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「一つ教えて」と、可憐が口を開く。
「何でしょう」
「東雲先輩を呼んだら、長嶋先輩も巻き込めるって、全部アンタの目論見通りってこと……?」
「まあ、期待はしていましたね」
事も無げに言う雪乃を見て、可憐はがくりと肩を落とすと「分かったわよ。アンタの部に入るわよ……」と、溜め息と共に言った。
それは一見すると自暴自棄になったようでもあるが、内心、雪乃には敵わないという結論に至ったからだった。
そこで怜紗が切り出す。
「あなたが星上さんなのね」
全く話の流れに沿っていない、しかし当然であろうその疑問に、楓と彩音も頷く。
学力テストの成績によって、名前こそ校内に鳴り響いた雪乃だが、その顔まで知れ渡っているわけではない。
「初めまして、長嶋先輩」と、ここでようやく挨拶する。
「どういうことか知らないけど、瑞穂をさらったわけじゃないのよね」と、彼女を抱きしめたまま言う怜紗に、しかし雪乃は「それはどうでしょうね」と、悪い笑みを浮かべる。
「え?」
「東雲先輩に釣られて、のこのこ敵地にやって来るなんて、幾ら何でも甘く見過ぎじゃないですか……?」
「ひいっ……」と怯む怜紗だが、他の面々は苦笑いを浮かべたり呆れたりしている。
そして――
「やーめーろって」ビスッ。
「痛っ」
いつもの手刀が振り下ろされるのであった。
「つまり星上さんは、関係者を全員集めた上で、黒森さんに結論を出してもらおうと思った、ということ?」
「大体その通りですね」
「でも、私はこの場に必要ないんじゃない? むしろ、黒森さんの取り合いになるかも知れないし」
「まあ、その時はその時で。演劇部との繋がりも作れますし」
つまり、どちらに転んでも雪乃には利があるという訳だ。
「ふわあ~……」と、怜紗は感嘆する。これが、実力テスト全教科一位の頭脳か、と。
「星上さんって凄いんだ~」
「うんうん」
楓と彩音が感心すると、可憐は「くっ、そこまで考えてたなんて……」と悔しがる。
しかし、身内の二人はとっくに気付いていた。
「ハッタリだな」
「そうね」
胡桃の呟きに、難なく応える冴子だが、
「えっ、雪乃ちゃんの、演技なの?」
「演劇部の部長さん、騙されてるけど……」
梢と藍香の感想を聞いて「ぶっはは」「確かに」と二人で笑う。
「まあ、アイツのは演技っていうか、都合の良いように筋書きを書き換えてんのよ。役者っていうよりも脚本家って感じかもね」
「なるほど、それは言い得て妙だわ」
演劇部の面々が去り、藍香と可憐も去って行った。
秘密基地部の設立届けは既に学校に提出されているので、可憐については後日の届け出になるだろう。
「ところで、美鳥先輩は来なかったわね」と胡桃が思い出したように言う。
もちろん、叶恵の事情もあるのだろうが、これ程の顔触れが集まった中に彼女の姿だけ見えないのは、何だか不自然に思えた。
ところが、「美鳥先輩は参加していたんですよ」と雪乃が言う。
「え、どこに?」
問われて彼女は、胸ポケットからスマートフォンを取り出すと――「美鳥先輩、見えてますか?」と、語りかけた。
「はーい、見えてますよー」
皆の前に掲げられたスマートフォンには声の主である叶恵の姿が映っている。なるほど、いつの間にかオンラインで繋がっていたという訳か。
しかし、それも然る事ながら、その横に映っているる人物を見て、皆、全てを悟った。
カメラワークがその顔へと移動する。
「牧村先生」と雪乃が呼びかける。「あんな感じになりましたが、どうでしょうか」
「ああ。最初から見ていたが、かなり面白かったな」と、柚里はそう前置きすると「私には何ら異論は無い。上手くまとまって良かったじゃないか」と講評した。
「まあ、詳しい話はまた改めてな」
「はい、よろしくお願いします」
そのやり取りからは、裏で周到に事を運んでいた様子が覗える。
「叶恵先輩も、ありがとうございました」
「はいは~い」
そうして通信が終わると、「そういうことだったのね」と冴子が口を開く。
