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第1章
貧困のおじいちゃん
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人間というのは非常に愚かである。優しくしてくれる人に対してそれが当たり前だと考えている人や自分がしんどくなるのにもかかわらず、人にやさしくする人もいる。この人間界ではそのようなことがたくさんある。俺は普段吉田葬儀屋で働いているが裏では死神として人に寿命を与える仕事をしている。人の寿命が俺には分かりその人が死ぬのだから
葬儀屋として効率的に稼げることが出来る。その為社長や同期にも死神という事はばれてはいないが裏では「悪魔」と揶揄されているらしい。あながち間違ってはない。
今日もあと寿命が少ない人を中心として訪問を行う。ルールとして寿命を延ばせるのは3日だけであり、「寿命が短いですよ」と声を掛けても信じない人もいる。そういう人には無理に伸ばさず死んでもらう。いちいち面倒くさいからだ。今日訪問するのはぼろい家に一人暮らしで済んでいる82歳の富永という人である。この人はあと5日で老衰する。「この家はピンポンすらないのか」とイライラを隠しながら「こんにちは」と訪問するといかにも優しそうなおじいちゃんが出てきた。「すいません。吉田葬儀屋で働いている牧田と申します。今日は富永様にお話があってきました。」という「わしも年がきているからのう」と笑顔で返してくれた。「嘘のように聞こえるかもしれませんか富永様はあと5日で老衰によりお亡くなりになります。その為寿命を延ばす仕事を私は行っています。しかし、伸ばせるのは3日だけになり料金が一日10万円になります。行いますか?」と聞くとおじいちゃんは「ほう、わしはあと5日なのか・・・なら一日だけ契約しようかのう。お金がないしなぁ」と答えてくれた。俺は物分かりが速い人で良かったと思いながら契約を行い、ついでに葬儀についても話し合った。ルールとして伸ばした日は帯同しないといけないことを伝え「5日後また来ます」と家を後にした。
5日が経ち、改めておじいちゃんの所へ会いに行くと笑顔で迎えてくれた。今日は娘に会いに行くとおじいちゃんは言い、電車で3時間かかる娘が住む家に帯同することになった。電車の中でおじいちゃんは浮かない顔をしている。「気分悪くすると申し訳ないですが娘さんと何かありましたか?」と聞くと重たい話が飛んできた。「10年前に離婚することになって妻の方に娘は行ってそれ以来会っていない」だという。24時間のうちの半分が経過したとき娘さんのお家に僕たちはたどり着いた。
インターホンを押すと若い女性が出てきて、顔を合わせた。女性は僕たちの顔を見るとすぐに玄関を閉じロックをかけた。やはり、いきなりという事もあり動揺を隠しきれないようであった。おじいちゃんは「今日で由香とはお別れなんだ。だから挨拶しておきたかった。」と言い、外でずっと待っている。それに対し由香さんは「何を言っているかわからないけどあなたのせいでうちがどれほど迷惑を受けたかわかってないでしょう!」と答え玄関に入れることはなさそうに感じた。「そうか・・・今まで迷惑をかけてすまなかった。お金がない状態で家を追い出してしまったことは一生許されないと思っている。だけど少しだけ家に入れさせてもらえないか?」と言うと小さい女の子が扉を開けて「入っていいよ!」と対応してくれた。どうやら由香さんの娘さんのようだ。
家に入ると娘さんが「この人は誰?」僕の方を見て質問してきたので、「吉田葬儀屋で働いております牧田と申します。富永さんとは住んでいる場所が近くて、仲良くさせてもらっています。」と若干のウソを交えて答えた。まだ由香さんは怖い目をしているが「そう」と答えてくれた。何秒か沈黙が続いた時由香さんの娘さんが「おじいちゃんマナと一緒に遊ぼう!」と声をかけて富永さんを外に連れ出してしまった。家の中は僕と由香さんだけになってしまい、気まずい以外の何物でもない。また沈黙が続くと由香さんは話し始めた。「うちの父は本当に最低な人です。私たちが苦しい時には何もしてくれなかった。母も貧乏じゃなかったらもっと長生きできたと思う。これだけは本当に許せないんです。でもマナの嬉しそうな顔を見たのは本当に久々で、喜んでいる姿を見ているとこっちも嬉しくなった。私も昔、父といっぱい遊んだことを思い出したから・・・」そんな由香さんの姿を見て家の中にいても困りそうなので「僕たちも外に出ませんか?」と答え、富永さんとマナちゃんの後を追うように公園に向かった。
