19 / 70
第一章
19 孤軍奮闘
しおりを挟む
「ハウンド二等兵!」
セーグネルは自身の小銃を携え、後に残ったカウルとシーナのもとに向かった。
「あっ、ハートクレア准尉!」
セーグネルに気がついたカウルが顔を上げる。いつの間にかカウルはシーナを半壊した左の掩体まで引き寄せていた。
「スレヴィアス上等兵は!?」
セーグネルはカウルにシーナの安否を尋ねる。
「あっ、えっと……」
「外傷は!?」
カウルの返答はしどろもどろとして要領を得ない。切迫した状況に、悠長な問答をしている暇はないので、セーグネルはざっとシーナの容態を見た目で判断した。
──怪我はしてない。
外傷はなく、シーナも気を失っただけのようだった。
(どうする──)
気を失ったままのシーナをこの場に置いておくのは危険だ。
アビィ同様、シーナを艦内に運び入れるしかない。
「ハウンド二等兵!彼を中に──」
そう途中まで言いかけたセーグネルだったが、視界に敵機──戦闘機に遅れてやってきた敵の雷撃機の姿が映った。
「っ!」
雷撃機の抱える航空魚雷は、目標まで千メートルほどの距離で投下される。
敵をその攻撃点まで近づけるわけにはいかない。
「そのままここにいろ!!」
「え──」
シーナやカウルに構っている暇はない。
セーグネルはカウルにそれだけ言うと、彼らを置いて銃座の機銃に向かった。
「くっ」
ジオが離脱し無人となった銃座についたセーグネルは、機銃の横に機銃と一体となって据えられた、機銃弾の弾帯が入った弾薬箱に手を当てる。
セーグネルの手のひらから、光の粒子が放出され、機銃弾が連なる弾帯に吸い込まれていく。
──敵を近づけるわけには……!
機銃の弾薬に『心』を込めたセーグネルは、機銃の銃把を握り、照準を敵雷撃機に向ける。
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
機銃は弾帯を瞬く間に吸い込み、銃口から弾丸を吐き出していく。
セーグネルは反動に照準を狂わされないよう、小刻みに射撃を中断させながら、敵雷撃機に機銃を射かける。
──だが、
ブウウン。
唸りを上げるプロペラの音が、セーグネルの頭上から聞こえてきた。
「っ!」
見上げると、敵の戦闘機の一機が『アマネ』の上空を通過し、旋回して再びこちらに機首を向けようとしていた。
ブウウン。ブウウン。
その一機だけではない。続けざまに二機目、三機目と、敵の戦闘機が『アマネ』の上空で弧を描いて旋回し、それぞれが攻撃態勢を取ろうとしている。
──機銃掃射の第二波が来る。
「くうっ!」
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
セーグネルは機銃を空に仰がせ、銃口を敵の戦闘機に向けて発砲した。
セーグネルは自身の小銃を携え、後に残ったカウルとシーナのもとに向かった。
「あっ、ハートクレア准尉!」
セーグネルに気がついたカウルが顔を上げる。いつの間にかカウルはシーナを半壊した左の掩体まで引き寄せていた。
「スレヴィアス上等兵は!?」
セーグネルはカウルにシーナの安否を尋ねる。
「あっ、えっと……」
「外傷は!?」
カウルの返答はしどろもどろとして要領を得ない。切迫した状況に、悠長な問答をしている暇はないので、セーグネルはざっとシーナの容態を見た目で判断した。
──怪我はしてない。
外傷はなく、シーナも気を失っただけのようだった。
(どうする──)
気を失ったままのシーナをこの場に置いておくのは危険だ。
アビィ同様、シーナを艦内に運び入れるしかない。
「ハウンド二等兵!彼を中に──」
そう途中まで言いかけたセーグネルだったが、視界に敵機──戦闘機に遅れてやってきた敵の雷撃機の姿が映った。
「っ!」
雷撃機の抱える航空魚雷は、目標まで千メートルほどの距離で投下される。
敵をその攻撃点まで近づけるわけにはいかない。
「そのままここにいろ!!」
「え──」
シーナやカウルに構っている暇はない。
セーグネルはカウルにそれだけ言うと、彼らを置いて銃座の機銃に向かった。
「くっ」
ジオが離脱し無人となった銃座についたセーグネルは、機銃の横に機銃と一体となって据えられた、機銃弾の弾帯が入った弾薬箱に手を当てる。
セーグネルの手のひらから、光の粒子が放出され、機銃弾が連なる弾帯に吸い込まれていく。
──敵を近づけるわけには……!
機銃の弾薬に『心』を込めたセーグネルは、機銃の銃把を握り、照準を敵雷撃機に向ける。
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
機銃は弾帯を瞬く間に吸い込み、銃口から弾丸を吐き出していく。
セーグネルは反動に照準を狂わされないよう、小刻みに射撃を中断させながら、敵雷撃機に機銃を射かける。
──だが、
ブウウン。
唸りを上げるプロペラの音が、セーグネルの頭上から聞こえてきた。
「っ!」
見上げると、敵の戦闘機の一機が『アマネ』の上空を通過し、旋回して再びこちらに機首を向けようとしていた。
ブウウン。ブウウン。
その一機だけではない。続けざまに二機目、三機目と、敵の戦闘機が『アマネ』の上空で弧を描いて旋回し、それぞれが攻撃態勢を取ろうとしている。
──機銃掃射の第二波が来る。
「くうっ!」
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
セーグネルは機銃を空に仰がせ、銃口を敵の戦闘機に向けて発砲した。
0
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる