いつぞやの約束は夜空の向こう

夜櫻 雅織

文字の大きさ
31 / 34
第一章 自分探し

第31話 希少という言葉は一体何なりや

しおりを挟む
【前回】互いに胸の内を明かし合った
第31話 希少という言葉は一体何なりや

――多過ぎると飽和して困るのに。

❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖


「あ、そうだ。なら話すついでにあれも話そうぜ。」
「あれ?」
「黎明の証とかの話。」
「「あぁ~。」」

 黎明の……証?

「何だそれ。」
「この国の国王、騎士団、街からの感謝状。他にも国連や評議院、国王から贈られた称号と言うか、謝礼の品……みたいなのが沢山あってさ。その中の1つが黎明の証。確か……あれ、何処からだっけ?」
「国連から。奏の働きをきっかけに新しく作られた、奏の為だけに出来た証。ん、勿論国連所属国全ての刻印があるから偽装は勿論無理だし、そもそも羊皮紙その物に織り込まれた魔力とか魔法式が複雑だから複製も無理だ。“手にした者は黎明の証に封じられた膨大な魔力と使い魔を手にする事が出来る”とは聞いてるけどまだ箱に入れたままで俺達も実物は見てない。」
「評議院からは……何だっけ。そもそも持ってる人が世界で2人も居ないんじゃなかったか?」
「え”。」
「奏で3人目。評議院から、別名 神の使徒の証って呼ばれてる明星の雪。」
「……それ、明星の雪って言う名前か?」
「「「うん。」」」
「他種族から見れば人間なんて雪みたいなもんだろ?」
「しかも皮肉かよ。」

 なんてネーミングセンスしてやがる。

「評議院局員クラスSの権力を証明するもんさ。」
「……評議院ってそんなに凄いのか?」
「まぁ、国際法だけが彼らを縛る事を出来る法律。国際法以外の、それぞれの国の法律は全て治外法権で突っぱねられるくらいには。」
「十分すげぇな。」
「明星の雪ってのは更に凄い物だ。評議院局員クラスSともなれば、如何なる法律も如何なる権力も持ち主を縛る事も傷付ける事も出来ない証明だ。」
「……待て。それって、明星の雪持ってる人は完全無法って事か?」
「「「うん。」」」
「そんな物、本当に人に与えて良いのかよ……。」
「それだけ世界的な名誉で光栄だって事だ。確か……評議院関係者以外では初めてだったな。」

 こっちもか。

 こうもぽんぽん凄い物を渡されるとどうにもその価値が軽くなってしまうような錯覚に襲われるのだが、それだけぶっ飛んだ事をしたという証明でもあるんだろう。これはこれで受け入れなければならない。
 記憶がない身で評価されても反応に困るのだが。

「十分凄い、と言うより凄過ぎるくらいだな。」
「他人事じゃぁなければなぁ。記憶があった時の俺が何て言うか知らんが少なくとも今の俺には手に余るって。」
「「「身に余る光栄です、皆々様。俺のような若輩にそのような高貴な評価をしてくださり、心より感謝申し上げます。」」」
「慣れ過ぎだろ。少しは動じろ。」
「それ、俺の台詞。……ま、お前は“まぁ、そうなるわなぁ”って思える理由はあるにはあるし。」
「何だよそれ。」
「ま、直ぐに分かるから今は言わない。」

 言えよ、今。

「最後が……国王からだな。」
「十分凄いはずなんだけどお前らが説明する順番を間違えた所為で全然凄いって感じねぇよこの野郎共。」
「国王からは豪邸と書物が贈られてる。」
「豪邸と書物?」
「あぁ。学校からそう遠くない所にあるぞ。びっくりするぐらい無数の結界が張られて、門番も警備も奏の為だけに選抜された“奏専属の騎士団”と代々王家に仕える執事やメイドの類。」
「……ごめん、十分凄過ぎたわ。」
「そんで、国連と評議院にも協力要請して世界中の種族言語関係なく搔き集められるだけの書物を収めた図書館もその豪邸に入ってる。」
「……最後のは、見たい。最後のは本当に欲しい。」
「「「他のも欲しいって言え罰当たりが。」」」

 えぇ~……。

「……つか、それをもっと早く言えよ。そしたらもっと調査が捗ったかもしんねぇのに。」
「奏の体調が安定したら言おうと思ってたんだ。た、頼むから怒るのだけは勘弁してくれ。」


❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖

――次回「第32話 善は急げ、思い立ったが吉日」

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。

今後とも『いつぞやの約束は夜空の向こう』をよろしくお願いいたします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

龍は唄う 神子と子守唄を

イチイ アキラ
恋愛
『神子が御実家より帰宅される途中、事故に遭い――片目を失った。』  入院していた病室で、さおりはその新聞を読んで「え?」と混乱していた。  何故なら片目を失ったのはさおりであり――さおりは神子ではない。  神子はさおりの双子の妹の、しおりであるからだ。  しかも「しおり」は第三皇子の婚約者であるという。  さおりは片目と記憶を失い、神殿で暮らす事となる。  しおりと皆に勘違いされたまま。

復讐は、冷やして食すのが一番美味い

Yuito_Maru
ファンタジー
3度目の人生を生きるピオニー・レノドン。 1度目の人生は、愛した幼馴染と家族に裏切られ、無垢で無力のまま命を落とした。 2度目は、剣を磨き、王太子の婚約者となるも、1度目より惨めに死んでいった。 3度目は、微笑の裏で傭兵団を率い、冷たく復讐の刃を研ぐ。 狙うは、レノドン伯爵家、そして王家や腐った貴族たち。 「復讐とは、怒りを凍らせて成就する歪んだ喜びだ」――ピオニーは今、その意味を体現する。 ----- 外部サイトでも掲載を行っております

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

処理中です...