「アンタ……。良かったの、美鳥先輩にそんなことさせて……」と胡桃は呆れるが……。
「それが、美鳥先輩の方が乗り気だったんですよ。何か、面白そうなネタだとか言って」
文芸部だっただけあって、小説か何かの材料にでもするつもりだろうか。
「美鳥先輩……」
最後の砦が陥落したような気持ちになり、項垂れる胡桃だった。
「実力テスト、ですか?」
放課後――寮に帰る道すがら、雪乃が首を傾げる。
「うん。瑞穂先輩もきらら先輩も、雪乃ちゃんのことを知っていたよね。それで気付いたんだ。だから可憐ちゃんは雪乃ちゃんを意識してたんだって」
その言葉を聞いて「そういえば黒森って、結構前から見かけてたわよね」と胡桃が思い出したように言うと、「そうそう。私も、あれ、この子って思ったわ」と冴子が同意する。
「でも、そんなことで私を気にしますかね?」と、尚も納得しない雪乃に梢は言葉を続ける。
「多分、可憐ちゃんにとってはそんなことじゃないんだよ」
「どういうことですか?」
「可憐ちゃんも頭が良いんだよ。国語は三位で英語は四位だったし……」
というのは当然、実力テストの順位のことを言っているのであろう。それだけでも十分優秀なのだが――「それに、数学は二位だったよ」
それを聞いて「あー、なるほどー」「それなら理解できるかも」と、胡桃も冴子も納得する。
それはつまり、可憐のすぐ上に雪乃の名前があったということだ。しかも雪乃は全教科一位なのである。ライバル意識を抱いても何ら不思議ではない。
「そうだったんですね。それは思いも寄りませんでした」と感嘆する雪乃。「部活動のことではなかったんですね」
その言葉に胡桃も頷く。
「アンタ、いつもは綿アメみたいなのに、時々スルドイわよね~」
「わ、わたあめ……!」がーん、という顔をする梢。
「ぶ、ぶふっ、わたっ、綿飴っ……、綿飴ってっ……」と、口元を押さえて笑いを堪える冴子に、「冴子ちゃんまでっ」と、子供のように頬を膨らませる。
「まっ、まあ、褒め言葉じゃないのっ……」と取り繕われても、「褒め言葉かなあっ……」と受け容れられないようである。
「でも、梢さんのおかけで腑に落ちました。今回は正直、どうなるか分かりませんでしたからね」
その言葉に「えっ、そうなの?」と、意外そうな顔をする胡桃に、「確かに。結局全部、雪乃の思い通りになる気がするんだけど」と評する冴子。
「それは買い被りですよ。実際、長嶋先輩たちが来たのは想定外でしたし、そもそも可憐さんだって梢さんに呼んでもらったんですから」
「じゃあ、偶然上手くいったってこと?」と、梢が飾らない疑問を投げかける。
「まあ、それもあるでしょうけど」と前置きすると雪乃は、自らの核心を探るようにその考えを口にした。
「私なんかよりも、全てを俯瞰していた人がいた、ということではないでしょうか。みんな、その人の掌の上だった、と」
「あっ」
三人の声が重なった。
「っくちゅんっ」
「あら~、可愛いくしゃみね~。風邪かしら~。看病してあげましょうか~」
「あーっ、ズルいですー。私も看病しますよーぅ」
「わーっ、おまえら、くっつくなーっ」
体をよじって、抱きついてくる和花と真琴を引き剥がす柚里。
「あん、労ってあげてるんじゃない」と言う和花に「結構だ。私はいたって健康体だっ」と胸を張る。
「あはは。それは知ってる。きっと生徒達が噂してるのよ。柚里ちゃん、人気者だからね~」
「わあ~、良いですねぇ~」
「くしゃみで噂? 保健室の先生が、随分非科学的なことを言うじゃないか」
「あら~、そんなことないわよ。どんなことにも因果関係があるものだわ」
「そんなものかね……。というか、話の腰を折るなよ」
それを聞いて、「そういえば、黒森さんの話でしたね。実力テストがどうとかって……」と、真琴が思い出したように言う。
「ああ、そうだ。黒森もかなり成績が良いだろう」
「はい、そうですね。学年でもトップクラスだと思います」というのは、担任として知っていて当然のことであろう。
