1 / 6
〈Prologue.冬場 隆二の企み〉
しおりを挟む
『りゅーじ?』
『じゃあ、りゅーちゃん?』
『りゅーちゃん!』
きゃらきゃらと天使のような笑みを浮かべた3人は、丸みをおびた手をこちらへ差し出してきた。
『『『よろしくね、りゅーちゃん!』』』
今の住所へ引っ越して来たのが4歳の時。
新しい家の近所には、俺と同い年の3人の男の子がいた。住む所も歳も近いとくれば自然と交流を持つようになり、俺達はいつも一緒だった。
何をするにも、何処へ行くにも4人で1セット。俺らを見れば大人達は「相変わらず仲良しだね」と微笑ましくみつめる、近所でも評判の仲の良さだ。
だから、初めてアイツらに会った瞬間。
俺が内心で悲鳴をあげていただなんて、誰も想像すらしないだろう。
(りゅーちゃんって……やっぱりあの冬場 隆二 じゃねーか!!)
俺は出会う前から、もっと言えば生まれる前から彼らの事を知っていた。いわゆる“前世の記憶”っていうやつで。
タイトルは忘れてしまったが、その当時とても流行していた少女漫画があった。ヒロインが3人の魅力的な男性と甘酸っぱい恋愛繰り広げる学園ラブコメで、先が気になる物語展開と魅力的なキャラ、思わず悶えてしまう胸キュン要素に世の女性達は夢中になった。
女子にモテたければコレを読め!なんて言われ、男性にもバイブル的な存在として人気が出て、かく言う俺もモテたい一心で読破した一人である。
恋愛は障害が多いほど盛り上がるという事で、この作品にもヒロインらを邪魔する悪役キャラが居た。
それがヒーロー達の幼なじみである冬場 隆二だ。
優秀でイケメンな幼なじみ達にコンプレックスを抱いていた冬場 隆二は、彼らが思いを寄せるヒロインを自分の物にしようと画策する。だが隆二の努力虚しく惹かれあうヒロイン達、最終的にはもうアイツらの恋が成就しなければなんでもいい!とヒロインに危害を加えようとするとんでもない奴だった。
読者からもだいぶ嫌われてたなぁ。最後はこれまでの行いがバレて、周りに冷たい目を向けられながら退学していったっけ。
そんな冬場 隆二に、俺は転生してしまったのだ。
意地悪そうな三白眼と下卑た笑みが似合う顔。漫画のビジュアルをそのまま小さくしたような姿に、鏡を見るたび薄々嫌な予感はしていた。
けれどイケメン幼なじみはいなかったから安心していたのに、まさか引っ越し先で出会うなんて。え、俺って高校退学になっちゃうの? 幼なじみ達蹴落とすために女の子利用するクソ野郎になんの?
……ていうか、こんな奴に絶っっ対彼女できないじゃん!!
皆の前で悲鳴をあげる事はなんとか堪えたが、その日の夜は熱を出して寝込んだ。
お先真っ暗な将来と普通に苦しい高熱に枕を濡らしながら、俺は一生懸命今後の身の振り方について考えていた。今のところ漫画のような悪役ムーヴをするつもりはないけど、これからヒーロー達を憎まない保証も無いしなぁ……あんな完全上位互換な存在が身近に居たら、性格歪む可能性は十分あり得るし。
えぇー嫌だよー。他人の当て馬で花の高校生活を消費するなんて悲し過ぎるよぉぉ。べそべそとひとしきり悩んだ後で、俺は良い案を思い付いた。
そうだ、3人がヒロインに惚れなければ良いんだ。ヒーロー達を憎みその想い人を傷付けることになるなら、アイツらが誰も好きにならなければ、俺は誰も傷付けずに済む。恋する隙なんて与えなければ良い。熱に浮かされた脳みそには、これ以上ない妙案に思えた。
グッバイ悪役! アデュー当て馬! ウェルカム ニュー ワールド! 俺は原作をぶっ壊し、平穏無事に高校を卒業する。そして今世でこそ、可愛い彼女をゲットするんだ!
こうして、俺の計画は始動した。
『じゃあ、りゅーちゃん?』
『りゅーちゃん!』
きゃらきゃらと天使のような笑みを浮かべた3人は、丸みをおびた手をこちらへ差し出してきた。
『『『よろしくね、りゅーちゃん!』』』
今の住所へ引っ越して来たのが4歳の時。
新しい家の近所には、俺と同い年の3人の男の子がいた。住む所も歳も近いとくれば自然と交流を持つようになり、俺達はいつも一緒だった。
何をするにも、何処へ行くにも4人で1セット。俺らを見れば大人達は「相変わらず仲良しだね」と微笑ましくみつめる、近所でも評判の仲の良さだ。
だから、初めてアイツらに会った瞬間。
俺が内心で悲鳴をあげていただなんて、誰も想像すらしないだろう。
(りゅーちゃんって……やっぱりあの冬場 隆二 じゃねーか!!)
