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第三章:This Is Not a Film
関口 陽(ひなた) (8)
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対象は「御徒町刑務所」前の通りをうろついていた。
私とランは近くの雑居ビルの2階のベランダから対象を見下していた。
と言っても、対象の周囲には、無数の悪霊・魑魅魍魎がうごめいていて、霊感が無いヤツなら対象を目視出来るだろうが……逆に私からすると、対象の姿は悪霊・魑魅魍魎どもに隠れてしまっている。
「お前さ……あんなズバズバ言ったら後で……」
「相手が先輩でも自分のチームのリーダーでも言いたい事をズバズバ言うのが、私達の流儀だ」
「でもなぁ……あそこまで言ったら、その内……」
「もう1つ理由が有る。あそこまで言ったら、その内に、闇討ちにでも遭うって言いたいんだろ?」
「まぁな……」
「私達は『正義の味方』と呼ばれてて、自分達でもそう名乗る事が有る。でも……多分、私は、ある理由から、自分が目指す『正義の味方』に成れないだろう」
「何の事だ?」
そう言いながら、私は携帯電話に、あるメッセージを入力し送信する。
「どうやら、私には、ある感情が欠けているらしい」
私が送ったメッセージに返信が来た。
下では、ウチのトップ2人と「寛永寺僧伽」の連中が、悪霊・魑魅魍魎の群れを撃破しながら、少しづつ対象に近付いている。
『やんなきゃ駄目?』
『やるしかない。タイミングは、そっちが指示してくれ』
携帯電話の画面には、そんなやりとりが表示されている。
私は片手を上げる。
ランは私に簡易型のガスマスクと防護ゴーグルを投げる。
「これでいいか?」
ランはうなづき……。
「来たか?」
「ああ……」
念の為に、簡易式の結界を張っていた。
防御用の結界じゃない。
何者かが、その結界内に侵入したら、私はその事を感知出来る。
そして、生きた人間数名が、ここに近付きつつ有る。
でも、何か変だ。
予想通り相手も「魔法使い」系なら、結界の存在を感知出来る筈。
「5・4・3・2・1……0っ‼」
ランが窓ガラスを叩き割り、中に有るモノを投げ込む。
そして、私達は、ベランダから飛び降りる。
一応、簡易式の命綱を付けてるので、落下速度は小さくなってる……筈だ。
「えっ⁉」
次の瞬間……予想外の音がした。
銃声と悲鳴が同時。
悲鳴は、ランが投げ込んだ催涙ガス筒によるモノだろう。
でも……銃声は……まぁ、「魔法使い」系が銃を使っちゃ駄目なんて戒律は聞いた事が無いが……。
悪霊・魑魅魍魎の一部が私達がさっきまで居た雑居ビルの2階に向かう。
多分、私達の狙ったヤツが催涙ガスによる苦痛のせいで、気配を隠しきれなくなったのだろう。
だが、周囲の悪霊・魑魅魍魎は、私とランには気付いていない。
私とランは「隠形」の呪法で気配を隠している。霊感は有っても、視覚・聴覚は無い悪霊・魑魅魍魎にとっては、私達は居ないも同……いや、視覚・聴覚を持ってるヤツが居た。
目の部分がカメラになってる鼻から口にかけてだけが剥き出しになってるヘルメットを付けた男がこちらを向く。
私の目には……そいつの肌に彫られているタトゥーが光っているように見える。
だが……それは……そいつを護る防御魔法が活性化している為で……多分、霊感が無いヤツにとっては、タトゥーが光っているように見えないだろう。
近くに小さな「異界」への「門」が開く。
なんてヤツだ。「観」るだけで「異界」への「門」を開けるのか……。
だが、私の力でも、その「門」を閉じる事は……。
「待て、今、何か『魔法』を使おうとしたか?」
「あ……ああ……」
「そんな事をしたら『隠形』が解ける可能性は無いのか」
「あ……そうか……でも……この状況だと……」
「私には見えないから良く判らないが……余程の事が無い限り、何もしなければ、当分、私達は無事なんだろ?」
「ああ……」
だが、次の瞬間、地面に激突音。
「ぐりゅっ‼」
「ぎゃうッ‼」
B級ホラーのゾンビ……ただし死にたてで、まだ腐ってないの……に見えない事もない、スキンヘッドの男が2人。
首には、「寛永寺僧伽」の「制服」代りであるゴツい数珠を付けてる。
どうやら……私達を狙ってたヤツが悪霊・魑魅魍魎に取り憑かれ……凶暴化したようだ。
と言っても……飛び降りて地面に激突したせいで、足を折ってしまったらしい。
「あの状態で、奴らは『魔法』を使えるのか?」
「多分、無理。凶暴化して暴れるだけ」
「そうか……」
ランは両脇のガンホルダーからテイザーガンを取り出して、一発づつ撃つ。
ゾンビもどきと化したスキンヘッド達は……大人しくなった。
ただし、一瞬だけ。
ごぎゃっ‼ ごぎゃっ‼ ごぎゃっ‼ ごぎゃあああっ‼
ゾンビもどきの体中の関節と言う関節から嫌な音がする。
「何が起きてる? 判るか?」
ランの声は、おそろしく冷静。
