噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。

春色悠

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一章

噂の冷血公爵先輩

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「………、…………………。」
「…ごめんね、ちょっとシャイなんだ彼。これから僕らは何かと一緒に行動することになるけど、学園生活についてとか気になることが有れば、先輩の僕らになんでも聞いてね。
 3年生だからそれなりに学園の事は知ってるんだ。」
「…はい、お世話になります。」
「お、お世話になりますっす!!」
「うんうん、元気でいいねえ。僕はミズル・デュリオール。彼はデンベル・フランネル。よろしくね。」
「ユーリス・ダンツと申します。よろしくお願いします、先輩方。」
「じ、自分は、ポピール・ペラットって言います!よ、よろしくおねがいしますっす!」
 元気のいい同輩のポピールは、緊張と慣れない敬語でガチガチになりながら横で挨拶をしている。
 その横でにこにこと愛想良さげに挨拶していた俺は実に落ち着いて見えたことだろう。
 しかし内心は全然落ち着いていない。
(え、え、?これが噂の【冷血公爵】デンベル・フランネル!?うそだろ、はあ?)
 本来なら敬語に不慣れらしいポピールのフォローだってしたかったのに!
 デンベル・フランネルがこんな人だって思わなかった。
 噂曰く___
 若干15歳にして自身が公爵になる為、父親を蹴落としたとか…。
 どんなに凄惨な光景を見ても全く動じることがないとか…。
 敵にも味方にも慈悲がないとか…。
 総合して、彼の人は血も涙も無いと【冷血公爵】と呼ばれている。
 …と聞いていたのだけれど。
「…………………。」
 目の前の無言の【冷血公爵】と言われるその人は、ものす~~~っごく、しゅんとしていた。
(……も、物凄く、落ち込んでいる…!垂れた犬耳の幻覚が見えるっ!)
 こ、これが前世で言うギャップ萌え!!
 なんてどこかズレたことを考えつつ、ユーリスはデンベルが先程何か喋ろうとしていたのを思い出す。
 結局何も言えぬ間にデュリオールが説明を始めた為、その後ずっと黙ったままではあったが。
(もしかして……説明を全て任せてしまった事に落ち込んでいる!!?な、なんて素直で優しい人なんだ!!)
 ユーリスは思った。噂は当てにならないと言うのは本当だったと。
 そしてついでに思い出した。
(そういえば、皆表情とかで感情を察したりとか、しないんだっけ?)
 そう、この世界において、表情は感情表現の一つでは無い。
 故に、どれだけ小馬鹿にしたような顔をしていようが、直接相手を小馬鹿にしない限りわからないのである。
 その分言葉の発音や使い方が細かく、声色などで感情を読み取ったりするのだが、デンベルは寡黙である。
 つまり、デンベルがどれだけ表情を変えても気持ちは伝わらない。
 噂の【何を考えているのかわからない】はある意味、本当であった。
 ______ユーリスを除いて。
(フランネル先輩は寡黙なんだなぁ。)
 その当の本人は呑気に良い先輩達と知り合えたと何も考えていなかったが。


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