エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

62 一閃

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(ノベル──!)
 突如、ベルニカとセトの間に割って入ったのは、仲間の危機を察知して加勢に来たノベルであった。
 その手には鞘に収められたひと振りの刀が握られている。
 鋼鉄の律動によって創り出した彼の武器であった。
 ノベルは左手に握った軍刀の鞘を腰に当て、刀の柄には右手を添えている。ノベルは体をやや左にひねり、前傾に屈めた姿勢──抜刀術の構えでベルニカと対峙した。
 ベルニカは突然介入したノベルなど意に介さぬように、そのまま彼に向かって突っ込んでいく。
 ノベルは抜刀術の構えで、相手を見据えた。
 細められた双眸が鋭く光る。
 そしてノベルは、左足の裏から圧縮した『心』の粒子を放出した。
 『空戦機動』──粒子の膨張が起きると同時にノベルは左足を蹴る。
 バァン!
 大きな炸裂音とともに、ノベルが、爆発的に前に加速する。
(──くらえ)
 ノベルがさらに、圧縮させた『心』の粒子を、左手に握る刀の鞘の内部に生じさせた。
──カッ。 
 鞘と刀の鍔の間の隙間から、光が漏れる。
 鞘のなかで生まれた小爆発は、ノベルの刀を鞘から外に押し出した。
──青国(あおのくに)特殊軍刀術『瞬(またた)き』!
 空戦機動の推進力に乗せて、ノベルが鞘から刀を瞬間的なスピードで抜き放つ。
──ビュッ!!
 空を裂く高速の一閃がベルニカめがけてまっすぐに走った。
「──!」
 それまで攻撃体勢だったベルニカは、とっさに防御の構えをつくり、ノベルの居合い抜きを受け止める。
 ガキィィン!!
「おおっ!」
 衝突の瞬間、ノベルが己の刀に渾身の力を込める。
 恵まれた体躯を持つノベルの筋力、空戦機動の推進力、そして鞘内部の爆発力が合わさった一撃は、攻撃を受け止めたベルニカをそのまま『アマネ』の甲板より外に弾きだした。

「ああ?」
 火炎放射を放ち続けていたグレンは、敵に向かっていったベルニカが敵に返り討ちされて、海へ弾き飛ばされたのを空中で目撃した。
──へえ。
 自分の二式紅炎を受け止めている女敵兵もそうだが、敵のなかにも面白いやつがいるようだ。
「ははっ」
 グレンは短く嗤って放射中の二式紅炎をそこで打ち止めた。
 そして空戦機動で一度高く宙に飛び上がる。
──鋼鉄の律動。
 グレンが創り出したのは 燃え盛る炎を模したような波立つ形の刃を持つ片刃の剣であった。
 ダラララッ!!
 グレンは左手に剣を握り、右手で小銃を片手撃ちしながら、敵に迫った。


「うっ!」
 敵兵の射撃を受けて、セトが倒れた。
「セトっ!!」
 甲板で呻くセトにセーグネルが声を上げる。突然、火炎放射を止めた敵に、セーグネルは一歩出遅れてしまった。 
 助けなければ、とセトのもとに駆け寄りたいセーグネルであったが、空中の敵は今度は自分に小銃の狙いを合わせてきた。
「くっ──」
 二式水流の発動のため、小銃も十字槍も手放していたセーグネルには応戦する武器がなかった。敵の攻撃を回避する以外にとる手段がなかったセーグネルは、横に跳んで敵の射撃をかわした。
「──っ!」
 しかし、その隙に敵兵がセーグネルめがけて突進してきた。
 その手には剣が握られている。
「准尉!!」
 ノベルがセーグネルに向かって叫ぶ。
 敵兵の少女を『アマネ』から弾き出したノベルは、右舷舷側間際にいて、セーグネルを助けるには間に合わない。
「──っ」
 セーグネルは甲板を駆け、甲板に転がっていた十字槍を掴んだ。
 十字槍を両手で持ち、上を見上げるセーグネル。
 敵兵は目前に迫っていた。
 しかし、その時──
 ビシッ!! 
「ぐっ」
 敵兵の体で何か弾けるような音が聞こえ、一瞬遅れてダダダッ、という射撃音が聞こえてきた。
 衝撃を受けた敵兵は、空中で慌てて後ろに下がり、セーグネルから離れたあと甲板に着地した。
(誰が──) 
 誰かが自分に援護射撃をしてくれたのだ。
 セーグネルが射撃が行われた方向を見る。
「!」
 セーグネルの目に入ったのは、右舷前方側、セーグネルから二十メートルほど離れた位置でこちらに向けて小銃を構えているシーナの姿だった。


 
 
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