魔導兇犬録：哀 believe

第一章：覚悟完了!

(9)

「ネットで炎上してる……」
　昼休みに凛りんちゃんが携帯電話ブンコＰｈｏｎｅを見ながら、そう言った。
「凛りんちゃん、食事しながら、携帯電話ブンコＰｈｏｎｅ見るの、お行儀悪いよ」
「でも……私達が『関東難民』だって、バレたみたい。昨日のおじさん達がネットで中継してて……あの時、言った事を聞いた人がＳＮＳで騒いでるっぽい……」
　あたし達、「プリティ・トリニティ」のコスは地元の神社・水天宮の巫女さんをイメージしている。
　久留米で一番有名な神社をモチーフにしてる御当地「魔法少女」が「地元民」じゃなくて「関東難民」だとバレたら……特に、あたし達のファンのほとんどは「関東難民」排斥派が多い中高年の男の人達だ。
「もう……やめようか……」
「そうだね……」
「ん？」
　その時、あたし達の携帯電話ブンコＰｈｏｎｅに、同時に着信音。
『今日から、打ち合わせは事務所じゃなくてカラオケ屋でやります。場所は毎日変えます』
　Ｍａｅｖｅメッセージ・アプリに江見さんから連絡。
「今日、辞めるって、言ってみようか？」
「そうだね……」
　凛りんちゃんが相槌を打つ。
「例の市役所の広報の打ち合わせの時に、どうやったら『関東難民』向けの支援を受けられるか聞いてみる？」
　続いて瑠華ルカちゃん。
「あ……それ、いいアイデアかも……。よし、あたし、魔法少女をやめたら……眞木さんのお姉さんに告白する♪」
「美桜みおちゃん……」
「何？」
「それ、オタク用語で云う『死亡フラグ』ってヤツじゃない？」