「た……多分だけど……筋肉が麻痺してんのに、取り憑いてる悪霊が無理矢理体を動かそうとしてる……っぽい……」
私とランは近くの雑居ビルの2階のベランダから対象を見下していた。
と言っても、対象の周囲には、無数の悪霊・魑魅魍魎がうごめいていて、霊感が無いヤツなら対象を目視出来るだろうが……逆に私からすると、対象の姿は悪霊・魑魅魍魎どもに隠れてしまっている。
「お前さ……あんなズバズバ言ったら後で……」
「相手が先輩でも自分のチームのリーダーでも言いたい事をズバズバ言うのが、私達の流儀だ」
「でもなぁ……あそこまで言ったら、その内……」
「もう1つ理由が有る。あそこまで言ったら、その内に、闇討ちにでも遭うって言いたいんだろ?」
「まぁな……」
「私達は『正義の味方』と呼ばれてて、自分達でもそう名乗る事が有る。でも……多分、私は、ある理由から、自分が目指す『正義の味方』に成れないだろう」
「何の事だ?」
そう言いながら、私は携帯電話に、あるメッセージを入力し送信する。
「どうやら、私には、ある感情が欠けているらしい」
私が送ったメッセージに返信が来た。
下では、ウチのトップ2人と「寛永寺僧伽」の連中が、悪霊・魑魅魍魎の群れを撃破しながら、少しづつ対象に近付いている。
『やんなきゃ駄目?』
『やるしかない。タイミングは、そっちが指示してくれ』
携帯電話の画面には、そんなやりとりが表示されている。
私は片手を上げる。
ランは私に簡易型のガスマスクと防護ゴーグルを投げる。
「これでいいか?」
ランはうなづき……。
「来たか?」
「ああ……」
念の為に、簡易式の結界を張っていた。
防御用の結界じゃない。
何者かが、その結界内に侵入したら、私はその事を感知出来る。
そして、生きた人間数名が、ここに近付きつつ有る。
でも、何か変だ。
予想通り相手も「魔法使い」系なら、結界の存在を感知出来る筈。
「5・4・3・2・1……0っ‼」
ランが窓ガラスを叩き割り、中に有るモノを投げ込む。
そして、私達は、ベランダから飛び降りる。
一応、簡易式の命綱を付けてるので、落下速度は小さくなってる……筈だ。
「えっ⁉」
次の瞬間……予想外の音がした。
銃声と悲鳴が同時。
悲鳴は、ランが投げ込んだ催涙ガス筒によるモノだろう。
でも……銃声は……まぁ、「魔法使い」系が銃を使っちゃ駄目なんて戒律は聞いた事が無いが……。
悪霊・魑魅魍魎の一部が私達がさっきまで居た雑居ビルの2階に向かう。
多分、私達の狙ったヤツが催涙ガスによる苦痛のせいで、気配を隠しきれなくなったのだろう。
だが、周囲の悪霊・魑魅魍魎は、私とランには気付いていない。
私とランは「隠形」の呪法で気配を隠している。霊感は有っても、視覚・聴覚は無い悪霊・魑魅魍魎にとっては、私達は居ないも同……いや、視覚・聴覚を持ってるヤツが居た。
目の部分がカメラになってる鼻から口にかけてだけが剥き出しになってるヘルメットを付けた男がこちらを向く。
私の目には……そいつの肌に彫られているタトゥーが光っているように見える。
だが……それは……そいつを護る防御魔法が活性化している為で……多分、霊感が無いヤツにとっては、タトゥーが光っているように見えないだろう。
近くに小さな「異界」への「門」が開く。
なんてヤツだ。「観」るだけで「異界」への「門」を開けるのか……。
だが、私の力でも、その「門」を閉じる事は……。
「待て、今、何か『魔法』を使おうとしたか?」
「あ……ああ……」
「そんな事をしたら『隠形』が解ける可能性は無いのか」
「あ……そうか……でも……この状況だと……」
「私には見えないから良く判らないが……余程の事が無い限り、何もしなければ、当分、私達は無事なんだろ?」
「ああ……」
だが、次の瞬間、地面に激突音。
「ぐりゅっ‼」
「ぎゃうッ‼」
B級ホラーのゾンビ……ただし死にたてで、まだ腐ってないの……に見えない事もない、スキンヘッドの男が2人。
首には、「寛永寺僧伽」の「制服」代りであるゴツい数珠を付けてる。
どうやら……私達を狙ってたヤツが悪霊・魑魅魍魎に取り憑かれ……凶暴化したようだ。
と言っても……飛び降りて地面に激突したせいで、足を折ってしまったらしい。
「あの状態で、奴らは『魔法』を使えるのか?」
「多分、無理。凶暴化して暴れるだけ」
「そうか……」
ランは両脇のガンホルダーからテイザーガンを取り出して、一発づつ撃つ。
ゾンビもどきと化したスキンヘッド達は……大人しくなった。
ただし、一瞬だけ。
ごぎゃっ‼ ごぎゃっ‼ ごぎゃっ‼ ごぎゃあああっ‼
ゾンビもどきの体中の関節と言う関節から嫌な音がする。
「何が起きてる? 判るか?」
ランの声は、おそろしく冷静。
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(2022.04.04)
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