エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

50 戦闘開始

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 敵の攻撃隊との距離はいよいよ三百メートルを切った。
 この距離になると目視でもその姿が確認できた。
 一個小隊十五、六人程度の集団が、二列縦隊の隊列で『アマネ』右舷に向かって直進してくる。
 攻撃隊の空中移動の高度は四、五十メートルほど。『アマネ』に接近すれば、甲板上のセーグネルたちは見下ろされる高度になる。
 セーグネル以下第二分隊の兵士らは、自分のなかの緊張や不安と戦いながら、火器の照準を敵の攻撃隊に合わせる。
「弾が流されることに留意せよ!」
 攻撃開始の寸前までセーグネルは、声を張り上げ隊員たちに注意喚起する。航行する『アマネ』の甲板上にいる自分たちの射撃は、撃ったら後方に流されていく。また、敵も動いているのでその動きも考慮して射撃の弾道計算をしなければならない。
 敵との距離が二百メートルに迫る。
 セーグネルが、小銃を携えながら、左手を敵の攻撃隊に向けて掲げた。
「撃ち方っ」
 そして、その手を振り下ろして叫ぶ。
「──はじめぇっ!!」


 赤国国防軍攻撃隊一個小隊十五名は、敵艦隊の先頭を航行する旗艦とおぼしき重巡洋艦──『アマネ』──の右舷めがけて一直線に宙を異動する。
 事前に打ち合わせた攻撃目標はこの重巡の戦闘能力の無力化である。
「!」
 敵艦との距離が二百メートルほどになったとき、二列に並ぶ隊列のなか、先頭を行く二人の兵士が、敵艦右舷甲板上に発砲炎を視認した。
 甲板上の敵兵が攻撃を開始したのである。

──『鋼鉄』の律動。

 先頭を行く二人の兵士が、それぞれ同時に鋼鉄の律動を想起する。
 鋼鉄の律動は、炭素を含む鉄の合金である『鋼鉄』が発する律動を『心』のなかで想起することによって、粒子としての『心』を鋼鉄へと変化させる。
 兵士の手から煌めく光の粒子が放出され、その光の粒子は兵士の全面でまとまって大きな『面』の形を成した。
──顕現。
 兵士の体を隠すほどの大きさの『光の面』のなかから、鋼鉄製の盾が現れる。
 『律動』によって創り出された鋼鉄の盾は、それを掲げる兵士自身だけでなく、後続する兵士たちをも隠した。
 進攻する攻撃隊の周辺にヒュッと風を切る音が走る。
 敵から発砲された弾丸が到達したのだ。
 カンッ、カンッ。
 盾に飛来した弾丸が命中するも、重厚な盾はそれを弾く。
 巨大な盾を持ちながらも、二人の兵士たちは変わらず空中を浮遊し、そのスピードは衰えなかった。
 これは、兵士たちは単に腕力だけで盾を持っているのではなく、盾の中に込めた『心』によって『思念動力』を働かせ、盾それ自体を浮遊させると同時に、進行方向に動かしているためである。
 そして、先頭の二人の兵士のすぐ後ろに続いていた兵士が、小さく手を上に挙げた。
──展開せよ。
 その兵士が、バンドサインで後続する隊員に指示を出す。
 すると、隊列からさらに三人の兵士が飛び出して、盾を掲げる兵士の横に並ぶと、同時にこの兵士たちも『律動』の能力を発動して同様に鋼鉄の盾を創出した。
 そして、横一列に盾を並べる五人の兵士の後ろに、それぞれ二人ずつ兵士がつく。
 そうして攻撃隊は、三人一組の戦闘班を五つ形成した。

 
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