような高貴な評価をしてくださり、心より感謝申し上げます。」」」
「慣れ過ぎだろ。少しは動じろ。」
「それ、俺の台詞。……ま、お前は“まぁ、そうなるわなぁ”って思える理由はあるにはあるし。」
「何だよそれ。」
「ま、直ぐに分かるから今は言わない。」
言えよ、今。
「最後が……国王からだな。」
「十分凄いはずなんだけどお前らが説明する順番を間違えた所為で全然凄いって感じねぇよこの野郎共。」
「国王からは豪邸と書物が贈られてる。」
「豪邸と書物?」
「あぁ。学校からそう遠くない所にあるぞ。びっくりするぐらい無数の結界が張られて、門番も警備も奏の為だけに選抜された“奏専属の騎士団”と代々王家に仕える執事やメイドの類。」
「……ごめん、十分凄過ぎたわ。」
「そんで、国連と評議院にも協力要請して世界中の種族言語関係なく搔き集められるだけの書物を収めた図書館もその豪邸に入ってる。」
「……最後のは、見たい。最後のは本当に欲しい。」
「「「他のも欲しいって言え罰当たりが。」」」
えぇ~……。
「……つか、それをもっと早く言えよ。そしたらもっと調査が捗ったかもしんねぇのに。」
「奏の体調が安定したら言おうと思ってたんだ。た、頼むから怒るのだけは勘弁してくれ。」
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