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50.初めまして、圭ママさん
しおりを挟む「へ?どういうことなの、圭くん」
「えっと、え?分からない」
「息子が結婚するまで圭パパたち、同居禁止だったみたいだよ?」
「そう、みたいだね」
「えっ?あッ、圭くん??」
「俺、ちょっと父さんの所に行ってくる!」
いきなり乱入した圭くんに驚いたのか、予想通りスカイプ中だった圭パパは固まり。そして髪に埋もれたヘッドセットを片耳だけ外しながら、ゆっくり口を開く。
「えっと、圭?どうしたんだい?」
「あー、うん」
「そこのお嬢さん、ちょっとこっちに来てくれる?妻が顔を見たいって」
「そんなことより、聞いてしまったんだ。なぜ俺が結婚するまで母さんと一緒に暮らせないんだよっ」
私はそんなやり取りをしている父子を横目で見ながら、ワクワク気分でパソコンの前へと進む。だって、圭ママの顔が見たいではないか。私に似ているのならば地味顔に違いないが、どこがどう似ているのか非常に興味が有る。そんな風に意気込みながら視線を移してみれば…えええっ?!
物凄い美人なんですけど。
これと私が似てるとか、有り得ない!だいたい、そんなに前髪を伸ばしてるから視力が低下しちゃうんだよ。絶対にメガネをかけるべき…という目で圭パパを見つめたところ、現在進行形で息子から問い詰められている最中で。
そうこうしているうちに、圭ママが画面の中から私に向かって話し掛けてきて。だけど、その音声はヘッドセットでしか聞けないワケで。そのうち息子からゴチャゴチャ言われて混乱したらしい圭パパが、無意識にヘッドセットを私に放り投げてくる。
ここで漸く圭ママと私との会話が可能に。
「ハァイ!私が圭の母親で、名前は美枝子よ!」
「初めまして、圭さんとお付き合いさせて頂いている堤希代と申します。現在、ご主人と息子さんは揉めておりまして。その内容は、圭さんが結婚するまでお二人が一緒に暮らせないということを聞いてしまい、その理由を聞かせろと」
『嘘吐かないでくれよ!どうして隠すんだ?!』
『隠してなんかいないよ、本当に何の話だよっ』
父子の言い争いは、白熱化してきたようだ。
「私に訊いてくれれば教えたのに。ねえ、希代さん、圭に伝えてくれる?今から話す内容を」
──それは、なんとも理不尽な話だった。
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