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第1章:彼女たちの選択
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「やっぱり……護衛か何か雇った方が良くなかったですか……?」
「そんなお金ないよ。王都への旅費だけでカツカツだったじゃない」
昼間だってガラの悪そうな場所が、夜になると、どうなるかは明らかだった。
ボクとお嬢様は、喪服にしか見えない黒いフード付のマント。
まぁ、ここの門が、王宮内で出た死体を運び出す為のモノならふさわしい格好かも知れない。
通りに居る、その手の商売らしい女の人は、逆に、夜でも目立つ派手な色の服。
「おい、2人でいくらだ?」
「やめて下さい。そろそろ帰りましょうよ」
声の主は……酔っ払ってるのが明らかな若い男と、その従者か何からしい別の若い男。
格好からして、ウチより金が有る貴族のドラ息子と言った所か……。
一瞬、誰に言ってるか判んなくて、周囲を見回す。
「お前らだ、そこの2人」
「えっ?」
「へっ?」
指差されたのは……ボクとお嬢様。
「金なら有るぞ、ほれ」
チャリ~ン、チャリ~ン、チャリ~ン。
地面に投げられたのは……王都まで来るのに使った旅費の何倍もの金貨。
「お~い、拾え、立ちんぼども♪」
身振り・手振りで、お嬢様に「駄目」というサイン。
カツカツの貧乏貴族なんで、金貨なんて半月に一度拝めればマシな方だ。
そのせいで、お嬢様の喉から「ゴクリ」と云う音。
「おい、やめろ、向こうは困ってるだろ」
えっ?
男っぽい口調だけど、ボクやお嬢様と同じ位の齢の女の子の声。
「な……何だ……お前ら……?」
男っぽい格好の女の子が3人。
1人は……昼間にボク達をここまで案内してくれた子。ボク達に手を振っている。
1人は、短か目の髪の……言わば「ヤンチャ系」って感じの外見。
もう1人は、癖のある長めの髪を一本結びにした、背は低めで、ある意味で、この3人の中で、一番「美少年」っぽい感じの子。
「ここの辺りを仕切ってるヤクザとでも思ってくれ」
一番、小柄な女の子が……大真面目な表情に、大真面目な口調で、そう答える。
「……はぁ?」
酔っ払いの貴族のドラ息子は……どう反応していいか判らないようだ。
もっとも、ボクとお嬢様も、どう反応していいか判らない。
「私達の縄張りは治安がいいのが売りでな。と言う訳で、タチの悪いチンピラは、とっととお引き取り頂こう。嫌と言うなら力づくだ」
「あ……あ~、お前、大真面目な表情でウケない冗談を言う癖でも有るのか?」
酔っ払いの従者は、これまた反応に困ってるような表情で、そう訊いた。
「良く判ったな」
次の瞬間……その女の子の姿が消えた。
「ぐへっ?」
いつの間にか、酔っ払いの前に現われていた、その女の子は酔っ払いの腹に前蹴り。
「この冗談はウケたかな? おっと……」
その女の子は、酔っ払いの口を手で塞ぐ。
「吐きそうな気分なのは判るが、ここでは吐くな。嫌でも飲み込め。吐いたら、帰るまでに、とんだ大恥をかく事になるぞ」
「やめろ、私が相手だ」
酔っ払いの従者が剣を抜く。
それを見て女の子は酔っ払いの顔から手を放して間合を取り……。
「ぐえっ……」
とうとう酔っ払いが吐い……えっ?
魔法?
酔っ払いの口から出たゲロは……一瞬にして……。
「○×△□⁉」
ボクが仕えてる貧乏貴族の領内にも、魔法使いや呪術師ぐらいは居る。
でも……こんな凄い魔法は見た事が無い。
あと、こんな馬鹿馬鹿しい魔法の無駄使いも……。
酔っ払いの口からは……凍り付いたゲロの柱が伸びていた。
「そんなお金ないよ。王都への旅費だけでカツカツだったじゃない」
昼間だってガラの悪そうな場所が、夜になると、どうなるかは明らかだった。
ボクとお嬢様は、喪服にしか見えない黒いフード付のマント。
まぁ、ここの門が、王宮内で出た死体を運び出す為のモノならふさわしい格好かも知れない。
通りに居る、その手の商売らしい女の人は、逆に、夜でも目立つ派手な色の服。
「おい、2人でいくらだ?」
「やめて下さい。そろそろ帰りましょうよ」
声の主は……酔っ払ってるのが明らかな若い男と、その従者か何からしい別の若い男。
格好からして、ウチより金が有る貴族のドラ息子と言った所か……。
一瞬、誰に言ってるか判んなくて、周囲を見回す。
「お前らだ、そこの2人」
「えっ?」
「へっ?」
指差されたのは……ボクとお嬢様。
「金なら有るぞ、ほれ」
チャリ~ン、チャリ~ン、チャリ~ン。
地面に投げられたのは……王都まで来るのに使った旅費の何倍もの金貨。
「お~い、拾え、立ちんぼども♪」
身振り・手振りで、お嬢様に「駄目」というサイン。
カツカツの貧乏貴族なんで、金貨なんて半月に一度拝めればマシな方だ。
そのせいで、お嬢様の喉から「ゴクリ」と云う音。
「おい、やめろ、向こうは困ってるだろ」
えっ?
男っぽい口調だけど、ボクやお嬢様と同じ位の齢の女の子の声。
「な……何だ……お前ら……?」
男っぽい格好の女の子が3人。
1人は……昼間にボク達をここまで案内してくれた子。ボク達に手を振っている。
1人は、短か目の髪の……言わば「ヤンチャ系」って感じの外見。
もう1人は、癖のある長めの髪を一本結びにした、背は低めで、ある意味で、この3人の中で、一番「美少年」っぽい感じの子。
「ここの辺りを仕切ってるヤクザとでも思ってくれ」
一番、小柄な女の子が……大真面目な表情に、大真面目な口調で、そう答える。
「……はぁ?」
酔っ払いの貴族のドラ息子は……どう反応していいか判らないようだ。
もっとも、ボクとお嬢様も、どう反応していいか判らない。
「私達の縄張りは治安がいいのが売りでな。と言う訳で、タチの悪いチンピラは、とっととお引き取り頂こう。嫌と言うなら力づくだ」
「あ……あ~、お前、大真面目な表情でウケない冗談を言う癖でも有るのか?」
酔っ払いの従者は、これまた反応に困ってるような表情で、そう訊いた。
「良く判ったな」
次の瞬間……その女の子の姿が消えた。
「ぐへっ?」
いつの間にか、酔っ払いの前に現われていた、その女の子は酔っ払いの腹に前蹴り。
「この冗談はウケたかな? おっと……」
その女の子は、酔っ払いの口を手で塞ぐ。
「吐きそうな気分なのは判るが、ここでは吐くな。嫌でも飲み込め。吐いたら、帰るまでに、とんだ大恥をかく事になるぞ」
「やめろ、私が相手だ」
酔っ払いの従者が剣を抜く。
それを見て女の子は酔っ払いの顔から手を放して間合を取り……。
「ぐえっ……」
とうとう酔っ払いが吐い……えっ?
魔法?
酔っ払いの口から出たゲロは……一瞬にして……。
「○×△□⁉」
ボクが仕えてる貧乏貴族の領内にも、魔法使いや呪術師ぐらいは居る。
でも……こんな凄い魔法は見た事が無い。
あと、こんな馬鹿馬鹿しい魔法の無駄使いも……。
酔っ払いの口からは……凍り付いたゲロの柱が伸びていた。
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