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師匠と弟子の関係
しおりを挟むそう言えば、定期的に大介さんを含む男性陣と集まっていたが、彼らが紳士なのか、それとも私がこんな調子だからかそういうコアな話題は一切したことが無かったな。
貴重だ。
この内藤さんのように嘘偽りの無い意見を言う男が今までいただろうか?…いや、いない!!私に必要なのは、こういう男なのである。ガシッとその右手を私の両手で包み、懇願するかのようにして私は訴えた。
「じゃ、じゃあ内藤さんのことは諦めますっ!でも、また会ってくれませんか?…その、えと、指導!絶対にこのままじゃ誰とも付き合えないと思うんですね、だから男心のレクチャーと、いつか誰かとそういうことが出来るまでの長い道のりを時には励まし、時には叱咤して、私が道を踏み外さないよう見守って欲しいんですっ」
パカーッと内藤さんの口が開けっ放しになった。
どうやら突拍子もない依頼に呆れているらしい。その眉がまるで単独の生き物であるかのようにピクピクと微妙な動きをし、そして一瞬だけ瞼を閉じてから内藤さんは力なく話し出す。
「なんか…、負けたよ。香奈ちゃんみたいなコに勝てる気がしない。というかさキミは30歳の穢れたオッサンが失ったものを全部持ってるんだな。いいよ、頑張って恋をしな。オッサンはそれを見守っててあげよう」
「やったあ!有難うございまーす」
経験豊富な遊び人の男と、交際人数ゼロの処女。
普通に生きていれば絶対に交わらない2人が、こうして関わることとなり。数カ月後には誰よりも仲良くなってしまう。なにせ内藤さんは話題豊富で、どんな言葉を投げても的確に答えを返してくれるのだ。
内藤さんの方も、男女の関係にならず純粋に会話だけを楽しむのは私が初めてのようで。共通の話題が増え、タイプが違うからこそ互いに提供する話題はいつも新鮮で興味が尽きず。2人だけの行きつけの店も幾つか出来て、会えない日は電話で語り明かすことさえ有った。
なんかもう、このまま彼氏なんて出来なくてもいい、内藤さんと一生こんな感じでいられれば…などとバカなことを思い始めていた頃、久々に参加した飲み会で久々に大介さんと会うのだ。狙ったワケでは無いが、たまたま隣席になっていつもより飲み過ぎた感じの彼がボソリと呟く。
「あのさあ、俺、付き合ってた彼女と別れたよ」
「…はァ、そうなんですか」
さすが私が好きになった人と言うべきか、
大介さんには切れ目なく彼女がいるのである。
だからこのテの話はよく聞かされていたし、今更『じゃあ次は私を!』とか言う気も無い。どうせ私は恋愛対象にはならないのだし、もしなっても上手く対応出来る気がしない。だから7年間もこの状態のままなのだ。ヘイヘイと適当に相槌を打っていると、予想外の質問が発せられた。
「朝日って例の出会いパーティーで知り合ったあの男とまだ続いてんの?」
「え?ああ、内藤さんね?会ってるよ~。あの人ね、すっごくいい人!」
まだまだ内藤自慢をしようと思っていたのに、
それを遮るかのようにして大介さんは言う。
「つ、付き合ってんの?」
「あはは、そういうんじゃ無いよ。あんなモテ男、私なんか相手にしないって。なんか師匠と弟子みたいな感じなんだよね」
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