【R18】君に触れる、全てのものから

すぐる

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第1部

2人で迎える時間

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タワーマンションの20階の窓から差し込む太陽の光は新緑の季節とはいえ刃物のように鋭く、薄暗い部屋を照らしていく。
寝室の窓が大きく設計されてあり、必要最低限のインテリアは簡素ではあるが明窓浄机な空間に映えていた。

エアコンの風がカーテンを緩く棚引かせ、隙間から差す陽射しがシーツの上に曲線を描いていく。
その一片が宮原の頬に掛かり、靄のように霞む視界は真っ白な色彩に包まれ、眩しさに視線を巡らせながら何度か瞬きを繰り返す。

広々とした空間に二重に歪んだ焦点が合わせると宮原は見慣れない部屋に一瞬、自分が何処にいるのか分からなくなる。
だが、身体を包み込むように巻かれたシーツからバニラのような甘い匂いが鼻腔を擽ぐり、沢海の部屋にいるのだと分かる。

宮原は微睡みながらシーツに顔を埋めようとすると沢海の腕枕が引っ掛かり、沢海が宮原の背中から抱き締めている事に気付く。
沢海の左手が宮原の腰骨に絡み付き、宮原が身動ぐと無意識に胸に手を回し、更に身体を密着させていた。

体勢を変える為に沢海から少し距離を取ろうとするが上肢を押さえ込まれ、宮原から苦笑いが漏れてしまう。

宮原は首筋に掛かる沢海の寝息の暖かさに擽られ、腰を捩らせるとクプッと水音を鳴らしたアヌスから多量に注がれた精液が垂れてくる。
トロトロと内腿を這う濃厚な液汁を止めようと下肢に力を入れた瞬間、全身を覆う鈍く、重い痛みに顔を顰めてしまう。

「ーーー痛っ、てえ……
どうしよう…
…力、入んない…
ーーーん……あ、っ……」

止まらない残滓がアヌスの浅い凹みで溜まり、堪え切れない精液の塊がドロリと流れ、肉輪を指先で解されたような生々しい感覚に背筋を震わせた。

全身に残る痺れと痛みに鳥肌を立て、ゆっくりと吐き出す呼吸に口唇が揺らぐ。

同性との激しいセックスの代償としてアヌスが熱く腫れているのか、下肢にシーツが擦れる度に敏感に反応をしてしまう。
そして、未だに執拗に触れられている愛撫に似た感触が身体に残り、宮原は戸惑いを隠せずにいた。

『ーーー沢海先輩と…
セックス、しちゃったんだ…』

宮原は全身を覆う気怠さを和らげようと弛緩させるが、昨夜の情事の残影に耽ってしまい、気恥ずかしさに俯いてしまう。
だが、その目先に自分の胸や腕に幾つも残る赤痣を見付けると居た堪れずに身体を更に丸める。

「ーーーう、わぁ……
こんないっぱい…
…コレ、取れないよぉ…」

宮原は態とらしく大袈裟に溜息を吐き出すと直ぐそばで安穏と寝息を立てている沢海を見詰め、頬を膨らませる。

誰もが羨望する程の美丈夫な男の整った鼻梁をギュッと摘み、宮原は悪戯をすると沢海は目蓋を閉じたまま一瞬、眉間に皺を寄せる。
沢海が息苦しく顔を背けたタイミングで宮原は沢海の両手を外すと宮原は肘を立て、お互いの距離を取る。

『…水…
飲みたいな…』

枯渇した喉の渇きを覚え、軽く咳き込むとヘッドボードに飲みかけのミネラルウオーターがある事に気が付く。

宮原は腕力だけで上肢を起こそうと手を伸ばした瞬間、腰部に鈍く痺れる痛みと臀部に重く疼く痛みに同時に襲われる。
下肢に走る別々の痛覚に身体を支える事さえ出来ず、ベッドの上に蹲るように倒れ込んでしまう。

