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最高のキス
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交際開始から1週間が経過した。
特に変わったことは無いが、強いて言えばアッちゃんが気を遣ってよく外出するようになったことと、ヒグッチがあまり顔を出さなくなったことくらいだろうか。
あ、それとあまりにも連泊が続いたので、ウチの両親が心配してちょくちょく電話してくるようになった。実は久志と紗英の件でゴタゴタした直後から私がアッちゃん宅に泊まるようになったため、どうやら父と母の脳内では『彼氏と友人に裏切られ、心を病んでしまった可哀想な末娘』という構図が出来上がっているらしく。
それを親友のアッちゃんに癒して貰い、自力で立ち直ろうとしているのだから今はそっとしておいてあげましょう…と話し合ったようだ。
って、これ、美香ネエ情報なんですけどねッ。
こんな感じで周囲の人々は変化しているというのに、我らは怖いくらい現状維持である。
せっかく2人きりになっても、相変わらず志季さんはプラモデルを作っているし、むしろ以前よりも精巧で時間の掛かる戦艦ものに挑み出した始末。仕方ないので私もその隣りでノイシュバンシュタイン城のプラモデルをちまちまと作っているので、なんての?連帯感だけは強まるよね。
オーケイ、何も言わないで!現実逃避だと指摘されなくても分かってるから。でもほら、その辺のチャラチャラした女子たちに比べれば親密度は高いでしょ?だって共通の趣味を持っているんだもの。
「あ、奈月ちゃんもうソコまで作ったんだ?こういう細かい作業は苦手だって言ってたのに、もしかして意外と向いているのかもしれないね」
「ええ、やってみると楽しくて!この城はシンデレラ城のモデルになったという噂も有るそうなので、最後はここんとこにシンデレラと王子様のフィギュアを置こうと思っているんですよ」
どうやらプラモ作りは凝り性の私に向いていたらしく、日々、進化していることは否めない。
「ここのところなんて凄く綺麗に出来てるね。俺も今度は日本の城とかに挑戦してみようかな」
「まあ、それは素敵!」
あはは、
うふふ。
──って何だコレ?!
今どきの小学生の方がもっとイチャラブしてるわッ。もしかしてアレ?私を女として意識していないとかそういう感じ??だったら意識させてあげようじゃないのッ。
「志季さん、ちょっと休憩しませんか?」
「うん、そうだね」
瞼を閉じて、目を休ませている志季さん。その肩を勢いよく掴んで、唇を奪う。たぶん『え?』と言おうとしたのだろう、微かに開いたその唇の隙間から一気に舌を侵入させた。
嫌がってはいないはず…だって抵抗しないから。
とにかくこの人を虜にしてやろうと想いを込め、必死で舌を絡ませる。あー、気持ちいいなあ。やっぱり好きな人とのキスは最高だ。
…例え相手が自分のことを好きじゃなくても。
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