公園に向かうとブランコで二人の姿を見つけたが声はかけず、遠くから眺めるようにした。本当に二人は楽しそうにブランコや滑り台を楽しみ花屋さんに向かっていった。気付かれないようにあとを追いかけてみると富永さんは「アツモリソウという花を二輪欲しいのだがあるかね?」と定員に注文をし、花を二人で分け合った。「この花はわしにとってとても大切な人にしか上げない花なんだ。だからマナちゃんは賢くなってこの花の意味を知ってほしいと思っておる。」そういうとマナちゃんは「分かった!マナは花屋さんになってもっと勉強する!でもこの花家にもあるよ!お母さんが大切にしている」と答え富永さんと由香さんは涙をながしていた。
由香さん涙が止んだ時にマナちゃんと合流し、家についてみんなで晩御飯を食べた後、終電のため富永さんと僕は帰らなくてはならなくなった。ルールとして最後の瞬間は僕しか見てはならないからである。マナちゃんが「また会えるよね・・・おじいちゃん」と涙ながらに言うとおじいちゃんは「今日はほんとに楽しかった。マナちゃんのおかげだよ。いいお母さんを持ったね。由香、幸せに暮らしてね。」と言い二人にハグをして家を出た。電車の中で「後悔はないですか?」と僕は声をかけると「あるわけない。むしろ君には感謝しかない。寿命が分かったからこそ素直に今日の一日を迎えることが出来た。ありがとう。」富永さんは答えてくれた。
1月18日 午前2時51分 富永宗男 老衰により逝去 往年72歳
翌日由香さんにご報告をし、葬儀を行った。棺桶の中に眠っている富永さんの姿を見てマナちゃんは「おじいちゃんちょっとしか遊べなかったけどありがとう。」と泣いており、おじいちゃんがマナに渡したアツモリソウを持っていた。無事に葬儀が終わり由香さんやマナちゃんとお別れをした後になぜ、富永さんはマナちゃんにこの花を渡したんだろう?と疑問に感じ、アツモリソウについて調べてみた。花には言葉があるらしくアツモリソウの言葉の意味は「君を忘れない」という。今まで人の死を繰り返し見てきた自分だったがこの時初めて人間の「愛」というものが何なのかを少しだけわかった気がした。
葬儀屋として効率的に稼げることが出来る。その為社長や同期にも死神という事はばれてはいないが裏では「悪魔」と揶揄されているらしい。あながち間違ってはない。
今日もあと寿命が少ない人を中心として訪問を行う。ルールとして寿命を延ばせるのは3日だけであり、「寿命が短いですよ」と声を掛けても信じない人もいる。そういう人には無理に伸ばさず死んでもらう。いちいち面倒くさいからだ。今日訪問するのはぼろい家に一人暮らしで済んでいる82歳の富永という人である。この人はあと5日で老衰する。「この家はピンポンすらないのか」とイライラを隠しながら「こんにちは」と訪問するといかにも優しそうなおじいちゃんが出てきた。「すいません。吉田葬儀屋で働いている牧田と申します。今日は富永様にお話があってきました。」という「わしも年がきているからのう」と笑顔で返してくれた。「嘘のように聞こえるかもしれませんか富永様はあと5日で老衰によりお亡くなりになります。その為寿命を延ばす仕事を私は行っています。しかし、伸ばせるのは3日だけになり料金が一日10万円になります。行いますか?」と聞くとおじいちゃんは「ほう、わしはあと5日なのか・・・なら一日だけ契約しようかのう。お金がないしなぁ」と答えてくれた。俺は物分かりが速い人で良かったと思いながら契約を行い、ついでに葬儀についても話し合った。ルールとして伸ばした日は帯同しないといけないことを伝え「5日後また来ます」と家を後にした。
5日が経ち、改めておじいちゃんの所へ会いに行くと笑顔で迎えてくれた。今日は娘に会いに行くとおじいちゃんは言い、電車で3時間かかる娘が住む家に帯同することになった。電車の中でおじいちゃんは浮かない顔をしている。「気分悪くすると申し訳ないですが娘さんと何かありましたか?」と聞くと重たい話が飛んできた。「10年前に離婚することになって妻の方に娘は行ってそれ以来会っていない」だという。24時間のうちの半分が経過したとき娘さんのお家に僕たちはたどり着いた。
