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第七章 天竜国編
第31話 新生ポンポコ商会2
しおりを挟む元々は、両隣で店を開けていた店長二人を副店長にすえ、新生ポンポコ商会の商売が始まった。店長は、ネアさんだ。
広くなった間口の一方に点魔法で作ったグリルを置き、その上でクッキーを焼く。グリルは外に面しているので、往来から焼くところが見えるし、香りも流れる。
グリルの横には蜂蜜を掛けるための台があり、お客さんは、その上で焼きたてクッキーに蜂蜜を掛けてもらう。
先日、草原でクッキーランチしたときに思いついたアイデアだ。
アツアツクッキーの威力はすさまじく、物凄い勢いで商品が売れていく。チュロスの売れゆきも好調だ。
そして、店には新しい商品が並んだ。
これは天竜国「光る森」の「枯れクズ」から作られた水晶灯だ。これを販売する責任者はイオとして、サポートにリニアが付く。
値段を決めるのに少し時間が掛かったが、結局、一片竜金貨五枚と言う高額にした。日本円で換算すると約250万円だ。
ただ、太陽に当てるだけで半永久的に使えることを考えると決して高い金額ではない。天竜様ゆかりの品だというプレミア感もあるしね。
試験的に売りだすと、飛ぶように売れていく。さすがに一般家庭での購入は少ないが、役所や四竜社関係者が大量に買っていく。
在庫はほぼ無限だから、売りきれの心配はない。水晶灯の販売に関しては、他の使い方をしないように契約書にサインしてもらった。エネルギー互換装置として使えないこともないから、これは大切な事だ。
俺は、すべての水晶灯に時間付与を施した点を付けておいた。灯りとして以外に使用すると、水晶灯が点に吸いこまれて消滅するようになっている。
時間付与を施したのは、俺が別の世界に居てもその効果を発動させるためだ。
点収納内の時間遅延以外に、このような使い方もあるんだよ。まあ、気づいたのは点ちゃんだけどね。
『<(`^´)> 感謝したなら、ちょくちょく私を使いなさい』
へいへい、分かっていますとも。
『(Q ・`д・´) そこ、返事は、「はい」一回』
な、なんかお母さんのようになってないか、点ちゃん。
『(^▽^) わーい、ご主人様のマンマになっちゃった』
まあ、いいですけどね。
そういえば、儲けたお金だが、今まで、ポンポコ商会に入ってきたお金は、各支店が管理し、そこから給料や必要経費を差しひくという方法を採ってきた。
俺が支店に行ったとき、点収納に余剰分を納めている。
その「〇〇世界/もうけ」とタグをつけた点収納の中がどうなっているか、ちょっと怖くて見ていない。そのうち支店長会議でもやって、中身を確かめよう。
このポータルズ世界群には世界間を繋ぐ銀行がないんだよね。
アリストなどには原始的な金融システムがあるし、アルカデミアには地球よりすすんだ銀行のような仕組みがあるんだけど、世界間となると、いまだに物々交換か、貨幣と物の交換ぐらいしかないんだよ。
これは、これからの課題だね。まあ、手を付けるとしても、よほど金融に詳しい者の知恵が必要だろう。
こうして、新店舗の運営で史郎が忙しくしているときに、天竜の長から念話が入った。
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