魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO

蓮實長治

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第二章:Summer Nights

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「お~い、にゃんこ、こっちこっち♪」
 駅の改札を出た途端、沙也加さんが、そう言ってボクに手を振ってるけど……ん?
「あれ? その人は……?」
「えっと……小倉って言います。松隈まつぐまさんのクラスメイトです」
「は……はぁ……。で……何ですか?」
「クラスメイトがストーカーに狙われてるんで、助けてあげようと思ってさ」
「ちょっと待って下さい。そう云う話は大人に相談……」
「大人の方にも何か事情が有るみたいだから……いつも塾の帰りに狙われるって……」
「いや……でも……」
「ああ、この子は。得意技は気配の感知だって……」
「ごめんなさい。元チームメイトが来る筈だったんですけど……何か、急用が出来たみたいで……」
「ん~、でも、撫子なでしこちゃんは自分で戦う向きの能力じゃなかったっけ? それだと、3人全員が能力被りだから、このメンバーの方がいいよ」
 ……あ……。
 なるほどだけどマズい……。「私が沙也加で……何か暴れるつもりが有るなら……メンバーに『魔法使い』系を入れる」って、そう云う意味か……。
 しかも、「気配の感知」って後方支援向きの能力なら……この子がストーカーを突き止めて、ボクと沙也加さんがストーカーをブチのめす係な訳か……。
「え……えっと……でも……その……」
「じゃ、次の電車で久留米に戻る。念の為、3人全員別の車両に乗る。万が一、ウチの母さん達や兄ちゃんに見付かったら、ややこしくなりそうだからね」
 おいおい……何で、よりにもよって……こんな事に関して頭が回って手際がいいんだ?……あ、沙也加さんの周りには……「裏の顔が『正義の味方』」って人が、やたら多かった。
 そりゃ……そうなってしまうよなぁ……。
「じゃあ、久留米駅出たら現地集合。集合場所と時間はMeaveメッセンジャーアプリで送る。トラブル起きて遅れそうになったらMeaveメッセンジャーアプリで即連絡ね」
 どうしよう……と、思ってる内に……。
「にゃんこ~、そろそろ電車来るよ~」
「は……はい……」
 どうか……今晩は、そのストーカーは現われませんように……。
 多分、ストーカーをブチのめすまでは簡単だけど……地獄は、そこから始まる。
 ボクは……今、最悪の地獄に堕ちちゃったようだ……。「何か手を打たないと地獄に堕ちるのに、打てる手は、ほとんど無い」って「地獄」に……。
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