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第1章「姉妹」

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 昼までは、まだ、時間が有ったので、あたし達は、JR久留米駅西口の近くに有る喫茶店で時間をつぶしていた。
「何読んでるの? 英語の本?」
「うん、ニューラルネットによる機械制御についての入門書」
 日本語でしゃべってなんて贅沢は言わないから、せめて、人間の言葉を使って、と喉まで出かかった。
 瀾ちゃんも、流石に、すらすら読める訳じゃないみたいで、時々、モバイルPCの翻訳ソフトを使う必要が有るみたいだ。
「Q工大の機械科のロボット関係の研究室に入りたくてね。それに備えての準備」
 いや、そう云う事って、普通は大学に入ってから考えない? 学部学科だけならともかく。
「そのPCも、お父さんのお下がり?」
「うん。持ち歩きには十分だけど、CAD使うのには難有りかな……」
 お願い、人間の言葉を使って……。
「ところで、そのランプの画像だけど……」
「あぁ、このランプの画像、ファームウェアを書き換えれば変えられるんだ。メーカーのサイトに、やり方が載ってる」
 だから、人間の言葉を使って……。
 ともかく、瀾ちゃんが使ってるモバイルPCの大き目の電源ランプに表示されているのは、口をあんぐり開けた、とぼけた顔の恐竜だ。
 十年ぐらい前の子供向けのアニメに出て来た、ジューチェンタイラ……? ズンケンサウル……? ともかく何サウルスかは思い出せないけど、ティラノサウルスに近い種類の恐竜で、名前は『ガジくん』。
「これ、満姉さんも好きだったんだよ」
 そう言えば、瀾ちゃんが使ってるモバイルPCに接続されてるマウスも、満姉さんが使ってたのと同じ『怪獣の足のモフモフスリッパ』みたいな形のヤツだ。と言うか「赤とピンクの中間ぐらいの色に白い虎縞」と云う完全に「ガジくん」の足そのもののデザインだ。
「うん、知ってる。去年のクリスマスプレゼントに、満さんからヌイグルミもらった。『スーちゃん』と『タル坊』も」
 同じアニメに出てた脇役恐竜の名前だ。『スーちゃん』は『ガジくん』より少し体が大きい『ガジくん』のガールフレンドで、『タル坊』は『ガジくん』の気が弱い弟分。
「満姉さん、いい齢して、ガジくんのヌイグルミ抱いて寝てたんだよ」
 だが、次の瞬間、瀾ちゃんはキョトンとした顔をした。
「え? それが、どうかしたのか?」
「いや、だから……」
「ちょっと待って……二十はたち過ぎた人が、ヌイグルミ抱いて寝てるって、変な事?」
 うなずくあたし。
「ひょっとして、誰かにバレたら、恥かしい事なのか?」
 あたし、再び、うなずく。
「『いい齢して』って言ったよな? ヌイグルミを抱いて寝るのって、子供っぽいって意味なのか?」
 またしても、うなずく。
「どんなヌイグルミでも?」
 また、また、また、また、うなずく。
「高校生でも?」
 頭を縦に振るのは、連続で5度目。
「バレた相手が、家族でも恥かしい事?」
「う~ん、ギリギリでセーフかな?」
「判った、気を付ける」
 ちょっと待って、どう云う事だよ?
