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36.龍との語らい
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「おはようございます」
「おはよう」
圭くんとあんなに堂々と交際宣言をしたお陰か、さすがの田島さんももう絡んでは来ないようだ。いつもなら『おはよう、またこんな時間に来たのか?俺に合わせて早く出社する必要は無いぞ』とかなんとかウザイことをほざくのに。シメシメとほくそ笑んでいると、遅れてやって来た龍が欠伸をしながら私に言う。
「あのな、御門効果抜群だったぞ」
多分、私が圭くんを選んだことで気まずくならないようにワザと明るく振る舞ってくれているのだろう。申し訳なさで胸がイッパイになったが、それを隠しながら私も陽気に答える。
「何よ、朝から意味不明なことを言っちゃって」
「あの電広堂ガールズ…あ、これは未来が名付け親だからな。とにかく電広堂ガールズたちが、御門ロスに陥り、誰でもいいから次の男を…と寂しさを埋めるかのようにそこにいたイケメンに粉をかけだしてな。ちなみにそのイケメンがこの俺だ。そんなワケで二次会は入れ食い状態だったんだぞ。希代にも是非、見せてやりたかったな。でも、なんかさー、彼女たちって主体性が無いというか、誰か1人『あの人が素敵』と言い出したら、それにツラれるんだよなあ~。それでも俺は同じ会社じゃないだけまだマシか。御門さん、よくあの姦しい女たちの相手を出来たもんだよ。ほんと感心するわ」
モテ自慢をするのかと思えば、最後の方はもう電広堂ガールズの批判になってしまっていたりして。
「自分に…」
「ん?希代、何か言ったか?」
「うん、あのね。自分に自信が無いから、あれだけ必死に外見を磨くんだろうし、誰かの意見に左右されちゃうんだなとか思って。あ、勿論、自分ダイスキの延長で自分を磨く人もいるよ?でもきっと電広堂ガールズたちの目指すものは凄くハイレベルで、多分それは環境がそうさせているんだろうけど、私みたいに女1人で呑気にやってる職場と違って、彼女たちは女だらけの職場で常に競い合って生きているんだよ。
女ってさ、誰かが見栄を張り出すと、相乗効果でどんどん見栄合戦になっちゃうとこ有るから。服装にしてもメイクにしても『バカにされないように』という考えの元、ひたすら気合いを入れていくうちあの仕上がりになったんだと思う。恋愛もきっと同じで『バカにされない彼氏』という基準で選んでるんだもん、そりゃあ対象はイケメンオンリーになっちゃうよねえ」
私の言葉に、龍がポツリと呟く。
「だから、彼女たちに魅力を感じないんだな。恋愛って、そういうんじゃないだろ。俺は彼女たちの戦利品になる気は無いし、私生活でまで中身の薄いカラッポの会話を笑顔で聞いてやる義理も無いからな。どうして富樫副社長が未来を選んだのか、そして御門さんが希代を選んだのか。…彼女たちが早く気付くことを祈ってる。無駄な張り合いばかりしてないでさ」
なんだか龍らしい考え方だな、と思って。早く龍にも素敵な相手が見つかるといいのにと思いながら、私は自分の端末に電源を入れた。
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