エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

63 劣勢

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──どういう状況だよ!
 敵の火線をくぐり抜け、第二分隊のところまでたどり着いたところであったが、すでに、味方が敵に攻め込まれている状況にシーナは焦りと苛立ちを覚えた。
 ダダッ!ダダダッ!
 シーナは右舷空中にいる敵に牽制の射撃をしながら前進する。
 状況は厳しかった。駆けつけたばかりだが、目に入った限りでは、槍を構えるセーグネルとおそらくノベル──彼も刀を手にしている──が甲板に乗り込んできた敵兵にあたっていたようだ。
 他の分隊員は掩体で、空中の敵に射撃をしている。しかし、人数は少ない。
(──あ?)
 シーナは掩体の陰にしゃがみこんでいるアビィに気が付いた。
 どこか負傷したのかと思ったが、外傷は見られない。しかし、怯えたようすで身を丸めている。
「おいっ!どうした!!」
 掩体の裏まで来たシーナは、小銃を構えたまま、しゃがみこんでいるアビィに向かって怒鳴った。
 自分の前に現れたシーナに気が付いたアビィが顔を上げる。
 泣いていたのか、彼女の目は赤く腫れぼったくなっていた。
──なにやってんだよ。
 怪我をしているわけではない。単に怯えて泣いているだけだ。
 アビィが戦意を喪失し、任務を放棄していることを悟ったシーナは憤った。
「てめえも戦えっ!」
 小銃を構えながら、シーナがしゃがんでいるアビィの肩を押すように片足で蹴った。
「きゃっ!」
 突然シーナに蹴られたアビィは掩体に体をぶつけた。しかし、さらに怯えたように体を丸めて震えている。
「ちっ!」
 ダメだこいつは──これ以上時間をかける暇はないと感じたシーナは、アビィを捨て置いて前に進む。
「シーナ!」
 加勢にやってきたシーナに向かって、セーグネルが彼の名前を呼ぶ。その声は歓喜の色を帯びていた。
 シーナは応じることはせず、小銃を構えたまま、状況を観察する。
(どうする…………っ!!)
 素早くあたりに目を走らせたシーナがはっとしてノベルに向かって叫んだ。 
「うしろだ!」
「っ!」
 後ろを振り向いたノベルは、先ほど『アマネ』から弾き出した少女の敵兵が、自分に向かって飛びかかってくるのに気づいた。
 いつの間にか体勢を立て直したベルニカは、空戦機動で空中を駆けながら猛烈なスピードでノベルに迫る。
──はやい!!
 敵のスピードは、さっきよりはるかに速い。
 ノベルのまえに躍り出たベルニカが彼に向かって刃を振り下ろす。
 キン!キン!キン!
 ベルニカのすばやい斬擊をノベルが受ける。
 しかし、
「──ぐっ!!」
 ベルニカは、細剣による攻撃のなかに、体術を織りまぜてきた。
 直線的な蹴りがノベルの胴体を打つ。
 防弾装具を以てしても内臓を揺らす威力の蹴りだった。
 そして、ベルニカが脇のホルスターから、何かの銃器を抜き取って、ノベルに向けた。
 長い銃身をもった大口径の自動拳銃だ。
 まずい──ノベルがそれを避ける間もなく、
──ガァン!!
 大型自動拳銃が火を吹いた。
「──っ!!」
 とっさに、刀の刃を横にして銃弾を防ごうとしたノベルであったが──
 パキィン!!
 ノベルの刀が、細かい断片を散らして二つに折られた。
 ビシッ!!
「ぐあっ!」
 ノベルの刀を砕いた銃弾は、ノベルの体を直撃した。
 衝撃を受けて、後ろに吹き飛ぶノベル。
「くそっ!!」
 味方の危機に、シーナが小銃を撃ちながら果敢にベルニカに挑んでいった。
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