「あ、そうだ。これとは別に、デスクトップPCと大きめのモニタが有る。3月中には、他の荷物と一緒に、こっちに送るから」
「大きめって、どれ位?」
「三〇インチだから……横は七〇センチ以上一メートル以下かな?」
「満姉さんの部屋の机には置けると思うけど……満姉さんの部屋使うなら、おばあちゃんと、桜姉さんに、満姉さんが死んだ事、説明しなきゃいけないし……」
「それが有ったな……他に空いてる部屋は?」
「あたしの部屋に机もう1つ入れて……う~ん厳しいなぁ……」
「他の荷物って、どれ位有るの?」
「これから荷造りするから、まだ、はっきりした事は……服は、そんなに無いけど、本は多いと思う」
「引越し屋さんの手配は?」
「まだ」
「入学手続も有るし……あとで、おばあちゃんと桜姉さんに相談だね……あ、待って」
 桜姉さんから、メッセージが入っていた。
「十一時半ごろに、『玄洋』ってうどん屋さんだって。この近くだけどさ」
「え? うん、判った。ちょっと待って」
 瀾ちゃんは、そう言ってたけど、あたしに対してではなかった。どうやら電話が入ったらしかった。
「どうしたの?」
「いや、知合いから、ちょっとね」
 そう言って、瀾ちゃんは、さっきまで読んでた英語の本を閉じると、モバイルPCを操作しだした。
 何か、表情は普通だけど、様子がおかしい。心拍数が上がって、体の表面には微妙に汗が……え? 待て、何で、そんな事が判るんだ?
『そりゃ、あんた水の神の巫女なんだから、その内、判るようになるに決まってるでしょ。人間の体の大半は水で出来てんだから、その水の変化を読めば、人間の感情や体調を推測出来るようになるわよ。その内、目の前の人間の次の動きや考えてる事なんかも読めるようになるわね』
「おい、どうした?」
 いきなり、瑠璃ちゃんが話しかけてきたので、びっくりして、飲んでたコーヒーが気道の方に入ってしまった。
 咳こみながらも、何とか、手振りで、瀾ちゃんに大丈夫と云う事を伝える。
『あ~、びっくりした。じゃあ、相手の次の動きが読めるって事は、昔の格闘マンガみたいに……』
『相手の動きが予想出来たからって、攻撃を避けるなんて、そこに居るあんたの片割れならともかく、あんたには無理。相手が殴る事は判っても、どう避けたらいいかは判んないでしょ』
『ああ、そう。うれしい事教えてくれて、ありがとう。しばらく引っ込んでて』
 ん? 今、何か、瑠璃ちゃんが変な事を言ったような気がしたけど、まぁ、いいか。
『引っ込んでていいの?』
『何が言いたいの?』
『いや、あんたがマズい事に巻き込まれそうになったら、出て来ても大丈夫?』
『マズい事?』
 次の瞬間、目の前が暗転した。
 そして見えたのは、一面の暗闇の中に浮かぶ、色も大きさも明るさも様々な無数の光の玉。そして、あたしも、その光の1つ、青い光と化していた。
 ほとんどの光の玉は単色だったが、数少ない例外の内1つが、あたしのすぐそばに有る。朝焼けのような暖かさを感じさせるオレンジ色と、夜の闇より禍々しい黒が、まだらに入り交じった玉だ。
 ほぼ全ての光の玉は輪郭がボヤけて明滅しているが、そうでないモノが「あたし」を含め5つ有った。
 赤・黄・白・緑。最もはっきりと見える4つは、斑の玉ほどでは無いにしろ、無数の光の玉の中でも、「あたし」との距離は、かなり近く、しかも、大きさや明るさも、「あたし」と、ほぼ同じ位だ。そして、4つの中でも「あたし」に一番近い所に有る赤い光の玉が、「あたし」に更に近付いて来つつあった。いや、近付いて来るのは確かだが、何故か、直線的に最短距離で近付くのではなく、わざと回り道をしながら近付いて来ているようだ。
「おい、治水、どうした?」
 瀾ちゃんの声で、現実に戻った。
「え? いや、何でもない。ちょっと、昨日、よく眠れなかったみたいで、眠気がしただけ」
 ホントかよ? と言いたげな表情の瀾ちゃん。
『細かい事は判んないけど、ウチの姉さんの一人…「珊瑚さんご」姉さんの巫女が、一昨日おとといぐらいから、久留米ここに近付いて来てる』
『どう云う事? その「姉さん」と何か有ったの?』