『ーーーえ?ーーー
全然、身体に力が入らない…』

指先に触れたペットボトルを掴み損ねてしまい、ヘッドボードで倒してしまうと、その物音に沢海がぼんやりと目を開く。

「…あ……ゴメン…
起こしちゃった?」
「ーーーう…ぅ、ん?」

寝惚けて生返事をする沢海は横臥の体勢のまま目を開け、宮原と視線を合わせると嬉しそうにニコリと微笑む。
切長の目元が弓のように歪曲し、宮原を優しく見詰め、呟く。

「ーーー悠……」

未だに聞き慣れない宮原の名前ーー『悠』ーーと甘く囁くように呼ばれ、心臓が震えてしまう。

宮原の名前を呼ぶ声は昨夜、沢海がベッドの上でも何度も紡ぎ、何度も繰り返し、宮原の存在を確かめる大切なツールになっていた。

ただ、宮原から沢海の名前でもあるーー『直哉』ーーと呼ぶには面映さが先立ってしまい、咽喉で言葉が詰まり、声が続かない。

色素の薄い茶色の眸に見詰められると宮原は沢海を見詰め返す事だけしか出来ず、まるで全てを見透かすような視線を浴びてしまう事で、薄っぺらな裸に剥かれるような羞恥心に襲われてしまう。

沢海の素肌を首筋、両肩、胸部と更に視線を落とし、一糸纏わない姿なのだと分かると沢海の身体を受け入れた記憶が鮮明に蘇り、あからさまに狼狽してしまう。

この腕に支えられ、この胸にしがみ付き、何度も沢海が求めてくる理由いいわけを探した。
でもそれは自らも何度も求めているのだという理由いいわけを作りたかったのだと分かる。

沢海との激しいセックスに火照る身体の熱が全身をチクチク刺し、見えない棘で束縛されるような柔らかい痛みに気持ちだけが昂ってしまう。

全身を纏う汗と精液の粘着きに身体の怠さが重く伸し掛かり、溜息が漏れる。

『ーーー沢海先輩と…
セックス、しちゃったんだ…』

ーーー意識をしてしまう。
自分の中を満たしている感情が溢れ、欲情と激情に煽られ、鼓動が跳ね上がる。

ーー『悠』ーー
もっと、名前を呼んで。
もっと、好きだって伝えて。

ーーー自覚をしてしまう。
自分の中に満たされていない性欲が渇き、更に貪欲に沢海を求めうようと身体が開いていく。

ーー『直哉』ーー
名前を呼んでも、いい?
好きだって伝えても、いい?

「……悠……
好きだよ」

沢海は宮原が伝えたい言葉を吐息混じりに先に伝えられ、伸ばした手が宮原の頬を優しく撫でる。
大切に愛しむような、大事に包み込むような沢海の指先が宮原の肌に触れ、沢海の心安い幸せそうな笑顔を残していく。

「……直哉……
大好き…」

宮原は自分の素直な気持ちを沢海へ伝えると宮原もまた沢海の頬に触れ、引き寄せられるように唇を重ねる。
お互いの口唇の柔らかさを確かめ、優しく触れるだけの口付けを繰り返し、沢海は口付けの合間に「ありがとう」と答えた。

沢海は目尻を下げたまま眸を閉じると、両手で宮原の頬を包み込んだまま直ぐに寝息を立てていく。
規則的な呼吸音が聞こえ、覆い被さるように脱力した上腕の負荷に宮原は驚く。

『ーーーえ?
…寝ちゃった?』

宮原に対して精一杯に甘えている沢海の拙さに自然と笑みが漏れ、ひとつ年上の先輩にもかかわらず可愛いと思ってしまう。

宮原は自らの身体を包むシーツを広げると沢海の身体にもそれを巻き付け、沢海の胸の中に滑り込む。
そして、宮原は沢海に身体を寄せると沢海の背中に手を回し、ギュッと抱き締める。

「…好き…
大好き…
ーーー直哉…大好き…」
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