俺は出会う前から、もっと言えば生まれる前から彼らの事を知っていた。いわゆる“前世の記憶”っていうやつで。
タイトルは忘れてしまったが、その当時とても流行していた少女漫画があった。ヒロインが3人の魅力的な男性と甘酸っぱい恋愛繰り広げる学園ラブコメで、先が気になる物語展開と魅力的なキャラ、思わず悶えてしまう胸キュン要素に世の女性達は夢中になった。
女子にモテたければコレを読め!なんて言われ、男性にもバイブル的な存在として人気が出て、かく言う俺もモテたい一心で読破した一人である。
恋愛は障害が多いほど盛り上がるという事で、この作品にもヒロインらを邪魔する悪役キャラが居た。
それがヒーロー達の幼なじみである冬場 隆二だ。
優秀でイケメンな幼なじみ達にコンプレックスを抱いていた冬場 隆二は、彼らが思いを寄せるヒロインを自分の物にしようと画策する。だが隆二の努力虚しく惹かれあうヒロイン達、最終的にはもうアイツらの恋が成就しなければなんでもいい!とヒロインに危害を加えようとするとんでもない奴だった。
読者からもだいぶ嫌われてたなぁ。最後はこれまでの行いがバレて、周りに冷たい目を向けられながら退学していったっけ。
そんな冬場 隆二に、俺は転生してしまったのだ。
意地悪そうな三白眼と下卑た笑みが似合う顔。漫画のビジュアルをそのまま小さくしたような姿に、鏡を見るたび薄々嫌な予感はしていた。
けれどイケメン幼なじみはいなかったから安心していたのに、まさか引っ越し先で出会うなんて。え、俺って高校退学になっちゃうの? 幼なじみ達蹴落とすために女の子利用するクソ野郎になんの?
……ていうか、こんな奴に絶っっ対彼女できないじゃん!!
皆の前で悲鳴をあげる事はなんとか堪えたが、その日の夜は熱を出して寝込んだ。
お先真っ暗な将来と普通に苦しい高熱に枕を濡らしながら、俺は一生懸命今後の身の振り方について考えていた。今のところ漫画のような悪役ムーヴをするつもりはないけど、これからヒーロー達を憎まない保証も無いしなぁ……あんな完全上位互換な存在が身近に居たら、性格歪む可能性は十分あり得るし。
えぇー嫌だよー。他人の当て馬で花の高校生活を消費するなんて悲し過ぎるよぉぉ。べそべそとひとしきり悩んだ後で、俺は良い案を思い付いた。
そうだ、3人がヒロインに惚れなければ良いんだ。ヒーロー達を憎みその想い人を傷付けることになるなら、アイツらが誰も好きにならなければ、俺は誰も傷付けずに済む。恋する隙なんて与えなければ良い。熱に浮かされた脳みそには、これ以上ない妙案に思えた。
グッバイ悪役! アデュー当て馬! ウェルカム ニュー ワールド! 俺は原作をぶっ壊し、平穏無事に高校を卒業する。そして今世でこそ、可愛い彼女をゲットするんだ!
こうして、俺の計画は始動した。
22
あなたにおすすめの小説
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺
スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。
大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?
大事な呼び名
夕月ねむ
BL
異世界に転移したらしいのだが俺には記憶がない。おまけに外見が変わった可能性があるという。身元は分からないし身内はいないし、本名すら判明していない状態。それでも俺はどうにか生活できていた。国の支援で学校に入学できたし、親切なクラスメイトもいる。ちょっと、強引なやつだけどな。
※FANBOXからの転載です
※他サイトにも投稿しています
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
笑って下さい、シンデレラ
椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。
面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。
ツンデレは振り回されるべき。
思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?
【完結】みにくい勇者の子
バナナ男さん
BL
ある田舎町で農夫をしている平凡なおっさんである< ムギ >は、嫁なし!金なし!の寂しい生活を送っていた。 そんなある日、【 光の勇者様 】と呼ばれる英雄が、村の領主様に突然就任する事が決まり、村人達は総出で歓迎の準備をする事に。 初めて会うはずの光の勇者様。 しかし、何故かムギと目が合った瞬間、突然の暴挙に……? 光の勇者様 ✕ 農夫おっさんのムギです。 攻めはヤンデレ、暴走ロケット、意味不明。 受けは不憫受け(?)だと思いますので、ご注意下さい。ノリよくサクッと終わりますm(__)m 頭空っぽにして読んで頂けると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる