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17.キヨはモフりたい
しおりを挟む思いっきりドン引きしている顔をしてしまったらしく、慌てて彼は詳細を説明し出す。
「俺、動物が苦手なんだよ」
「そうでしたか」
「どんなに可愛くても触れなくて」
「じゃあ触らなきゃいいでしょう」
なんなのこの意味不明な会話。かと言って流れをぶった切ることも出来ず、我慢して聞いているとようやく理由が判明した。御門さんは秋山さんの兄と親友で、その祖母が急に亡くなったため、飼っている犬を預かって欲しいと頼まれたのだと。『いいよ!』と快諾したものの、触れないどころか同じ空間にいるのも怖いので私に助けて欲しいのだそうだ。
「確か以前、実家で犬を飼ってるって言ってたよね?未来のお兄さん…聡介っていうんだけど、もう既に結婚してて、夫婦揃って目に入れても痛くないほど可愛がってる犬なんだよ。ペットホテルに預けると、なんかストレスで下痢になっちゃうらしくて。留守がちでも構わないから俺に預かって欲しいと言うんだもん、断れないだろう?キヨちゃんみたいな犬好きには堪らない話だと思うけど、どうかなあ?」
どうかなあって、正直に言うと凄く行きたい。だって、ウチのマンションはペット飼育NGだし、長いこと犬をモフモフしてないし、それより何よりすっごくすっごくモフりたい!!だけどまさか自分のことを好きだという男性宅…しかも御門さんは1人暮らしだと言ってたし、そんな危険なところに泊まりに行ったらどうなるか目に見えているではないか。
「えと…犬の種類は何ですか?」
何を訊いているんだ私!ソレいま重要?!
「ビション・フリーゼとマルチーズのミックス」
『ほら』とスマホで画像を見せられ悶絶する私。白くてタンポポの綿毛みたいな球体につぶらな瞳と鼻の黒3点セットが堪らない。何だこの愛くるしい生き物はっ!モフモフの妖精かっ?!
「…えと、行きます」
「って、ええっ、希代、お前、正気かッ?!」
隣りで龍が騒いでいるが、日々の喧噪の中で癒しが欲しいと思ってはいけないのか。
「本当に?良かったァ。えっとじゃあ、通夜と葬式とその他諸々で3泊ほど預かる予定なんだ。それ全日OKだと思ってもいい?」
「はい、大丈夫です。あ、龍も一緒に連れて行っていいですか?ていうか龍が一緒じゃなければお断りさせていただきます」
分かり易く御門さんが固まり、龍が静かに呟く。
「おいこら、希代!俺の了承も得ず、なに勝手に決めてんだよッ」
「だってっ、私これでも嫁入り前の娘だよッ?もし妙な噂が流れたらどうすんのッ。龍も一緒なら大丈夫じゃん。犬助けだと思って、お願い」
わいのわいのと話し合いは続き。審議の結果、龍もセットで宿泊することで決定したのである。
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