42 / 69
42.結果(2)
しおりを挟む「バルト様、ランバート様よりお手紙を預かって参りました。」
「ありがとうございます。」
手紙を受け取り中を見てみると、貴族の件で話があるから至急家まで来てほしいとの事だった。
「ようやくか。」
アルベルト家で話をしてから約1ヶ月。
短いようで長かった。
「今から行きますとお伝えください。」
「かしこまりました。」
使いの人に伝言を残し、俺も準備をする。
クレアとシャルそして、ウィルをおばちゃんの所に連れていき、アルベルト家に向かった。
「バルト様。お久しぶりですね!」
アルベルト家に着くとエリナが出迎えてくれた。
1ヶ月ぶりのエリナだ。
とても可愛いく、やっぱエリナのことが好きなんだなと思う。
「お久しぶりです。エリナ。」
エリナがにっこりと微笑む。
「お父様が待っておられます。こちらへ。」
エリナに案内され家の中を進む。
「エリナは婚約者は決まっておられるのですか?」
「どうしたんですか?急に。」
「いえ、貴族のご令嬢ならもう決まっているのか気になっただけですよ。」
「まだ、決まってはおりません。ですが、多分そろそろお父様がお決めになる頃だとは思っています。」
やっぱりか……
俺が貴族になりたいのは、エリナと付き合い結婚したいからである。
しかし、俺が貴族となり、一人前の貴族となる前にエリナは婚約してしまうだろう。
何か手を打っておかないとな。
――エリナに連れてこられたのは、この前と一緒の部屋だった。
そこには、白い髭を生やした中年男性がいた。
その人こそアルベルト家当主のランバートだ。
そして、甲冑を着た騎士のマルスも一緒だ。
「バルト君、久しぶりだね。そこに座りたまえ。」
「はい。」
「手紙でも言った通り、結果が決まったので報告させてもらう。――バルト君は今日から貴族となる。」
「本当ですか!?」
予想はしていたとはいえ、やはり嬉しいものだ。
「ああ、貴族としての位は低いが立派な貴族だ。貴族になると姓を持つことを許される。さて、姓はどうする?」
へーそういう仕組みだったのか。
「じゃあ、ルディアで」
「ふむ、今日から君はルディア・バルトだ。それと、バルト君には領地も与えられた。」
通常、貴族にしただけでは、その国に縛ることはできない。
そこに領地を与えることで、国に重要な戦力として縛ることができるのである。
「ここから北西に40km行った所に小さな農村がある。名をマラアイという村だ。その周辺の直径5kmが君の領地となる。領主はその村に必ず居ないとならないという決まりはない。現に、小さな領地しか持たない貴族は大きな街で暮らし、たまに税を回収するために赴くぐらいだ。」
「そうなんですか。でも、私はそこに住もうと思います。」
「え!?本当ですか!?」
そこで声を上げたのはエリナだった。
「はい。そうしようと思っています。」
「そうですか……あまり会えなくなるのですね。」
最後の方は呟く程度の声だったので聞き取ることは出来なかった。
「いいのかね?本当に小さな村だよ。ここに比べるとかなり不便だとは思うが。」
「数年すれば大きな街になりますので。」
「それは君が大きくするということかね?」
「はい。」
「ハハハ、ずいぶん自信があるようだね。でも、不思議なことに君なら実現してしまう気がするな。頑張りたまえ。何か手伝えることがあれば言いなさい。出来るだけ力を貸そう。」
「ありがとうございます。」
「そうそう、王様からも祝金を頂いたから渡しておこう。」
「それはありがたいです。これからしようとすることはお金もかかるので。」
「そうか、楽しみにしているよ。さて、他に何もなければこれで失礼させて貰おうかと思うのだが。」
「待ってください。1つお願いがございます。」
「何だね?」
「私をエリナさんの婚約者候補にしていただきたい!」
みんなの顔には驚きが見られた。
ランバートは一瞬何を言われたのか分からないような顔をしており、マルスも目を白黒させていた。
その中でも一番驚いていたのはエリナだった。
口をポカンとあけ、少し間抜けな顔になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる