彼らは××が出来ない

庄野 一吹

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〈Epilogue.冬場 隆二の疑問〉

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「だぁーー! 今日も疲れたー!」

 自分の部屋に帰り、やっと脱力した俺は机に突っ伏した。おはようからおやすみまで幼なじみ達のために奔走する日々は気力と体力を消耗する。風呂も入ったし歯磨きもしたし、もうすぐにでもベッドにダイブしたいのだが、あとこれだけ。そうして俺は一冊のノートを引き出しから取り出した。

 これは俺なりのこの世界攻略ノート。計画を始動した日からつけている簡単な日記のようなものだ。『本日も異常なし、計画は順調』っと。それにしても、もうページが無いな。日々書き込むのは数行とはいえ、何年も書き続けてればそれなりにはなるか。
 ペラペラとページをめくりながら、俺も頑張って来たなぁなんて感慨に耽っていると、ふと疑問が湧いた。


 あれ、俺ってなんでこんなに頑張ってるんだっけ?


 当て馬になって退学するのを回避して、それで、それで。靄が掛かったように思い出せない。つつッとノートの綴じ目をなぞる。ここにもう一つ、何かがあった気もするけれど……。
 
 そんな風に考えているうちに瞼が落ちてきた。ダメだ、眠くて頭が回らん。明日も起きてすぐ舜介にモーニングコールして、秋穂に色々指示出して、夏輝を迎えに行かなきゃならないんだ。早く寝ないと。
 パタンとノートを閉じて、のそのそ布団に潜り込む。襲い来る眠気に意識はすぐ薄れていった。先程のモヤモヤも、起きたらきっと忘れてるだろう。大丈夫、すぐに思い出せないくらいだから、どうせ大した事じゃない。

 ほぼ寝ながらなんとかアラームをセットし、電気を消す。その直前、不意に机の上の写真立てが目に入った。安っぽい木のフレームの中では、幼い頃の俺達が4人仲良く笑っている。

 部屋には自分しかいないのに、「おやすみ」と呟いたのは完全に無意識だった。
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