「それで、ウチの星上のことが気になっていたみたいだ」
「あ、それ、わたしも白河ちゃんから聞いたかも」と、和花が反応する。
「だから、星上に話を振ったのさ」
「ああ~、そうだったんですね~」
「東雲にしても長嶋にしても、星上のネームバリューがあったからこそ誘いに乗ったんだろう。本人にその自覚は無いみたいだがな」
「雪乃ちゃんの名前、轟いてるもんね~」と納得する和花だが「でも、結果的にあれで良かったの?」と疑問を呈する。
それは、可憐がした選択についてのことであろう。しかし柚里は「そうだな。敦賀先生はどう思う?」と、その答えをそのまま真琴に委ねる。
「私は……」と一瞬、考え込む真琴だが――「黒森さんが決めたことのらそれで良いと思います」と、きっぱりとそう言った。
「うむ。ならばそれでいいさ。こちらは手を貸してやるだけだ。答えを出すのは生徒達だからな」
「ふ~ん」と、意味ありげな顔をする和花を見返す柚里。「なんだよ」
「そう言って、まだ何かあるんでしょう」
「そんなことはないさ……と、言いたいところだが、確かにそうだな」
「そうなんですか~?」と、真琴は不安そうに顔を歪める。
「ああ。順調に事が運んでいるように見えるが、実際、星上の部はまだ発足していないんだ。もし、話が立ち消えにでもなれば、これまでの流れは全て無に帰す」
それは何気に重大な話である。
「そういうことよね~」
「な、なるほど~……」
「というわけで、この計画はまだ続行中なんだ。つまり、ここで何が必要になってくると思う、敦賀先生」と柚里が疑問を投げかける。
「え、え、何ですか~……」
「作戦会議さ」
「やったー、待ってましたー」と、その宣言に無邪気に喜ぶ和花。
「あ、あー……、それですねー……」と理解はしたものの、「わたし、まだ仕事が終わってませんよう~……」と嘆く真琴。
「じゃあ、先に行ってるからな」「ガンバってねえ~」と、さっさと席を立つ二人に泣きすがる。
「そ、そんなあ~」
どうやらこちらも、定番の流れが出来てきたようである。
「何でしょう」
「東雲先輩を呼んだら、長嶋先輩も巻き込めるって、全部アンタの目論見通りってこと……?」
「まあ、期待はしていましたね」
事も無げに言う雪乃を見て、可憐はがくりと肩を落とすと「分かったわよ。アンタの部に入るわよ……」と、溜め息と共に言った。
それは一見すると自暴自棄になったようでもあるが、内心、雪乃には敵わないという結論に至ったからだった。
そこで怜紗が切り出す。
「あなたが星上さんなのね」
全く話の流れに沿っていない、しかし当然であろうその疑問に、楓と彩音も頷く。
学力テストの成績によって、名前こそ校内に鳴り響いた雪乃だが、その顔まで知れ渡っているわけではない。
「初めまして、長嶋先輩」と、ここでようやく挨拶する。
「どういうことか知らないけど、瑞穂をさらったわけじゃないのよね」と、彼女を抱きしめたまま言う怜紗に、しかし雪乃は「それはどうでしょうね」と、悪い笑みを浮かべる。
「え?」
「東雲先輩に釣られて、のこのこ敵地にやって来るなんて、幾ら何でも甘く見過ぎじゃないですか……?」
「ひいっ……」と怯む怜紗だが、他の面々は苦笑いを浮かべたり呆れたりしている。
そして――
「やーめーろって」ビスッ。
「痛っ」
いつもの手刀が振り下ろされるのであった。
「つまり星上さんは、関係者を全員集めた上で、黒森さんに結論を出してもらおうと思った、ということ?」
「大体その通りですね」
「でも、私はこの場に必要ないんじゃない? むしろ、黒森さんの取り合いになるかも知れないし」
「まあ、その時はその時で。演劇部との繋がりも作れますし」
つまり、どちらに転んでも雪乃には利があるという訳だ。
「ふわあ~……」と、怜紗は感嘆する。これが、実力テスト全教科一位の頭脳か、と。
「星上さんって凄いんだ~」
「うんうん」
楓と彩音が感心すると、可憐は「くっ、そこまで考えてたなんて……」と悔しがる。
しかし、身内の二人はとっくに気付いていた。
「ハッタリだな」
