エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

44 切迫

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(なんで掃海部隊に攻撃隊が……)
 セーグネルは戸惑う。 
 艦上攻撃隊は、高い戦闘能力を有する精鋭兵士の中のさらに精鋭から構成され、攻撃隊の兵士一人の力は一般的な艦上守備隊の兵士の五人に相当すると評されている。
 それほどの戦闘能力を有していなければ、数キロもの空中移動をしたのち、敵に攻撃を行い、さらにその後母艦に帰還することができないからだ。
 それゆえ、攻撃隊の存在は稀少である。隊員も容易くは育成できず、また、たくさんの部隊を編成することは難しい。
 艦上攻撃隊が配属されるのは、通常はもっと大きな艦隊──掃海部隊などではなく、水上打撃群とよばれる戦艦を中心に構成される艦隊であった。
 比較的、編成しやすい艦上守備隊は今やどの水上戦力にも配備されているが、精鋭の艦上攻撃隊が駆逐艦中心の掃海隊にいるなんて──。
 なにかおかしい──疑念を抱かずにはいられないセーグネルであったが、その思考は仲間の声に遮られた。
「敵艦、発砲!」
「っ!」
 敵の攻撃隊を双眼鏡で追っていたセーグネルは、はっと我に帰って敵駆逐艦の方に顔を向けた。
 見ると敵の駆逐艦の前方に黒煙が漂っている。敵主砲の発砲煙だ。
(まずい──)
 セーグネルは危機感を抱く。対空迎撃を担うシーナは今、左舷の支援に向かっており不在である。
 バン、バン、バン!
 セーグネル達の右側、右舷後方から発砲音が聞こえた。第三分隊の対空迎撃要員が迎撃しているのだ。
 しかし──、
 ズウウン!と低い音とともに高い水柱が右舷の海面にせり上がった。
 対空射撃は空を切り、敵艦砲の着弾を許したのだ。
 ズウン!
 間を置かず、複数の弾着音が重なって聞こえ、また別の水柱が上がる。
「くっ!」
 舞い上がった海水の飛沫が、セーグネルたちに降りかかり、着弾の衝撃が艦を揺らす。
──近い!
 複数発射された砲弾は、直撃はしなかったが『アマネ』を囲うように着弾していた。セーグネルたちの視界に入ったものだけでも二つは、右舷手前の海面に着弾しており、一発は至近弾と言えた。
(シーナがいないと……)
 セーグネルは奥歯を噛み締めた。第三分隊の対空迎撃要員一人だけの射撃では手薄だ。
 それにセーグネルは、態度こそ悪いところはあれど、シーナの迎撃射撃の腕は他の隊員より抜きん出ていると評価していた。
──このままでは被弾する!
「通信機を!」
 セーグネルはそばの通信士に声をかけ、通信機を受けとる。
「こちら第二分隊!左舷の支援に向かった対空要員の帰投を要請します!」
 危機感から、シーナを自分達のところに戻すよう要請したセーグネルであったが、
「──第二分隊は敵攻撃隊に備えよ」
「──っ!了解……」
 無機質な応答が返ってきたが、セーグネルの要請は承認されたかわからないまま通信は終わってしまった。
 


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