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第1部
マッチアップ・松下VS宮原
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沢海と松下のマッチアップを見た宮原は肩の力を抜き、無意識に息を細く吐いていた。
その様子を見ていた藤本が宮原を見詰め、笑う。
「沢海が勝って安心した?」
「ーーーえ?」
宮原は一瞬、よく聞き取れずに藤本の方に振り返ると藤本は笑ったまま、ピッチに視線を戻した。
「沢海はスイッチ入ると、結構な確率で怪我人を出しちゃうからなぁ…
ーーー校外での試合最中なら、ともかくとして?…
この前、宮原達が入学式典をしている最中にT大学とのトレーニングゲームがあったんだけど。
あの時も沢海は試合最中に相手フォワードの右肩を脱臼させてんだよ。
レフリーの見ていない所だと、裏でエゲツない事しているしね。
ーーーお陰で試合は無失点、無得点で終わったけどさ」
「ーーー脱臼ですか?」
「その第2の餌食が松下になるんじゃないかって、一瞬、ヒヤッてした」
「ーーー本気、出すのかと思った」と藤本は言い、宮原をもう一度見詰める。
「ストッパーがいたから、そんな馬鹿なことはしなかったけど」
宮原は意味が分からずに藤本に訊こうとするとピッチから松下が声を上げる。
「おい!宮原!ーーーマッチアップしろよ!」
練習着に付いた土を手で払い落としながら、松下が手招きをしている。
「ほら!行って来い!
ーーー松下の動きを止めて来い!」
「ってか、コレって指名制なんですか?」
「ーーーなんかそうなったみたいだな」
藤本は当惑しながらピッチに入る宮原の肩をポンと叩く。
攻撃=松下と守備=宮原
マッチアップでは松下の186cmの身長と巧みなボディバランスで、ボールをキープする。
対して、174cmの身長の宮原はバックチャージのギリギリで足を出し、身体を寄せ、ボールの出所を塞ぐ。
ボールを前線に運ぼうとする動きとボールを奪おうとする動きは、何度も攻守が切り替わり、徐々にプレイが激しくなっていく。
攻撃は必ずゴール前でシュートで終わるように監督からの指示もあるので、松下が前を向こうとすると宮原が全身でそれを押さえる。
「宮原、オレにゴールを決めさせろよ!」
「絶対にイヤだ。全部コースを塞いでやる。
ーーー絶対にゴールは決めさせねぇよ!」
シュートを打つ寸前で宮原が足を伸ばし、軸足の左足を深く折り曲げた瞬間、また針を刺すような痛みがあり、宮原の動きが鈍ってしまう。
宮原の出遅れた動きより先にシュートモーションに入るが、松下の狙うコースの内側に身体を入れられてしまい、足を振り抜けない。
「うわっ!可愛くねぇ奴!」
松下は中々ゴールが決められずに焦燥するのが目に見えて分かる。
2人の競り合う力が宮原の左膝への負荷となって、段々と重く伸し掛かってくる。
既に全身が汗だくな宮原は左足に重心を掛けないように、松下に身体を当てられないように一定の間合いを取っている。
結果、全ての動作が後手に回ってしまい、宮原は自分のプレイを出せずにボールをゴール前まで簡単に運ばれてしまう。
松下が宮原を肘で押し退け、シュートを打つと直前で身体を投げ出した宮原は、左膝にボールの直撃を受ける。
「ーーー!!ーーー」
鋭い速球が当たり、あまりの激痛に左膝を押さえて蹲りそうになってしまう。
辛うじてボールの軌道を変えられ、ゴールには結びつかなかったが、宮原は両膝に手を付いて痛みに耐えていた。
荒れた息が落ち着かない。
鈍痛を我慢している所為なのか、べったりとした嫌な汗が額に張り付く。
「松下!交代しろっ!!」
沢海が手にしていたスポーツドリンクをピッチサイドに投げ捨て、感情を剥き出しにする。