『まぁ、ウチも姉さん達も竜神の中では子供だけど、それでも、人間からすれば、とんでもない年月生きてきたからねぇ……心当りは山程。でも、ウチら姉妹が、この島国に住むようになってから……あ、「この島国に住む」ってのは、あくまで喩えね……ともかく、ここ八百年か九百年ぐらいは、いつの間にか、なんとなく、相互不干渉がルールみたいになってたんだけどね』
『さっきの光の玉は?』
『あんたと同じ「神」に選ばれた人間達。まぁ、正確には人間とは言い難いのも居るけど。さっき、ウチが見せた幻の中で、近くに見えた光の玉は、現実でも近くに居る奴、遠くに見えた光の玉は、その逆。……あ、ややこしいけど、近いとか遠いとかは、ウチから見てで、人間にとっての距離と完全に同じかは何とも言えないけどね。光の玉の明るさや大きさは、そいつを選んだ神の力や格。はっきり見えてた4つは姉さん達の巫女。姉妹って言ったけど、ある意味で同じ存在の分身みたなモノだから、お互いの事は、よく判るのよ』
『あたしみたいなのが、あんなに居るの?』
『あれでも、昔よりは、随分、数が減ってねぇ……。大昔は、一つの村、一つの部族にだって、あんたみたいなのが何人も居たけど、今じゃ地球全体でも、残ってるのは、二千人未満ってとこね』
『昔?』
『人間が文明を持ち、社会が複雑になり、ウチらの代用品である宗教や魔法や呪術を生み出し、科学が広まる。その度に、どんどん減っていったのよ』
 瑠璃ちゃんの口調は、心無しか寂しげだった。
『まぁ、ともかく、姉さんは、ウチの巫女が変った事は知ってる。そして多分だけど、姉さんが、こっちに向かってるのは、満のお悔やみとか、あんたが巫女になったお祝いとか、そんな呑気な理由じゃないと思う。新しい巫女が、まだ、巧く力を使えない今だからこそ成功率が上がる「何か」をやる為でしょうね』
『それって、例えば何?』
『さっぱり判んないけど、あんたが無事で済む事じゃないとは思う』
『もっと早く言ってよ‼』
『いや、移動し始めたのは判ってたけど、ウチや姉さん達と人間とでは、「この世界をどんな風に見てるか」からして違うんで、久留米ここが目的地かは、今日になるまで確信が持てなかったのよ‼』
『だったら、何で、向こうは、あたしが久留米に居るって判ったの?』
『そりゃ、姉さんも人間社会の事はうといだろうけど、とは言え、ウチら姉妹は互いに有る程度記憶を共有してる。それに人間社会の情報を組み合わせれば、推測は可能だと思う……。例えば、例えば、ウチとその巫女が、ここ何百年か筑後川とその支流の「神」をパシリとして使う事が多かった、なんて事とかは、姉さん達も知ってるだろうし』
『それだけの事で判るの?』
『あと、八百年か九百年前に、あんたの先祖を巫女に選んだ時に、ウチの姉さん達も、あんたの先祖と同じ一族の別の女の子達を巫女に選んだ。その巫女達が、戦乱で、この国のあっちこっちに散らばったのが、ウチら姉妹の今の巫女達の系譜の始まりなのよ』
『で?』
『その頃に出来た、水の神を祀ってる神社が、すぐ、そこに有るでしょ。しかも、あれを作ったのは、あんたの先祖と同じ一族』
『S神宮の事?』
『あの神社、人間の間では、そこそこ有名なんでしょ』
『って事は、S神宮が、瑠璃ちゃんのお姉さん達の巫女さんにとっては、「瑠璃ちゃんの巫女はこの近くに居る可能性が高いですよ」って目印になってた訳ね……』
『うん』
 ああ、つまり、あたしを狙ってる誰かさんには、あたしの情報は、結構、ダダ漏れだった訳ね。
『まぁ、そう云う事……えっと、なに? ウチが悪いの? ……謝った方がいいの? ごめん……でも不可抗力』
 妙にしおらしい感じで姿を消す瑠璃ちゃん。
「おい、本当にどうした?」
 瑠璃ちゃんとの馬鹿話を終えたあたしの目と耳に飛び込んだのは、瀾ちゃんの真剣な顔と、怒ったような口調の声だった。
「え~と、その……」
「まさかと思うけど……例のアレのせいで、何かマズい事でも起きてるのか?」
 はい、瀾ちゃんのおっしゃる通りです。
「いや、何でそう思うの?」
「様子が変なだけじゃなくて、顔、真っ青だぞ」
「まぁ、それは、そうだけど、瀾ちゃんも、何か心配事有るんじゃないの?」
 そう言ってみて、さっき使えるようになった能力で、瀾ちゃんが動揺してるか観てみたけど……あれ? 平常心?