「そうね」
胡桃の呟きに、難なく応える冴子だが、
「えっ、雪乃ちゃんの、演技なの?」
「演劇部の部長さん、騙されてるけど……」
梢と藍香の感想を聞いて「ぶっはは」「確かに」と二人で笑う。
「まあ、アイツのは演技っていうか、都合の良いように筋書きを書き換えてんのよ。役者っていうよりも脚本家って感じかもね」
「なるほど、それは言い得て妙だわ」
演劇部の面々が去り、藍香と可憐も去って行った。
秘密基地部の設立届けは既に学校に提出されているので、可憐については後日の届け出になるだろう。
「ところで、美鳥先輩は来なかったわね」と胡桃が思い出したように言う。
もちろん、叶恵の事情もあるのだろうが、これ程の顔触れが集まった中に彼女の姿だけ見えないのは、何だか不自然に思えた。
ところが、「美鳥先輩は参加していたんですよ」と雪乃が言う。
「え、どこに?」
問われて彼女は、胸ポケットからスマートフォンを取り出すと――「美鳥先輩、見えてますか?」と、語りかけた。
「はーい、見えてますよー」
皆の前に掲げられたスマートフォンには声の主である叶恵の姿が映っている。なるほど、いつの間にかオンラインで繋がっていたという訳か。
しかし、それも然る事ながら、その横に映っているる人物を見て、皆、全てを悟った。
カメラワークがその顔へと移動する。
「牧村先生」と雪乃が呼びかける。「あんな感じになりましたが、どうでしょうか」
「ああ。最初から見ていたが、かなり面白かったな」と、柚里はそう前置きすると「私には何ら異論は無い。上手くまとまって良かったじゃないか」と講評した。
「まあ、詳しい話はまた改めてな」
「はい、よろしくお願いします」
そのやり取りからは、裏で周到に事を運んでいた様子が覗える。
「叶恵先輩も、ありがとうございました」
「はいは~い」
そうして通信が終わると、「そういうことだったのね」と冴子が口を開く。
「アンタ……。良かったの、美鳥先輩にそんなことさせて……」と胡桃は呆れるが……。
「それが、美鳥先輩の方が乗り気だったんですよ。何か、面白そうなネタだとか言って」
文芸部だっただけあって、小説か何かの材料にでもするつもりだろうか。
「美鳥先輩……」
最後の砦が陥落したような気持ちになり、項垂れる胡桃だった。
「実力テスト、ですか?」
放課後――寮に帰る道すがら、雪乃が首を傾げる。
「うん。瑞穂先輩もきらら先輩も、雪乃ちゃんのことを知っていたよね。それで気付いたんだ。だから可憐ちゃんは雪乃ちゃんを意識してたんだって」
その言葉を聞いて「そういえば黒森って、結構前から見かけてたわよね」と胡桃が思い出したように言うと、「そうそう。私も、あれ、この子って思ったわ」と冴子が同意する。
「でも、そんなことで私を気にしますかね?」と、尚も納得しない雪乃に梢は言葉を続ける。
「多分、可憐ちゃんにとってはそんなことじゃないんだよ」
「どういうことですか?」
「可憐ちゃんも頭が良いんだよ。国語は三位で英語は四位だったし……」
というのは当然、実力テストの順位のことを言っているのであろう。それだけでも十分優秀なのだが――「それに、数学は二位だったよ」
それを聞いて「あー、なるほどー」「それなら理解できるかも」と、胡桃も冴子も納得する。
それはつまり、可憐のすぐ上に雪乃の名前があったということだ。しかも雪乃は全教科一位なのである。ライバル意識を抱いても何ら不思議ではない。
「そうだったんですね。それは思いも寄りませんでした」と感嘆する雪乃。「部活動のことではなかったんですね」
その言葉に胡桃も頷く。
「アンタ、いつもは綿アメみたいなのに、時々スルドイわよね~」
「わ、わたあめ……!」がーん、という顔をする梢。
「ぶ、ぶふっ、わたっ、綿飴っ……、綿飴ってっ……」と、口元を押さえて笑いを堪える冴子に、「冴子ちゃんまでっ」と、子供のように頬を膨らませる。
「まっ、まあ、褒め言葉じゃないのっ……」と取り繕われても、「褒め言葉かなあっ……」と受け容れられないようである。
