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第八章:Reborn
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「くそ……何とか……この魔法をかけた奴を探し出し……」
「どうやって探すんですか?」
「そりゃ……魔法の気配を手掛かりにすれば……おい、何だ、そのチベットスナギツネみたいな表情は?」
「その魔法は、師匠がさっき解いたでしょ。それに……この状況……よく見て下さい」
「ともかく、この嫌がらせみたいな魔法をかけた奴なら……対処法を知ってる可能性が……だが……どうやって探す?」
「あの……」
「何だ? 今、この事態を何とかする方法を考えてるんだ。気が散るような真似はやめろ」
「で・す・か・ら、どこの世界に、時限爆弾仕掛けた場所の近くで、ず~っとボケ~っとしてるマヌケな爆弾魔が居るんですか?」
「……」
「あと、この魔法、爆弾みたいなモノですよね? 一度起きた爆弾の爆発を無かった事に出来る爆弾魔なんて居ませんよッ‼」
「……うるさい、文句が有るなら、代案を出……ん?」
師匠は背広の内ポケットから携帯電話を取り出し……。
「おい、何だ? こっちで、とんでもない事が……えっ? わかった、すぐ行く」
駄目だ……。
朝御飯買うどころじゃない。
あたしは、師匠を追い掛け……。
水天宮の境内を抜け、筑後川の河原に入り……。
「何だ、こりゃ一体?」
「いや……その……『ロングヘアの子はポニーテールにして、青いメッシュを入れてくれ』って言われてたのに……これなんで……どうしたらいいか……?」
「知るかッ‼ 鬘を用意すればいいだろッ‼」
イベント本部のテントの前で、師匠の特務憲兵隊時代の同僚で「魔法少女」企画会社の社長が……衣装係らしい人を怒鳴り付けている。
その横で……髪を五分刈りにしてピンクに染めてる凛ちゃんがケロっとした表情をしていた。
「今からじゃ間に合いませんよッ‼」
「うるさい、何とかしろッ‼」
あ~あ……。
社長さんの得意魔法は……「精神操作」らしいけど……精神操作系だろうが、他の魔法だろうが、用意してなかった鬘を出現させるなんてのは無理だ……。
「お……お前ら……一体、何のつもり……」
完全にブチ切れ寸前の感じで、師匠は、あたしにそう言った。
「今更言われても……」
「き……貴様、このイベントが失敗したら……損害賠償……」
その時……師匠が、急に唖然とした表情になり……。
「お……おまえ……まで……その……髪……」
「あ~、すいません、遅れました♪」
そこに居たのは……「フラワレット・カルテット」の4人だけど……。
「あ……」
「どう、かっこいいかな?」
ブルーで知性派担当のサツキちゃんは……モヒカン風の側面を刈り上げた髪型にして……しかも、派手なオレンジ色に染めていた。
「うん、かっこいいね」
凛ちゃんも凛ちゃんで、「ウチのチームの知性派」担当の仮面を捨てたような……脳天気な口調で、そう答えた。
「あと……あの、水天宮の境内に転がってるアレ、何なんですか? 気持ち悪いんですけど……」
「ネズミとゴキブリは……今、対処方法を考えてる」
「おい、待て、何の話だ?」
その時、本部テント内から……声……。
声の主は……温厚そうな小太りした小柄な和服姿のお爺さんって感じの外見の人なのに……声は妙にドスが効いてる。
ニコニコした表情で……声だけ怒ってる感じなので……余計に不気味だ……。
「だ……誰?」
「き……北九州の青龍敬神会の……会長さんだ……」
師匠が震え声で、そう言った。
えっ?
青龍敬神会って……たしか……ヤクザ。
しかも……会長って事は……大ボス。
そりゃ……「魔法使い」でも……ヤクザの大ボスを怒らせたら……。
「水天宮の参道や境内に……ネズミやゴキブリの死体が……いくつも転がってて……」
「だから……今、対処方法を考えてるって……言って……おい、今、『死体』って言ったか?」
「ええ……死体が……」
ちょ……ちょっと待って……さっきまで……あのネズミとゴキブリの群は……生きてた……。
「それと……来る途中に……本部の場所を聞かれたんですけど……」
「誰に?」
「大人の……二十代ぐらいの女の人と……3人の……」
「3人の何だ?」
「魔法少女です」
「はあッ⁉」
「飛び入り参加したい、って言ってました」
「出来る訳が……」
「無理なんですか? スポンサーからの要請でも?」
声がした方には……。
黒いシャツ。
黒いズボン。
黒いブーツ。
派手な赤の革ジャン。
赤いサングラス。
髪には……赤いメッシュ。
そんな感じの女の人が居た。
そして……その後ろには……3人の「魔法少女」。
神社の巫女さんをイメージした服。
所々に揚羽蝶をイメージした飾り。
イメージカラーは……ピンク・青・オレンジ。
同じだ……。
「悪堕ち」した「設定」になる前の、あたし達と……全く同じ衣装。
それどころか……髪型まで……そっくり。
「神政会特別理事の佐伯漣と申します。広島の『御当地魔法少女』の所属事務所の社長も兼任しています」
「お……おい……ちょ……ちょっと待て……何を横から……」
今度は……本部テントに居た、いかにもヤクザという感じのスポーツ刈りにサングラス……背広だけは、妙に高級そうな六〇ぐらいの人が声をあげた。
それに……神政会って……あ……ニュースになってた……広島のヤクザ……。
「わかりました。では……今後……我々『神政会』は……『魔法少女』企画会社の『ローカル・マジカル』への出資を停止させていただきます。一〇日以内に、これまでの出資金を全額、返却して下さい。もちろん、配当金付きでね」
