青き戦士と赤き稲妻

蓮實長治

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『青き戦士』第3章:放逐されし者達(エグザイルズ)

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 ボクは頭をフル回転させる。
 他の連中を逃がすか?
 ボクが逃げるべきか?
 ダメだ。判断材料になる情報が圧倒的に足りない。
 いや、待て……「もう1人のボク」は、ボクを殺したがっていない筈……。
「お……おい、姉ちゃん、そっちに逃げても出口は無いなかぞ⁉」
 ボクは、元居た独房の方に向って走る。
「逃げたまえ」
「はっ?」
 背後うしろの方で「もう1人のボク」の声がする。
「君達に興味は無い。勝手にするがいい。……さて、何をするつもりだ?」
「こうするつもりだぁッ‼」
 助走の為の距離は取った。ボクは、ロボットに飛び蹴りを食らわせ……。あ……やっぱりダメか。
 ロボットは、蹴りでふっ飛んだ……。でも……。ほんの一瞬だけ、ボクに触れたロボットのてのひらから高圧電流が流れた。
 意識は有る……。体も何とか動く……。けど……あと数分は痺れが残り、動きが鈍くなるだろう。
「私が君を殺したがっていない、と云う判断は正しい。しかし……君を殺さずに捕虜にする方法など、いくらでも有る。君にロクな武器が無い状況では猶のこ……ん?」
「うがぁっ‼」
「おい、やめんか、馬鹿……」
 独房の中に居た巨体の男がロボットの胴体を締め上げる。独房に居た他の男達の悲鳴……。
 ……いや……でも……いける?
 ロボットの装甲が歪む。うまくいけば……内部の機器にもダメージが……。
「悪いが……これには、まだ予備が有ってな」
 えっ……?
 しまった……ロボットの片腕は自由に動かせる状態だ。
 ロボットは……手首から生えた刃を自分の胸に突き立てた。
「う……う……うが……」
 謎の大男の吐血で赤黒く染められたロボットは機能停止した。
「お……おいっ……大丈夫……」
「うがっ?」
「えっ?」
「ああ、そいつは……その……なんかの実験をされているちょるみたいでな……」
 ロボットから離れた大男の傷口がみるみる塞がっていく。傷口の位置からして……心臓はギリギリ外れてるようだけど……。
「ねぇ……医者に診せられるあてってない?」
「いや、見ての通り、傷は……」
「全然大丈夫じゃない……。この手の能力の持ち主でも……傷が内臓まで達していたら……無事じゃ済まない場合がほとんどだ」
「でも……大丈夫そうじゃが……」
「それと……こっちでも抗生物質って有るの?」
「何じゃそりゃ?」
「ええっと……古い薬だと……ペニシリンとかストレプトマイシンとか……その手の薬を……デカい手術をしたり、傷が膿む可能性が有る怪我をした時に投与する事って……」
「いや……待て……姉ちゃん……。そんなにそげん高価いたかか気軽に使える訳無かろう。中国や中ア連の都会ならともかく」
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