「黙ってても仕方ないから言っておくよ。でも……」
「え?」
 瀾ちゃんはモバイルPCをあたしの方に向けた。
「ええっと、瀾ちゃん……聞くべきか、ちょっと迷うんだけど……」
「何?」
「何で、PCの画面上をガジくん達が駆け回ってるの?」
「判った、ちょっと待って」
 瀾ちゃんが何か操作をすると、画面上を駆け回っていたガジくん達は画面の隅っこで眠りについた。……いや、あたしは、このガジくん達が何なのか聞いたんだけど……。
 ともかく、画面上にはテキストエディタが開いていて、こう書かれていた。

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桜さんに聞かれるとマズい。家を出る前にチェックしたけど、服なんかに盗聴器が仕掛けられている可能性が0じゃないので、声に出さずに読んでくれ。
満さんが死んだ直後ぐらいに、広島県のある暴力団でおかしな動きが起きた。後で判った事だが、大勢で、しかも武装して遠征する準備だったらしい。そして昨日から今日にかけて、その暴力団の事実上のトップと、抗争専門の部隊が福岡県内に入って来た。
問題が2つ有る。
まず最初の問題は、その暴力団の事実上のトップは、代々、母さんや満さんや治水と同じ力を持つ女性らしいって事だ。満さんが死んだタイミングで起きたって事を考えると、奴らの狙いは治水である可能性が無視出来ない。
第2の問題は、もし奴らの狙いが治水でなかったとしても暴力団同士の大規模抗争が起きる。ある暴力団が武装して他の暴力団の縄張りに入ったんだ。他の暴力団にとっては宣戦布告同然だ。この辺りも無事で済む保障は無い。
詳しい事は、これらか教えるけど、ここまでで何か質問が有れば、声に出さずに、ここに書いてくれ。
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 ちょ…ちょ…ちょ…ちょっと待ってよ……。
『瑠璃ちゃん……これホントなの⁇ 暴力団って、どう云う事⁇』
『そう言われても、「暴力団」って言葉は知ってるけど、珊瑚姉さんの巫女の手下どもが「暴力団」なのかは判んない』
『手下って言った⁇ しかも「手下ども」⁇ 複数形⁇』
『うん、姉さんの巫女の手下どもの多くは水妖…俗に言う「河童」みたいね。それ以外にも、普通の人間や、水妖以外の変な力の持ち主も居るみたいだけど』
 とりあえず、深呼吸して、瀾ちゃんへの質問を書き込んだ。

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何で、そんな事を知ってるの?
