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第1部
彼の恋人は前途多難
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カウンターテーブルの上にある食器類は淡いターコイズブルーの色をベースに金糸のデザインが描かれ、全て同じデザインで揃えられている。
見るからに高そうな食器の裏面には『Noriketa』と書かれてある。
高額な品々への物欲もその執着もない沢海は、この食器の価値に対しても全く興味はない。
唯一、沢海の母親が家事と掃除にマンションを出入りした際に『いつものカップ』でコーヒーを飲むので、その『Noriketa』の淡いターコイズブルーの色違いのカップだけは割らないようにしている。
「食べた食器ぐらいオレが洗う!」
「ーーーじゃあ、後は宮原にお任せしようかな」
食器を流し台に置くと念の為に沢海は宮原の傍で様子を伺ってみる。
沢海が危惧した通りに、宮原は流し台の中で平皿やコーヒーカップをガチャガチャと音を立てて洗い出す。
普段から家事とは無縁の宮原は食器用洗剤の分量が分からず、大量の洗剤を台所スポンジに流し始める。
沢海はその後に予想される動向を簡単に想像しながら黙ってフライパンを片付け、キッチンの足元スペースに常設されてある食器乾燥機の電源を入れる。
宮原は蛇口を一気に捻ると勢いよくお湯が溢れ、あっという間に流し台の中を泡だらけにしてしまう。
「わ!わ!!
ーーー先輩!…泡が!
泡が止まんない!!」
「ーーーそりゃねぇ…
そんなにいっぱい洗剤を入れたら、止まんなくなるよ……」
洗剤の泡に塗れる宮原は沢海に必死に助けを求めるが、宮原が隣を少し見上げるとその先で佇む沢海の口元が笑っている。
だが、この逼迫する現状で宮原は沢海のその表情の意味を理解する余裕を完全に失っていた。
「どうしよ!コレ!!
潰すと消えるかな?」
真っ白な泡の塊を両手で持ち挟んで、押し潰している宮原の行動に流石の沢海も吹き出してしまう。
モコモコとした泡が沢海の顔に飛び散り、それを自分の袖口で拭う仕草で声を出して笑ってしまうのを隠す。
「宮原…
ーーーその泡、潰さないとなくならないから…」
完璧な嘘を吐く沢海が若干、震える声で宮原にお願いをすると、自分が揶揄われているとはまだ分からない宮原は真剣に洗剤の泡と格闘している。
平皿を食器乾燥機に入れながら『面白いからそのままやらせておこう』と沢海は何度も吹き出し、ニヤニヤと笑っている。
結局、宮原は沢海の様子に全く気が付かないまま、洗剤の泡との戦いを暫く続けていた。
「宮原!
洗剤の泡で遊んでいるのも良いけど、そろそろ学校に行く準備をしようよ」
「はーい。
ーーーん??…泡で遊んで??」
「今頃、気が付くか?」
宮原がコーヒーカップを片手に上へ振り上げ、沢海が慌ててその手首を掴む。
「アハハ……ごめんってば!」
見るからに高そうな食器の裏面には『Noriketa』と書かれてある。
高額な品々への物欲もその執着もない沢海は、この食器の価値に対しても全く興味はない。
唯一、沢海の母親が家事と掃除にマンションを出入りした際に『いつものカップ』でコーヒーを飲むので、その『Noriketa』の淡いターコイズブルーの色違いのカップだけは割らないようにしている。
「食べた食器ぐらいオレが洗う!」
「ーーーじゃあ、後は宮原にお任せしようかな」
食器を流し台に置くと念の為に沢海は宮原の傍で様子を伺ってみる。
沢海が危惧した通りに、宮原は流し台の中で平皿やコーヒーカップをガチャガチャと音を立てて洗い出す。
普段から家事とは無縁の宮原は食器用洗剤の分量が分からず、大量の洗剤を台所スポンジに流し始める。
沢海はその後に予想される動向を簡単に想像しながら黙ってフライパンを片付け、キッチンの足元スペースに常設されてある食器乾燥機の電源を入れる。
宮原は蛇口を一気に捻ると勢いよくお湯が溢れ、あっという間に流し台の中を泡だらけにしてしまう。
「わ!わ!!
ーーー先輩!…泡が!
泡が止まんない!!」
「ーーーそりゃねぇ…
そんなにいっぱい洗剤を入れたら、止まんなくなるよ……」
洗剤の泡に塗れる宮原は沢海に必死に助けを求めるが、宮原が隣を少し見上げるとその先で佇む沢海の口元が笑っている。
だが、この逼迫する現状で宮原は沢海のその表情の意味を理解する余裕を完全に失っていた。
「どうしよ!コレ!!
潰すと消えるかな?」
真っ白な泡の塊を両手で持ち挟んで、押し潰している宮原の行動に流石の沢海も吹き出してしまう。
モコモコとした泡が沢海の顔に飛び散り、それを自分の袖口で拭う仕草で声を出して笑ってしまうのを隠す。
「宮原…
ーーーその泡、潰さないとなくならないから…」
完璧な嘘を吐く沢海が若干、震える声で宮原にお願いをすると、自分が揶揄われているとはまだ分からない宮原は真剣に洗剤の泡と格闘している。
平皿を食器乾燥機に入れながら『面白いからそのままやらせておこう』と沢海は何度も吹き出し、ニヤニヤと笑っている。
結局、宮原は沢海の様子に全く気が付かないまま、洗剤の泡との戦いを暫く続けていた。
「宮原!
洗剤の泡で遊んでいるのも良いけど、そろそろ学校に行く準備をしようよ」
「はーい。
ーーーん??…泡で遊んで??」
「今頃、気が付くか?」
宮原がコーヒーカップを片手に上へ振り上げ、沢海が慌ててその手首を掴む。
「アハハ……ごめんってば!」
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