自己中心主義勇者 egoistic hero

バード・ポー

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児童遊戯

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リーとカズマが話をしている間、メイは外で一人しゃがんでいた。

一人でいると昔いじめられていた記憶がよみがえる。

小さい子供達が遊んでいるのを独りぼっちのメイがじーっと見ている。

私も一緒に遊びたい・・・そう思って近づくと皆怯えて逃げていく。

どうして?

どうして皆私の事さけるの?

どうして皆私と遊んでくれないの?

寂しいよ・・・

誰か助けて・・・・



リー:「メイ、起きなさい。」



リーの呼びかけにメイはハッと頭を上げる。

リーとカズマとドグマが庵から出てきた。

メイは涙ぐんでいたのを腕で拭った。

悲しい夢を見ていたようだ。



メイ:「じーじ、話おわたの?」

リー:「ああ、この方は戦争でオマエの力を借りたいようだね。それでいいのかい?」

メイ:「うん、代わりにお城にすめるし、ごはんも食べれる。」

リー:「この方はオマエに闘い方も教えてくれるそうだがどうだい?」

メイ:「それはいらないアル。私つよいから誰にも負けない。」

カズマ:「いやメイちゃん、君はまだ未熟だ。」



カズマの言葉にメイはムッとする。



カズマ:「今から君にそれを教えてあげよう。かかってきなさい。」



カズマは腰をやや落としてファイティングポーズをとる。



メイ:「オマエ正気アルか?ワタシと戦えばオマエボコボコになるアル。」

カズマ:「君は俺に触る事もできない。」

メイ:「私を怒らせる気アルか?私が本気だしたらオマエ死ぬアルよ。」

カズマ:「本気で来い。殺す気でな・・・」



さらに挑発するカズマ。

メイの怒りは頂点に達した。



メイ:「つぶす・・・」



メイはカズマに飛び掛かった。

カズマの顔面に右の拳を打ちこむ。

カズマはヒョイと身をかわしながらメイの右手をとり、くるりと回転する。

そしてメイをそのまま前方の地面にやさしく投げ下ろす。



カズマ:「もう一回だ。」



スッとカズマは離れ、メイを手招きする。

メイは立ち上がり今度はカズマに飛び蹴りを放つ。

今度もカズマはメイの足を掴み、くるりと回転し、前方の地面にメイをやさしく投げ下ろす。



カズマ:「もう一回・・・」



メイは背中をさすりながら再びカズマに飛び掛かる。

今度は両手でカズマを掴もうとする。

カズマはメイの両手を片方ずつ掴み、まとめて、くるりと回転して前方の地面にやさしく投げ下ろす。

メイは何度もカズマに飛び掛かったが、同じ要領で投げとばされてしまっていた。

リーはメイが全くカズマの相手にならない事に驚いていた。



リー:「これは・・・」

ドグマ:「カズマの奴・・・遊んでやがる。」



メイとカズマの様子は闘いとは程遠いものだった。

まるで父親にじゃれる子供と、それを軽くいなしている父親。

そんな戯れが続くとメイはフラフラになっていた。

地面に投げ下ろされる衝撃はさほどでもないが、くるくると回転させられて三半規管が影響を受けたようだ。

メイは目が回るのか足取りもおぼつかなくなってきている。



メイ:「パーパ(お父さん)・・・」



ぐるぐると頭の中が混濁し、目の前のカズマに自分の父親を重ねる。



メイ:「パーパ!もっとワタシをかまって!」



そう叫びながらカズマに抱きつこうと突進するメイ。

それをヒラリとよけて回転させて投げ飛ばすカズマ。

フラフラと立ち上がったメイは泣いていた。



メイ:「どうしてワタシを捨てたの?パーパ。」



両手を前に出してよろよろとカズマに近づいていくメイ。



メイ:「寂しいよ・・・パーパ・・・」



その時カズマはすばやくメイの背後に回り込み、首の後ろに手刀を打ち込む。

メイは意識を失い、その場に崩れ落ちそうになった。

カズマはメイの体が地面に落ちる前に優しく抱きかかえる。



カズマ:「ほい、お疲れさん。」



あまりにもあっけなくメイが倒されたのを目の当たりにしたリー。



リー:「信じられん・・・」

カズマ:「約束通りメイさんを傭兵として教育させていただきます。明日には二人ともお城に引っ越しをしてください。荷物をまとめてもらえれば城から荷馬車と人員を送ります。メイさんはこのまま寝かせておけば朝には目覚めるはずです。寝室に連れていくので案内してください。」



メイを抱きかかえながらカズマは庵の中へ向かった。

あわててリーはそれを追いかけて寝室へ案内した。

寝室にメイを寝かせて布団をかけるカズマ。

メイの寝顔を見るといい夢を見ているのか笑顔だった。
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