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 我ながら馬鹿な質問だが、瀾ちゃんの答は、あたしが予想してたより……なんと言うか……とんでも無かった。

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私達の父さんと母さんは、二十数年前に作られた、「悪人狩りをやってる風変わりな犯罪者」達の組織のほぼ最初のメンバーの内の2人だ。
組織の設立者本人じゃないけど、少なくとも最初にスカウトされた10人以内の中には入ってる筈だ。
そして、私は、小さい頃から、父さんの跡継ぎとして育てられた。もっとも、自分でも、才能が有るようには思えないけどな。
あと、母さんが死んだ後、満さんも組織の一員になった。母さんの力を満さんが受け継いだからだ。
私にこの情報を教えてくれたのは、その組織の関係者だ。
教えてくれた理由は、1つは、私の妹に関する事だから。
もう1つは、とんでもない騒ぎが起きて人手が足りなくなる可能性が高いので、見習いの私も駆り出される羽目になったから。治水の身に危険が及んで、かつ、他に方法が無い場合以外は、余計な真似はするな、とは釘を刺されているが。
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 二十数年前って事は、多分「混乱の〇〇ゼロゼロ年代」。あたしが生まれる前だけど、それほど昔って気はしないビミョ~な時期。
 二○○一年の九月十一日にニューヨークで起きたテロで、それまでは都市伝説だと思われていた「異能力者」の存在が普通の人達の知る所となり、しかも、当時のアメリカ合衆国の大統領と副大統領(大統領暗殺後に新たな大統領になったは良いけど、「合衆国最後の大統領」「アメリカを分裂させた男」として歴史に名を残してしまったあの人)が馬鹿な事をしでかしたせいで、アメリカでは第2次南北戦争が起き(この戦争で、かつてのアメリカは無くなり、現在「アメリカ」の俗称で呼ばれている北米連邦が生まれた)、日本の辺りでは第2次朝鮮戦争と極東動乱が勃発、中東やアフリカやロシアでも大きな戦争が次々と起きて、日本を含めた世界中の色んな国で政府機能が麻痺してた頃だ。

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じゃあ、瀾ちゃんは「御当地ヒーロー」って事?
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 自分でも、他に聞く事は有るだろう、と思うけど、何から聞けばいいか判らない。

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見習いだ。流石に、母さんや父方の親類は、私が父さんの跡継ぎになる事については、諦め半分だけど、良くは思ってなかったみたいだ。
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じゃあ、瀾ちゃんも異能力者なの?
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父さんも私も異能力者じゃない。
武器の扱いや格闘術や尾行の方法なんかは、父さん達から教わったけど、この小さい体じゃ、一生頑張っても、父さんほど強くはなれない。
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 いや、ちょっと待ってよ。瀾ちゃんが言ってる事が本当なら、もう一つ気になる事が有る。

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あと、桜姉さんは、その組織のスパイとしてレコンキスタに就職したの?
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偶然みたいだ。多数の無届けの異能力者を含む違法組織の設立メンバーの一人の養女が、偶然にも、母親と姉妹がやってる事を取締るような警察機構に就職したらしい。桜さんも、その事を薄々は知ってたかも知れないが、少なくとも私は、あの人が組織の一員だとは聞いてない。とは言っても、私が、まだ、見習いだから本当の情報を教えてもらってない可能性も否定出来ない。
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無茶苦茶だよ。
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言っただろ、私の家、普通じゃなかったみたいだ、って。
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それは、あたしの家も同じみたいだね。
ところで、警察は、この事を知ってるの? 例えば、桜姉さんが危ない目にあう可能性は高いの?
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十年前の富士の噴火で旧政府が崩壊してから、警察組織間の情報共有はうまくいってないみたいだから、警察の中でも暴力団専門の人達は知ってても、レコンキスタまで情報は伝わってない可能性が高い。けど、ほとんどの暴力団に異能力者が居たり、警察機構の中でもレコンキスタでしか対抗出来ない武装をしてたりするから、桜さんがレコンキスタの中でも実働部隊なら、前線に立たされるのは時間の問題だろうな。残念ながら。
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 瀾ちゃんの顔に浮かんでるのは、「こういう時に、どんな顔したらいいか判らない」って言いたげな困ったような表情だ。
 冗談じゃないよ。下手したら、満姉さんと桜姉さんの葬式を同時にやる事になるの? 勘弁してよ。
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