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41.おしまい♡
しおりを挟む──というワケで。
予想どおり私の部屋へと直行し、玄関でくんずほぐれつ…とはいかない。だって、私達は分別のついた立派な大人で、愛や情熱も大切だけど、その後に必ずついてくる『後始末』を見て見ぬふりなど出来ないのだから。
ほら、よくアダルティな小説やコミックで玄関に入っていきなりセックスしちゃう男女が登場しますけどもね、私は声を大にして問いたい。
そのスーツ、ウォッシャブルなんですか?!
取り敢えず女性側はヨシとしよう。スカートを捲ってストッキングと下着をズラせば準備完了だし、万が一、汚れたとしても洗濯すれば問題無いのだから。しかし、男性側はそうもいかない。残念ながら玄関セックスと言えばスーツ男子が定番で、彼等はベルトのみ外してズボンや下着を脱ぎもせず、前開きからイチモツだけ出してコトを成す(※華さん個人の意見です)。いや、頑張ってズボンや下着を膝辺りまで下げたとしよう。それでも、うっかり靴で踏んでしまうかもしれないし、皺になる可能性だって有るではないか(※華さんは想像力が豊か過ぎます)。
じゃあ、汚れたソレをどうすんの?
シミ抜きする?…はあん、誰がッ?
後日クリーニングに出す?…まあ、恥ずかしい!
ね?後々のことを考えると、玄関でだなんてトンデモナイ!どうしてもと言うのなら、寝室のドアの前で疑似プレイをしてあげるからソレで我慢しなさい。あ、シーツは今朝洗ったばかりだから、このバスタオルを敷いてね。私、二日続けてシーツ洗うの嫌だよ。注文多くてゴメンナサイ。でも、こんな私が好きなんでしょ?
「…ん、好きだ」
「うふふ、私もだあい好き」
「でもな、一言だけいいか?」
「はい、どうぞ」
「俺、いまスーツ着てないんだけど」
「やだなあ、ジーパンは洗ってもなかなか乾かないでしょ?ウチの乾燥機だとシワになっちゃうから、部屋干しするしかないのね。この時期、厚手のものは厳しいんだって。そう考えると、最初っから脱いでおいた方が賢明だと思わない?」
「…思う」
「はい、納得したのなら早く脱いで!」
パンパンと軽く手を叩くと、須賀さんは素直に服を脱ぎ始めた。
「えと…じゃあ、華、こっちに来て」
「そっか、やっぱり疑似プレイをするのね?」
「ああ、頼む」
「仕方ないなあ、もう」
ベッド脇で脱いだセーターを畳み終えた私は、ブラとショーツだけを身に着けてドアへと向かう。
「なんか調子狂うなあ」
「はいはい、じゃあ照明消すから。それで用意スタートね」
そんなこんなで。寝室のドアの前だというのに、我らは玄関だというテイでキスを交わす。何度も、何度でも。
「あ…はあ…、華、くっそ、着衣のままの方が燃えるのにッ」
「あらやだ、そういう性癖?」
「性癖とかじゃなくて…ううっ、もういい!そういうことにしておく」
「でもまあ、コレはコレで燃えるよね」
「はあああっ。このまま一生、華には敵わないんだろうなあ」
「……」
「なんで急に黙るんだよ」
「だって、だって、須賀さんが」
急にモジモジする私に、須賀さんは心配そうに言葉を続ける。
「俺が、どうした?」
「気付いてないの?いま『一生』って言ったよ」
ピタッと動きを止めたかと思うと、落ち着きなく視線を彷徨わせ。それからゆっくり私を見詰めながら須賀さんは力なく微笑んだ。
「あ~、はは、イヤ…か?…その、俺と、一生、一緒にいて欲しいって言ったら」
「いいよ!死ぬまで傍にいてあげる」
「はやっ、即答かよ」
「決まってるでしょ!こんなイイ男、他の誰にも渡さないんだからッ」
「くそっ、ああ、もうッ。華!玄関プレイを再開するぞ」
「はいッ、喜んで!」
ああああん。
あっ、あっ、いいっ。
──こうして二人の熱い夜は更けていくのでした。
おしまい。
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「私たちは恋をする生き物です」の感想の返信にてこちらの作品を教えて頂きありがとうございます!とても面白かったです❣️
酔っ払って赤ちゃん言葉になったり
ドヤ顔でまんまと華に郷田さんと付き合うことを誘導しちゃって自滅して落ち込む龍がポンコツで可愛いw
龍が幸せになれて本当に良かった〜😭
楽しんでいただけて、私も嬉しいですうう。
というか、もう龍ルートは無いと言っているようなものですよね。清々しいまでのネタバレ、こんなダメっ子な自分が嫌いじゃないです。
さてさて、「私たちは恋をする生き物です」完結後に、圭くんか副社長絡みのお話しを投稿しようかと思っておりますので、またお付き合いいただければ幸いです。ペコリ。