自己中心主義勇者 egoistic hero

バード・ポー

文字の大きさ
48 / 93

第二ラウンド

しおりを挟む
夜が明けサンライト城に朝が来た。

カズマ、メイ、マリの三人はメイの部屋で朝食を済ませ、城門へと向かった。

城門の前に来るとシュウとドグマは既に到着して、射撃兵を配置していた。

その中に撮影班の僧侶達も混じって銃ではなくカメラを携帯していた。



カズマ;「首尾はどうだ?」

ドグマ:「順調だ。いつでも迎え撃てるぞ。」



その時空に花火が上がった。



シュウ:「来たべ。皆警戒するだよ。モンスターが第一トラップラインを越えたべ!」

ドグマ:「監視員!双眼鏡で見えるか!?」

監視員:「見えましたドグマ様!リザードマンの軍勢が城門に向かってきます!」

カズマ:「全員Frozengunを構えろ!リザードマンは動きが素早い!トラップにかかったところに集中攻撃だ!」



カズマが叫ぶと全員がFrozengunを構える。

二、三秒後にリザードマンの軍勢の姿が現れ、第二トラップラインに到達する。

先頭のリザードマンの脚がトラップの糸を引きちぎると罠が発動し、リザードマンの軍勢の一部が落とし穴にはまった。

そこを狙って射撃兵達はFrozengunを撃つ。

次々と凍り付くリザードマン達。

そこへ別の射撃兵達がHighpressuregunを撃ち込む。

ギューンギューンと音がした後、凍り付いたリザードマンが粉々に砕け散っていく。

後続のリザードマン達は城門からの攻撃に意表をつかれてひるんでいる。

そこへすかさずFrozengunを撃ち込むカズマ達。

ようやく第二トラップラインを抜けて城門へ近づいてきたリザードマンも腕や尻尾がちぎれてフラフラだった。

城門の射撃兵達は容赦なくそこへFrozengunとHighpressuregunを撃ち込む。

もはや大勢は決していたが、リザードマン達はひたすら城門へ近づこうとする。

そのリザードマン達からやや離れた所に二人の人間がいるのをカズマは見つけた。

カズマは双眼鏡を監視員から奪い取り二人を覗く。

一人は女、もう一人は鎧兜の男に注射を打っていた司令官。



『アイツだ!』



カズマは双眼鏡を放り投げ、司令官のいる方向へ向かった。



マリ:「カズマ!」



そう叫ぶとマリも城門を飛び降りカズマを追った。

チッと舌打ちをしてシュウもマリについてカズマを追う。



ドグマ:「オイ!待て!全員射撃やめ!」



ドグマは城門からの射撃が三人におよばないように射撃をやめさせる。

そして自ら城門の前でリザードマンの残党を迎え撃つべく下におりた。

城門から飛び降りた後カズマはリザードマンの群れに向かった。

そして群れの真上に飛びあがり、拳を振り下ろして群れの中に飛び込んだ。

拳は一体のリザードマンを頭から叩き潰して地面に振り下ろされた。

地面に叩きつけられた拳に光が集中する。

光は大きくなると爆発して周囲のリザードマンを吹き飛ばす。

カズマの半径3メートル程の地面がえぐれてあたりにはリザードマンの死体が転がっている。

カズマが再び司令官の方へ走り出すと一体のリザードマンがカズマに立ちはだかった。



カズマ:「邪魔だ!どけ!」



カズマは吠えると拳を突き出しリザードマンに殴りかかった。

リザードマンは素早くカズマの拳を手で捕まえる。

しかしカズマの拳は光を帯びながらリザードマンの手を吹き飛ばし顔面にヒットする。

拳はまた光を爆発させリザードマンの顔を粉々にした。



レム:「そんなバカな・・・なぜアイツがここに・・・」



モンスター軍の司令官レムはカズマの姿を見て驚いた。

リザードマンを吹き飛ばす様子を見たレムは逃げ出した。



カズマ:「待てコラ!」



カズマはレムを追いかけ、捕まえる。

レムは抵抗するが、カズマは素早く手足を紐でしばり、口にさるぐつわをする。

マリとシュウがカズマに追いつき、レムを取り押さえる。



カズマ:「アイツも捕まえる!」



カズマはそう叫ぶと逃げていく女を追いかけた。

みるみると女に近づくカズマ。

捕まえようとカズマが手を伸ばすと女が振り向いた。

無表情の女は綺麗な顔立ちで、普通の人間ではないとカズマは気づいた。



『エルフか?』



カズマはふとそう思った。

その一瞬の油断の間に女が手をカズマの前に差し出し何か唱えた。



「ファイア・・・」



女の手のひらに火球が現れる。



『ヤベェ!』



身の危険を感じたカズマは咄嗟に顔を両腕でガードした。

火球がカズマの両腕で爆発し、カズマは後ろに吹き飛んだ。



マリ:「カズマ!」



マリはそう叫んでカズマの所に走った。

エルフの女は馬に乗って退却していった。

カズマは倒れたまま気を失っている。

腕から煙が上がり、髪の毛の焦げる臭いがする。

苦しそうに呻いているカズマに対してマリは錯乱してカズマを呼び続ける



マリ:「カズマ!イヤァァァ!カズマ!」



リザードマンを殲滅したドグマとメイがシュウに追いついた。

シュウはレムの身柄をドグマに渡すとカズマとマリの所へ向かった。

取り乱すマリの首のあたりに手刀を叩き込むとマリは気を失った。

マリを抱きかかえるとシュウはワイヤレスマイクでマナに叫んだ。



シュウ:「マナさん!カズマさんが負傷した!大至急こっち来てけれ!」



そこへメイがやってくる。



メイ:「パーパ!ケガしてる!」

シュウ:「メイちゃん頼む!カズマさんをマナさんの所まで運んでけれ!」



メイは素早くカズマを抱きかかえ、城門に走って行った。



『メイちゃん、マナさん。後は頼んだべ・・・』



シュウはそう祈りながら城へ向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...