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裏きさらぎ駅
招かれた客
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「にゃっ!にゃっ!にゃん!!」
猫がなんとも奇妙な声を上げた。
「…くしゃみにゃん。風邪ひいたにゃん。スマンにゃん。」
なるほど。これはコイツのくしゃみだったのか。
何と言うか...可愛い。
メチャクチャ可愛い。
猫は身震いした後、毛を整えながら癒杏の方に向き直る。
「にゃ、気を取り直して…迎えが遅くにゃった、申し訳ないにゃん。今たぶんニケが癒杏のことを心配しているにゃん。」
頭を下げる猫。
「え~っと、色々と訳が分からないから、質問攻めにして良い?」
さっきから癒杏の頭の中は今までにないくらい混乱していた。
「良いにゃん!」
潔い。(というか可愛い。)
「あぁ、オーケー…。じゃ、まずね、ここはきさらぎ駅ってことで良いんだよな?」
猫が頭をぶんぶんと横に振る。
「ちょっと違うにゃん。癒杏とミーが今いる場所はきさらぎでニャくて、ミーの世界で言う裏きさらぎにゃん。一応、駅看板は同じだけど…にゃん。」
裏きさらぎ駅?初耳だ。
「きさらぎ駅も裏きさらぎ駅も、どこでもない場所にあるにゃん。でも、…。」
猫が癒杏をじっと見つめる。
癒杏も見つめ返す。
「きさらぎ駅に辿り着けるのは、誰でもない人だけにゃん。…例えば、自分が何者か忘れた人とかが迷い込むらしいにゃん。」
…何だって?
誰でもない人だけが辿り着けるどこでもない場所、それがきさらぎ駅ってこと?
…この話を可愛い猫の口から聞いていなかったら、今頃私は背筋がぞっとしていただろう。
猫は続ける。
「きさらぎ駅に迷い込んだ者は自分が誰なのか思い出すまで、永遠に元の世界に帰れないのだにゃん。」
癒杏は必死に混乱している精神を落ち着かせようとした。
かなり怖い話だ…これ。
はっきりと感じる不気味さ。癒杏は不安になった。
なんとか口を開く。
「あぁ、なるほど…、やばいね、それ、…あはは。えっとぉ…じゃあ、この駅は?」
猫がぴょんと癒杏の肩に飛び乗った。…重い。
「ここはきさらぎ駅に辿り着けなかった迷い人が来る所にゃん。癒杏が誰でもない人じゃないってことにゃん。特に意味はにゃいけど…。本当なら眠気に襲われてから元の電車の中で目が覚めるんにゃけど…癒杏の場合はニケのお客さんにゃから。ミーも詳しくは分かんにゃいからニケに色々聞いてにゃん。」
ニケ。さっきも聞いた言葉。誰かの名前かな?それより、お客さんって…。
「にゃっ!、自己紹介忘れてたにゃん。ミーと呼んで欲しいにゃん。猫またにゃん。よろしくにゃん!」
あっ、meじゃなかったんだね…。
「よろしく…。そういえば、ミーは突然現れたよね?」
「違うにゃん。癒杏が寝てる間に電車で来たにゃん。起こすの悪いと思ったにゃん。」
あぁ、なるほど。
「そっか。それから、ニケって…、」
その時、ほとんど音を立てずに電車が駅に到着した。猫(また)が肩から飛び降りる。
「とりあえず乗るにゃん!続きは電車で話すにゃん。」
猫がなんとも奇妙な声を上げた。
「…くしゃみにゃん。風邪ひいたにゃん。スマンにゃん。」
なるほど。これはコイツのくしゃみだったのか。
何と言うか...可愛い。
メチャクチャ可愛い。
猫は身震いした後、毛を整えながら癒杏の方に向き直る。
「にゃ、気を取り直して…迎えが遅くにゃった、申し訳ないにゃん。今たぶんニケが癒杏のことを心配しているにゃん。」
頭を下げる猫。
「え~っと、色々と訳が分からないから、質問攻めにして良い?」
さっきから癒杏の頭の中は今までにないくらい混乱していた。
「良いにゃん!」
潔い。(というか可愛い。)
「あぁ、オーケー…。じゃ、まずね、ここはきさらぎ駅ってことで良いんだよな?」
猫が頭をぶんぶんと横に振る。
「ちょっと違うにゃん。癒杏とミーが今いる場所はきさらぎでニャくて、ミーの世界で言う裏きさらぎにゃん。一応、駅看板は同じだけど…にゃん。」
裏きさらぎ駅?初耳だ。
「きさらぎ駅も裏きさらぎ駅も、どこでもない場所にあるにゃん。でも、…。」
猫が癒杏をじっと見つめる。
癒杏も見つめ返す。
「きさらぎ駅に辿り着けるのは、誰でもない人だけにゃん。…例えば、自分が何者か忘れた人とかが迷い込むらしいにゃん。」
…何だって?
誰でもない人だけが辿り着けるどこでもない場所、それがきさらぎ駅ってこと?
…この話を可愛い猫の口から聞いていなかったら、今頃私は背筋がぞっとしていただろう。
猫は続ける。
「きさらぎ駅に迷い込んだ者は自分が誰なのか思い出すまで、永遠に元の世界に帰れないのだにゃん。」
癒杏は必死に混乱している精神を落ち着かせようとした。
かなり怖い話だ…これ。
はっきりと感じる不気味さ。癒杏は不安になった。
なんとか口を開く。
「あぁ、なるほど…、やばいね、それ、…あはは。えっとぉ…じゃあ、この駅は?」
猫がぴょんと癒杏の肩に飛び乗った。…重い。
「ここはきさらぎ駅に辿り着けなかった迷い人が来る所にゃん。癒杏が誰でもない人じゃないってことにゃん。特に意味はにゃいけど…。本当なら眠気に襲われてから元の電車の中で目が覚めるんにゃけど…癒杏の場合はニケのお客さんにゃから。ミーも詳しくは分かんにゃいからニケに色々聞いてにゃん。」
ニケ。さっきも聞いた言葉。誰かの名前かな?それより、お客さんって…。
「にゃっ!、自己紹介忘れてたにゃん。ミーと呼んで欲しいにゃん。猫またにゃん。よろしくにゃん!」
あっ、meじゃなかったんだね…。
「よろしく…。そういえば、ミーは突然現れたよね?」
「違うにゃん。癒杏が寝てる間に電車で来たにゃん。起こすの悪いと思ったにゃん。」
あぁ、なるほど。
「そっか。それから、ニケって…、」
その時、ほとんど音を立てずに電車が駅に到着した。猫(また)が肩から飛び降りる。
「とりあえず乗るにゃん!続きは電車で話すにゃん。」
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