怒気を帯びた沢海が中に入り、松下を直ぐにピッチから下ろす。
ーーー沢海の表情は固く強張り、宮原を捕らえていく。
その様子を見ていた藤本が宮原を見詰め、笑う。
「沢海が勝って安心した?」
「ーーーえ?」
宮原は一瞬、よく聞き取れずに藤本の方に振り返ると藤本は笑ったまま、ピッチに視線を戻した。
「沢海はスイッチ入ると、結構な確率で怪我人を出しちゃうからなぁ…
ーーー校外での試合最中なら、ともかくとして?…
この前、宮原達が入学式典をしている最中にT大学とのトレーニングゲームがあったんだけど。
あの時も沢海は試合最中に相手フォワードの右肩を脱臼させてんだよ。
レフリーの見ていない所だと、裏でエゲツない事しているしね。
ーーーお陰で試合は無失点、無得点で終わったけどさ」
「ーーー脱臼ですか?」
「その第2の餌食が松下になるんじゃないかって、一瞬、ヒヤッてした」
「ーーー本気、出すのかと思った」と藤本は言い、宮原をもう一度見詰める。
「ストッパーがいたから、そんな馬鹿なことはしなかったけど」
宮原は意味が分からずに藤本に訊こうとするとピッチから松下が声を上げる。
「おい!宮原!ーーーマッチアップしろよ!」
練習着に付いた土を手で払い落としながら、松下が手招きをしている。
「ほら!行って来い!
ーーー松下の動きを止めて来い!」
「ってか、コレって指名制なんですか?」
「ーーーなんかそうなったみたいだな」
藤本は当惑しながらピッチに入る宮原の肩をポンと叩く。
攻撃=松下と守備=宮原
マッチアップでは松下の186cmの身長と巧みなボディバランスで、ボールをキープする。
対して、174cmの身長の宮原はバックチャージのギリギリで足を出し、身体を寄せ、ボールの出所を塞ぐ。
ボールを前線に運ぼうとする動きとボールを奪おうとする動きは、何度も攻守が切り替わり、徐々にプレイが激しくなっていく。
攻撃は必ずゴール前でシュートで終わるように監督からの指示もあるので、松下が前を向こうとすると宮原が全身でそれを押さえる。
「宮原、オレにゴールを決めさせろよ!」
「絶対にイヤだ。全部コースを塞いでやる。
ーーー絶対にゴールは決めさせねぇよ!」
シュートを打つ寸前で宮原が足を伸ばし、軸足の左足を深く折り曲げた瞬間、また針を刺すような痛みがあり、宮原の動きが鈍ってしまう。
宮原の出遅れた動きより先にシュートモーションに入るが、松下の狙うコースの内側に身体を入れられてしまい、足を振り抜けない。
「うわっ!可愛くねぇ奴!」
松下は中々ゴールが決められずに焦燥するのが目に見えて分かる。
2人の競り合う力が宮原の左膝への負荷となって、段々と重く伸し掛かってくる。
既に全身が汗だくな宮原は左足に重心を掛けないように、松下に身体を当てられないように一定の間合いを取っている。
結果、全ての動作が後手に回ってしまい、宮原は自分のプレイを出せずにボールをゴール前まで簡単に運ばれてしまう。
松下が宮原を肘で押し退け、シュートを打つと直前で身体を投げ出した宮原は、左膝にボールの直撃を受ける。
「ーーー!!ーーー」
鋭い速球が当たり、あまりの激痛に左膝を押さえて蹲りそうになってしまう。
辛うじてボールの軌道を変えられ、ゴールには結びつかなかったが、宮原は両膝に手を付いて痛みに耐えていた。
荒れた息が落ち着かない。
鈍痛を我慢している所為なのか、べったりとした嫌な汗が額に張り付く。
「松下!交代しろっ!!」
沢海が手にしていたスポーツドリンクをピッチサイドに投げ捨て、感情を剥き出しにする。
怒気を帯びた沢海が中に入り、松下を直ぐにピッチから下ろす。
ーーー沢海の表情は固く強張り、宮原を捕らえていく。
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