インターホンを押すと若い女性が出てきて、顔を合わせた。女性は僕たちの顔を見るとすぐに玄関を閉じロックをかけた。やはり、いきなりという事もあり動揺を隠しきれないようであった。おじいちゃんは「今日で由香とはお別れなんだ。だから挨拶しておきたかった。」と言い、外でずっと待っている。それに対し由香さんは「何を言っているかわからないけどあなたのせいでうちがどれほど迷惑を受けたかわかってないでしょう!」と答え玄関に入れることはなさそうに感じた。「そうか・・・今まで迷惑をかけてすまなかった。お金がない状態で家を追い出してしまったことは一生許されないと思っている。だけど少しだけ家に入れさせてもらえないか?」と言うと小さい女の子が扉を開けて「入っていいよ!」と対応してくれた。どうやら由香さんの娘さんのようだ。
家に入ると娘さんが「この人は誰?」僕の方を見て質問してきたので、「吉田葬儀屋で働いております牧田と申します。富永さんとは住んでいる場所が近くて、仲良くさせてもらっています。」と若干のウソを交えて答えた。まだ由香さんは怖い目をしているが「そう」と答えてくれた。何秒か沈黙が続いた時由香さんの娘さんが「おじいちゃんマナと一緒に遊ぼう!」と声をかけて富永さんを外に連れ出してしまった。家の中は僕と由香さんだけになってしまい、気まずい以外の何物でもない。また沈黙が続くと由香さんは話し始めた。「うちの父は本当に最低な人です。私たちが苦しい時には何もしてくれなかった。母も貧乏じゃなかったらもっと長生きできたと思う。これだけは本当に許せないんです。でもマナの嬉しそうな顔を見たのは本当に久々で、喜んでいる姿を見ているとこっちも嬉しくなった。私も昔、父といっぱい遊んだことを思い出したから・・・」そんな由香さんの姿を見て家の中にいても困りそうなので「僕たちも外に出ませんか?」と答え、富永さんとマナちゃんの後を追うように公園に向かった。
公園に向かうとブランコで二人の姿を見つけたが声はかけず、遠くから眺めるようにした。本当に二人は楽しそうにブランコや滑り台を楽しみ花屋さんに向かっていった。気付かれないようにあとを追いかけてみると富永さんは「アツモリソウという花を二輪欲しいのだがあるかね?」と定員に注文をし、花を二人で分け合った。「この花はわしにとってとても大切な人にしか上げない花なんだ。だからマナちゃんは賢くなってこの花の意味を知ってほしいと思っておる。」そういうとマナちゃんは「分かった!マナは花屋さんになってもっと勉強する!でもこの花家にもあるよ!お母さんが大切にしている」と答え富永さんと由香さんは涙をながしていた。
由香さん涙が止んだ時にマナちゃんと合流し、家についてみんなで晩御飯を食べた後、終電のため富永さんと僕は帰らなくてはならなくなった。ルールとして最後の瞬間は僕しか見てはならないからである。マナちゃんが「また会えるよね・・・おじいちゃん」と涙ながらに言うとおじいちゃんは「今日はほんとに楽しかった。マナちゃんのおかげだよ。いいお母さんを持ったね。由香、幸せに暮らしてね。」と言い二人にハグをして家を出た。電車の中で「後悔はないですか?」と僕は声をかけると「あるわけない。むしろ君には感謝しかない。寿命が分かったからこそ素直に今日の一日を迎えることが出来た。ありがとう。」富永さんは答えてくれた。
1月18日 午前2時51分 富永宗男 老衰により逝去 往年72歳
翌日由香さんにご報告をし、葬儀を行った。棺桶の中に眠っている富永さんの姿を見てマナちゃんは「おじいちゃんちょっとしか遊べなかったけどありがとう。」と泣いており、おじいちゃんがマナに渡したアツモリソウを持っていた。無事に葬儀が終わり由香さんやマナちゃんとお別れをした後になぜ、富永さんはマナちゃんにこの花を渡したんだろう?と疑問に感じ、アツモリソウについて調べてみた。花には言葉があるらしくアツモリソウの言葉の意味は「君を忘れない」という。今まで人の死を繰り返し見てきた自分だったがこの時初めて人間の「愛」というものが何なのかを少しだけわかった気がした。
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