「でも、梢さんのおかけで腑に落ちました。今回は正直、どうなるか分かりませんでしたからね」
その言葉に「えっ、そうなの?」と、意外そうな顔をする胡桃に、「確かに。結局全部、雪乃の思い通りになる気がするんだけど」と評する冴子。
「それは買い被りですよ。実際、長嶋先輩たちが来たのは想定外でしたし、そもそも可憐さんだって梢さんに呼んでもらったんですから」
「じゃあ、偶然上手くいったってこと?」と、梢が飾らない疑問を投げかける。
「まあ、それもあるでしょうけど」と前置きすると雪乃は、自らの核心を探るようにその考えを口にした。
「私なんかよりも、全てを俯瞰していた人がいた、ということではないでしょうか。みんな、その人の掌の上だった、と」
「あっ」
三人の声が重なった。
「っくちゅんっ」
「あら~、可愛いくしゃみね~。風邪かしら~。看病してあげましょうか~」
「あーっ、ズルいですー。私も看病しますよーぅ」
「わーっ、おまえら、くっつくなーっ」
体をよじって、抱きついてくる和花と真琴を引き剥がす柚里。
「あん、労ってあげてるんじゃない」と言う和花に「結構だ。私はいたって健康体だっ」と胸を張る。
「あはは。それは知ってる。きっと生徒達が噂してるのよ。柚里ちゃん、人気者だからね~」
「わあ~、良いですねぇ~」
「くしゃみで噂? 保健室の先生が、随分非科学的なことを言うじゃないか」
「あら~、そんなことないわよ。どんなことにも因果関係があるものだわ」
「そんなものかね……。というか、話の腰を折るなよ」
それを聞いて、「そういえば、黒森さんの話でしたね。実力テストがどうとかって……」と、真琴が思い出したように言う。
「ああ、そうだ。黒森もかなり成績が良いだろう」
「はい、そうですね。学年でもトップクラスだと思います」というのは、担任として知っていて当然のことであろう。
「それで、ウチの星上のことが気になっていたみたいだ」
「あ、それ、わたしも白河ちゃんから聞いたかも」と、和花が反応する。
「だから、星上に話を振ったのさ」
「ああ~、そうだったんですね~」
「東雲にしても長嶋にしても、星上のネームバリューがあったからこそ誘いに乗ったんだろう。本人にその自覚は無いみたいだがな」
「雪乃ちゃんの名前、轟いてるもんね~」と納得する和花だが「でも、結果的にあれで良かったの?」と疑問を呈する。
それは、可憐がした選択についてのことであろう。しかし柚里は「そうだな。敦賀先生はどう思う?」と、その答えをそのまま真琴に委ねる。
「私は……」と一瞬、考え込む真琴だが――「黒森さんが決めたことのらそれで良いと思います」と、きっぱりとそう言った。
「うむ。ならばそれでいいさ。こちらは手を貸してやるだけだ。答えを出すのは生徒達だからな」
「ふ~ん」と、意味ありげな顔をする和花を見返す柚里。「なんだよ」
「そう言って、まだ何かあるんでしょう」
「そんなことはないさ……と、言いたいところだが、確かにそうだな」
「そうなんですか~?」と、真琴は不安そうに顔を歪める。
「ああ。順調に事が運んでいるように見えるが、実際、星上の部はまだ発足していないんだ。もし、話が立ち消えにでもなれば、これまでの流れは全て無に帰す」
それは何気に重大な話である。
「そういうことよね~」
「な、なるほど~……」
「というわけで、この計画はまだ続行中なんだ。つまり、ここで何が必要になってくると思う、敦賀先生」と柚里が疑問を投げかける。
「え、え、何ですか~……」
「作戦会議さ」
「やったー、待ってましたー」と、その宣言に無邪気に喜ぶ和花。
「あ、あー……、それですねー……」と理解はしたものの、「わたし、まだ仕事が終わってませんよう~……」と嘆く真琴。
「じゃあ、先に行ってるからな」「ガンバってねえ~」と、さっさと席を立つ二人に泣きすがる。
「そ、そんなあ~」
どうやらこちらも、定番の流れが出来てきたようである。
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