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51.諸悪の根源
しおりを挟む全ての諸悪の根源は、どうやらお祖父さんだったらしい。そう、つまり圭パパの父親だ。彼は3人の息子を育てることはしなかったが、経済的な面で考えると親としての責務を十分に果たしたと考えているらしく。それぞれが成人した頃に、いきなり結婚相手を勝手に決めたのだと。
長男と次男は父親が経営している幾つかの会社を継いだため素直に従ったが、末っ子の圭パパだけは違う。父親の会社に入ったものの研究職を希望し、そこで知り合った同じく研究員の美枝子さんと恋に落ちたため断ったのだそうだ。それも、計画的に妊娠までさせるという念の入れようで。
このことがお祖父さんの逆鱗に触れ、圭パパは会社から追い出された挙句に同じ業種では働けなくされてしまい。しかも、全国どこに行っても住まいと職を確保出来ず(それはもちろんお祖父さんが裏から手を回していたため)。怒った美枝子さんが直談判し、『お金だけで子供が育つと考えているような人間に何をされても私たちの愛は揺るがない!』とかなんとか言ったのが、これまたマズかった。
お祖父さんの方にも、少なからず負い目はあったのだろう。けれどそれを認めるような人間では無く、むしろ逆ギレして嫌がらせは一層激しくなり、国内で圭パパと圭ママが生活することは難しいという状態にまで陥った。このままでは圭くんが生きていけないと悩んだ圭パパと圭ママは、とうとうお祖父さんに屈服。許しを乞うことになったのだが、その時に出された条件が『圭をお金だけで育てろ』、しかも期限が『圭が結婚するまで』という正気とは思えない内容だったのだそうだ。
「は?だって、そんなの有り得なくないですか。だって自分にとっては孫でしょう?孫を育児放棄するように仕向けるって、私のような凡人には理解不能なんですけど」
「でも事実なのよね。しかも圭を人質に取られているような感じになって、親子3人で海外へ逃亡することも二度ほど試みたけど、毎回連れ戻されてしまう。最終的には私だけ国外追放的なことで落ち着いてね。あのジジイ、金にモノを言わせて国家権力とかそっち方面に強いのよ。…で、泣く泣く離れ離れで生活してたってワケ」
一代で財を成す人間というのは、その性格のどこかに欠陥が見られることが多いらしいが、それにしてもメチャクチャじゃない??取り敢えずそのままの話を圭くんに伝えると、傍にいた圭パパも事実であることを認めた。
「いや、そんなら最初から教えてくれよ。ジイサンが黒幕だったってさ!俺だけ何も知らないって、まるで…そう、ピエロじゃん!」
「教えたって何も状況は変わらないだろう?圭は自分の父親が、息子を守るだけの力を持っていないポンコツだったと知りたかったのか?」
「は?そんなの父さんのプライドの問題だろ?俺は…ずっと自分が誰からも興味を持たれていないと思ってたんだぞ?!そんで、こんな卑屈な男に育ったんだっつうのッ。返せ!純粋無垢だった少年の心を!!」
「いやいや、プライドは大事だぞ。あんな親なんて捨ててやると意気込んだけどな、結局俺は仕事を失い、食べて行くことすらままならなくなって、最後は土下座して許しを乞うたんだから。クソ親父め、それを見て高笑いしやがった。ほんと鬼だよな」
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