スミレの恋

ももくり

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ワイルド&セクシー?

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 困難に遭ったお陰で気づいたことがある。

 私の見た目は母似だが、
 中身は思いっきり父似だと。

 一代で財を成し、“不動産界の風雲児”と呼ばれた革新的な男。土地や建物の売買だけでは飽き足らずホテルなどを多角経営したかと思うと、後にその経営権を譲渡し、莫大な利益を上げ。周囲がどんなに反対しようと、己の信念を決して曲げない鋼のメンタル。とにかく父には先見の明が有った。
 
 だから私も、自分に対する嫌がらせを甘んじて受けていたワケではない。1つ1つに、きちんと対応していたのだ。それを証拠にエクセルで管理簿を作成しており。発生日時と内容、苦痛の度合いを星で評価し、5つに達した場合はそれなりの報復をしていた。
 
 蛇のように執念深く相手を見つけ出し、自分と同等、或いはそれ以上の苦しみを与える。例えば屋上に締め出した女子には、使用済にしか見えないトイレットペーパーを制服のスカートにそっと付着させ。何も知らずに廊下を歩いていた彼女は、ウ〇コと呼ばれて学校中の笑い者になった。
 
 教科書を捨てた女子には本人を問い詰めて犯行を自白させ、その音声を録音したのち、担任にそれを提出。結果、彼女は大学推薦を取り消された。
 
 残念なことに担任へ知らせたことで、航平と別れるように説得されたが、そんなことで挫ける私ではない。根性で交際を続けたワケだが、暫くして虚しさに苦しむこととなる。
 
 …だって皆んなヘナチョコ過ぎるのだ。
 
 もっと手強い敵はいないのか?何と言うかこう、私を成長させてくれるようなそんな凄いボスキャラは何処に?
 
 来い!かかって来いよ!
 私が相手になってやる!
 
 しかし残念ながら特に事件は起きず、そんなこんなで無事に高校卒業、大学へと進む。

「おー、スミレ。お前しばらく見ない間にデッカくなったなあ。…特に胸の辺りが」
「う、あっ、アナタは」
 
 なんとなく入った近所のコンビニで、幼馴染のタカちゃんと偶然再会した。そう、パン屋で働いていたオバさんの息子である。ボッサボサの髪にペラペラのTシャツと寸足らずのジーパンにビーチサンダル。しかしこう見えてこの男、知能は高く。日本最高学府で小難しい研究をしているらしい。
 
 こんなモッサイ男と一緒のところを
 誰かに見られては恥だ。
 
 そんな考えで、早く離れようと思ったのに。
 
「あ、おい。スミレ、待てよ」
「な、何っ?!」
 
 突然、両頬を大きな手でガッシリと包まれ、至近距離で顔を見詰められる。

「ん、よく見たら昔と変わらないな、お前。鼻水垂らしてた頃と一緒だわ、あはは」
 
 笑った拍子に、長い前髪が一瞬だけ揺れ、恐ろしく整ったその顔が見えた。
 
 ドキドキドキドキドキ…。
 
 な、なんだこれ。
 超絶好みの顔なんですけどッ。
 
 そういや航平の従兄だとか言ってたな。あの人はちょっと甘めの顔だけど、こっちはそれにワイルド感が加わるというか。やだもう、ワイルド&セクシー?しかも頭までイイなんて掘り出し物だよね?!
 
 なんだか嵐の予感がした。
 
 この男に振り回されたい。
 そしてメチャクチャ苦労してみたい。
 
 …その願いは容易く叶えられ。
 14年経過した今も、苦労だらけの毎日である。
 
 
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