45 / 45
たぶん愛は私を救う
しおりを挟む「でもまあ、例の年下男ってのが案外良くて。小椋不動産のバカ息子とムリヤリ見合いさせてみたり、俺と奪い合ってるフリをしたりして、揺さぶりを掛けてみたワケ。
浦っての?アイツ、ほんとイイな。
身も心も健康だ。そこそこ苦労してるっぽいし、親の仕事を恥じていない。無駄にプライド高くないところも好感持てる。取り敢えずアレにしておけよ、コトリ」
な、なんなのこの上から目線ッ。あのバカ親父といい、どいつもこいつも本当に
大好き!!
「ったくもう、父さんもせんせ…じゃなくて、に、兄さんも私のこと好き過ぎよね」
悔しいから動揺させてやろうと思ったのに。敵はむしろ胸を張って言い返してくるのだ。
「だってコトリ、めちゃくちゃ可愛いもん。見た目だけじゃなく、中身も全部可愛いし。我が妹ながら、非の打ちどころが無いだろ。これほど愛されるべき存在は、この世に2つと有るものか。
俺にもし魔法が使えたならば、こう、コトリを小さく手の平に納まるサイズにしてな、いつもポケットに入れて連れ歩く。そんで、お前が俺ナシでは生きていられない様に溺愛しまくってやる。
『くすん、お兄ちゃん、仕事が忙しかったの?でもコトリのことももっと構ってよ』
とか毎日言わせて悦に入るんだ。
…どうだ!気持ち悪いだろう?
お前の兄はそういうことをいつも考えている、ちょっとイカレた野郎だ」
…………
「アハハ、なんだそれ。その時の富樫さんの顔を見たかったなあ」
「それがいつも通りの顔だったんだよ!表情筋をほぼ動かさずにそんなことを言ったの。なんか、激ヤバだったわ」
祖父の葬式が終わった後も暫く実家にいたため、5日ぶりで自宅マンションに戻って、こうして浦くんと寛いでいるのだが。
ちなみにこの人は今日、仕事が休みなので何もかも洗濯しまくったそうで。ウッカリ部屋着も全部洗ってしまったらしく、肌寒いこの時期にハーフパンツ1枚という姿でソファに座っている。
もちろん、上半身は裸だ。
こういう状況にも驚かなくなった自分もどうかと思うが、とにかく平気なのだから仕方ない。
「…でさ、長いあいだ保留にしてたけど、ここらでハッキリしておこうかと思って」
「あ、ハイ」
ゴクリとその喉が大きく上下したかと思うと、浦くんは改めて浅く座り直した。
なので私は座ったままペコリとお辞儀する。
「えっと、改めて私と付き合ってください。もちろん、結婚前提で」
「ええええっ?!い、いいんですか??」
なぜ驚く。
「なんで?全然いいけど」
「結婚なんて人生の一大事を簡単に決めて…、その…後悔とかしません??そんなこと言われたら俺、絶対にもう離してあげませんよ??」
「うん、望むところなんですけど~」
「わお!望まれちゃってもイイんッスか?!」
「世界で一番可愛いと評判のこの私を、慎んで受け取るといいわよ」
「はいっ!!受け取らさせていただきますッ」
世界一だなんて照れ隠しのつもりで言ったけど、父や先生のことを考えると、満更ウソでも無いような気がした。
だって彼らにとって私は、
本当に世界一可愛い存在なのだから。
ふわりと浦くんの匂いが鼻孔をくすぐる。何故かと言うと、まあるくなった私を包むかのようにして彼が抱き締めているせいだ。
「俺、一生コトリさんには敵わない気がする。だから死ぬまで俺を翻弄してください。我儘を言って、俺を試して、俺をトリコにして」
「ぷっ、回文みたい。コトリのトリコ?“ト”と“リ”が入れ替わったら完璧なのにね」
耳元で何度も浦くんが囁く。
>俺はコトリのトリコ。
>コトリのトリコ…。
そして私は幸せで心を満たされるのだ。
--END--
※最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました!ちなみに、富樫は『私たちは恋をする生き物です』にもメインで登場しております。そして、今作は公開の順番がメタメタになり誠に申し訳ございませんでした。予約投稿していたはずが、どうやらスマホ操作を誤って一話だけ即公開としてしまったようなのです。ダメダメだな、私。しょんぼり…。
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
メイウッド家の双子の姉妹
柴咲もも
恋愛
シャノンは双子の姉ヴァイオレットと共にこの春社交界にデビューした。美しい姉と違って地味で目立たないシャノンは結婚するつもりなどなかった。それなのに、ある夜、訪れた夜会で見知らぬ男にキスされてしまって…?
※19世紀英国風の世界が舞台のヒストリカル風ロマンス小説(のつもり)です。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
はっ!!浦君の事完全に忘れてた‼️
おっ、思い出してください。
一応、本作ではヒーロー的な位置づけに…いる…(言い切る自信は無い)はずなんですよッ。