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52.なんだかんだで大団円
しおりを挟むきっと、この人は苦渋の選択をしたのだろう。
それは圭くんだって理解しているし、本気で責めようとは思っていないはずだ。そう、これは互いの過去の擦り合わせというか…いや、違うな。ああ、そうだ、抜けている部分を埋める作業をしているのかもしれない。これで未完成だった過去が完成し、漸く前に進むことが出来るのだ。
「えと、あの、圭さんが結婚したらお義父さんとお義母さんは一緒に暮らせるんですよね?」
私の質問に、圭くんの方が敏感に反応した。
「これだけ長いあいだ別居してるんだし、今更一緒に暮らさなくてもイイんじゃないか?むしろ、暮らし始めた途端、離婚したりして。ハハッ」
圭パパは『それは無い』と即答する。
「だって、圭も知ってるだろ?父さんは滅多に人と打ち解けない。恥ずかしながら、血の繋がった親兄弟でさえも苦手なんだ。でも、美枝子だけは違う。親に逆らってまで一緒にいたいと思った初めての人だから。優しくて、頭が良くて、面白くて。お前にも希代さんがいるから分かるはずだよな」
け、けいくん、何か言って…。
沈黙が長すぎる。
「キヨちゃん!そんなワケで結婚してください」
「え、ええっ?!どんなワケ??ちょ、端折り過ぎッ!!驚くっつうのッ!!」
「俺、キヨちゃんが大好きで一緒に暮らしたい」
「はい、私も大好きだし、一緒に暮らしたいよ」
「じゃあ結婚しよう!」
「だから端折り過ぎッ!!」
「だって、俺が結婚したら離れ離れの父さんと母さんが一緒に暮らせるんだぞ?あのジジイはほんと頭おかしいけど、約束は絶対に守る男だからな。だったら俺ら、どうせ結婚するんだし時期を早めてもいいと思わないか?」
「な、なるヘソ」
「さあ、結婚しよう!」
「えっと、はあ…」
コレ、もしかしてプロポーズの言葉として認定されちゃうのかな。だとしたら、私の返事すっごく間抜けだよね、『えっと、はあ…』だって。
パチパチパチパチ…
戸惑う私を後目に、圭パパが嬉しそうに拍手しまくっている。いつの間にかヘッドセットを装着し実況中継していたらしく、パソコン画面には狂喜乱舞する圭ママが映っていた。
「キヨちゃん、ヤッツケな感じのプロポーズでゴメン。後日改めてやり直すよ」
「こういうのは意思の確認が出来ればいいだけだから、気にしないで!」
そういうところが好きなんだよなあ…と圭くんがフニャフニャと笑い、その顔が妙に可愛くて思わず髪をワシワシと撫でまくる。
「圭くん、親孝行のために超特急で入籍しよう」
「えっと、でもキヨちゃんのご両親に挨拶を…」
「よし分かった!今度の土日に行っとこう!」
「OKかしこまり!」
なんだかコレ、想像していた結婚と全然違うんですけど。でもまあ、こういうのは勢いが大事だというし、なんだかとても楽しいのでヨシとしておく。
「婚約指輪は要らないよ、だって勿体無いし!」
「ダメだって、あれはケジメだから絶対に贈る」
「えーっ、だって滅多にしないし、後はタンスの肥やしになっちゃうのに」
「いいじゃん、いつか生活に困ったら質屋に入れられるぞ」
「なによその没落設定」
「世の中、何が起こるか分かんないだろ?でも俺、最後の最後でキミと笑えればそれでイイや」
『そうだね!』と答えて私はニッコリ微笑んだ。
--END--
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