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第八章:Tears

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 夜中、トイレに行くフリをして玄関の方に行ってみる。
 口にはキーホルダーを兼ねてる小型のLEDライトを咥え……。
 有るのは家主とあたしとクソ女の靴。
 家主の靴は……スニーカーに革靴。あとは、昔のアメリカのラッパーが良く履いてたような黄色っぽい色のショート・ブーツ。
 クソ女の靴は……丈夫そうな布地の青っぽい色のショート・ブーツ。靴ひもじゃなくてベルトで調整するタイプ。
 靴底は……ワーク・シューズやウォーキング・シューズなんかに良く有る実用性重視っぽいゴム製。でも、結構、磨り減ってるみたい。
 良く見ると、結構、荒っぽい使い方をしてるみたいで……細かな傷。
 先端は……。
 何、これ?
 安全靴?
 爪先に鉄板か強化プラスチックか何かが仕込んである。
 薄々は感じてたけど……クソ女達は……?
 ちょっと待って……じゃあ、クソ女の知り合いらしい沙也加ちゃんは一体……?
 とりあえずは部屋に戻り……。
「ガジくん……スーちゃん……」
 クソ女の寝言。
「お腹がすいてるんなら……私を食べていいよ」
 待て……どう云う夢を見てんだよ?
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