「どうやって探すんですか?」
「そりゃ……魔法の気配を手掛かりにすれば……おい、何だ、そのチベットスナギツネみたいな表情は?」
「その魔法は、師匠がさっき解いたでしょ。それに……この状況……よく見て下さい」
「ともかく、この嫌がらせみたいな魔法をかけた奴なら……対処法を知ってる可能性が……だが……どうやって探す?」
「あの……」
「何だ? 今、この事態を何とかする方法を考えてるんだ。気が散るような真似はやめろ」
「で・す・か・ら、どこの世界に、時限爆弾仕掛けた場所の近くで、ず~っとボケ~っとしてるマヌケな爆弾魔が居るんですか?」
「……」
「あと、この魔法、爆弾みたいなモノですよね? 一度起きた爆弾の爆発を無かった事に出来る爆弾魔なんて居ませんよッ‼」
「……うるさい、文句が有るなら、代案を出……ん?」
師匠は背広の内ポケットから携帯電話を取り出し……。
「おい、何だ? こっちで、とんでもない事が……えっ? わかった、すぐ行く」
駄目だ……。
朝御飯買うどころじゃない。
あたしは、師匠を追い掛け……。
水天宮の境内を抜け、筑後川の河原に入り……。
「何だ、こりゃ一体?」
「いや……その……『ロングヘアの子はポニーテールにして、青いメッシュを入れてくれ』って言われてたのに……これなんで……どうしたらいいか……?」
「知るかッ‼ 鬘を用意すればいいだろッ‼」
イベント本部のテントの前で、師匠の特務憲兵隊時代の同僚で「魔法少女」企画会社の社長が……衣装係らしい人を怒鳴り付けている。
その横で……髪を五分刈りにしてピンクに染めてる凛ちゃんがケロっとした表情をしていた。
「今からじゃ間に合いませんよッ‼」
「うるさい、何とかしろッ‼」
あ~あ……。
社長さんの得意魔法は……「精神操作」らしいけど……精神操作系だろうが、他の魔法だろうが、用意してなかった鬘を出現させるなんてのは無理だ……。
「お……お前ら……一体、何のつもり……」
完全にブチ切れ寸前の感じで、師匠は、あたしにそう言った。
「今更言われても……」
「き……貴様、このイベントが失敗したら……損害賠償……」
その時……師匠が、急に唖然とした表情になり……。
「お……おまえ……まで……その……髪……」
「あ~、すいません、遅れました♪」
そこに居たのは……「フラワレット・カルテット」の4人だけど……。
「あ……」
「どう、かっこいいかな?」
ブルーで知性派担当のサツキちゃんは……モヒカン風の側面を刈り上げた髪型にして……しかも、派手なオレンジ色に染めていた。
「うん、かっこいいね」
凛ちゃんも凛ちゃんで、「ウチのチームの知性派」担当の仮面を捨てたような……脳天気な口調で、そう答えた。
「あと……あの、水天宮の境内に転がってるアレ、何なんですか? 気持ち悪いんですけど……」
「ネズミとゴキブリは……今、対処方法を考えてる」
「おい、待て、何の話だ?」
その時、本部テント内から……声……。
声の主は……温厚そうな小太りした小柄な和服姿のお爺さんって感じの外見の人なのに……声は妙にドスが効いてる。
ニコニコした表情で……声だけ怒ってる感じなので……余計に不気味だ……。
「だ……誰?」
「き……北九州の青龍敬神会の……会長さんだ……」
師匠が震え声で、そう言った。
えっ?
青龍敬神会って……たしか……ヤクザ。
しかも……会長って事は……大ボス。
そりゃ……「魔法使い」でも……ヤクザの大ボスを怒らせたら……。
「水天宮の参道や境内に……ネズミやゴキブリの死体が……いくつも転がってて……」
「だから……今、対処方法を考えてるって……言って……おい、今、『死体』って言ったか?」
「ええ……死体が……」
ちょ……ちょっと待って……さっきまで……あのネズミとゴキブリの群は……生きてた……。
「それと……来る途中に……本部の場所を聞かれたんですけど……」
「誰に?」
「大人の……二十代ぐらいの女の人と……3人の……」
「3人の何だ?」
「魔法少女です」
「はあッ⁉」
「飛び入り参加したい、って言ってました」
「出来る訳が……」
「無理なんですか? スポンサーからの要請でも?」
声がした方には……。
黒いシャツ。
黒いズボン。
黒いブーツ。
派手な赤の革ジャン。
赤いサングラス。
髪には……赤いメッシュ。
そんな感じの女の人が居た。
そして……その後ろには……3人の「魔法少女」。
神社の巫女さんをイメージした服。
所々に揚羽蝶をイメージした飾り。
イメージカラーは……ピンク・青・オレンジ。
同じだ……。
「悪堕ち」した「設定」になる前の、あたし達と……全く同じ衣装。
それどころか……髪型まで……そっくり。
「神政会特別理事の佐伯漣と申します。広島の『御当地魔法少女』の所属事務所の社長も兼任しています」
「お……おい……ちょ……ちょっと待て……何を横から……」
今度は……本部テントに居た、いかにもヤクザという感じのスポーツ刈りにサングラス……背広だけは、妙に高級そうな六〇ぐらいの人が声をあげた。
それに……神政会って……あ……ニュースになってた……広島のヤクザ……。
「わかりました。では……今後……我々『神政会』は……『魔法少女』企画会社の『ローカル・マジカル』への出資を停止させていただきます。一〇日以内に、これまでの出資金を全額、返却して下さい。もちろん、配当金付きでね」
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