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第5章:燃ゆる女の肖像
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草原の民の女の子は、着地した瞬間、上の方を見上げて、いぶかしげな表情になる。
そして、偽王子が連れて来てた歩兵の死体から弩を奪うと……。
「どしたの?」
「あそこに居る鳥みたいなモノが見えるか?」
「え……えっと……鳩か何かじゃ……」
「どこの世界に、ずっと空中の同じ場所に留まり続けてる鳩なんてモノが居る?」
草原の民の女の子が、そう言ったと同時に、弩から矢が放たれ……。
矢が当った途端に、鳥のようなモノは消え去り……矢だけが宙を飛んで……いや……違う……。
やがて、矢は、3階建てぐらいの建物の壁に突き刺さって……。
「な……なに……あれ?」
「魔法使いが使う『使い魔』だったか……」
弩から放たれた矢の途中に……いつの間にか紙のようなモノが有った。
そして、その紙には文字か模様のようなモノが一瞬だけ浮かび上がったかと思うと……ボロボロになって消えていった。
「獣化能力者達は、たしか、『熊おじさん』の後継者を決めるゲームをやっていた筈だったな。隣国の王子を助け出す為に来た者達を一番多く殺した者が優勝という……」
「それが、どうかしたの?」
「多分、あれが……審判役だ」
「へっ?」
「『熊おじさん』の組織に雇われた魔法使い達が、使い魔を通して、後継者候補が殺した兵士の人数を数えてたんだろう」
「な……なるほど……」
「さて……『ゲーム』の参加者じゃなくて審判役を全部倒した場合……この『ゲーム』はどうなる?」
自問自答するようにそう言うと……考え込む草原の民の女の子。
「あ……あのさ……」
「何だ?」
「考えんのに時間かかるなら……ボクの縄を解きながらやってくれない?」
「ああ、そうだったな……」
そう言うと草原の民の女の子は……。
「あ……あれ?」
「どうしたの?」
「て……手が……うまく……動かん……」
「へっ?」
「は……はは……」
「どうしたの……」
「笑わんでくれ」
「何をッ?」
「今頃になって……実感が湧いてきた」
「だから……何のッ?」
「人を殺したのは……初めてだったんでな……」
「いや、普通、キミぐらいの齢で人を殺した事の有る奴なんて、そうそう居ないよッ‼ あと、あれって人?」
「まぁ、人の一種だろう……な……多分」
「あのさ、狼男は人間扱いで、ボク達みたいな白肌人種は醜豚鬼扱い?」
「い……いや……醜豚鬼は肌が白いって話なんで……」
「お……おい……質問が有るんだが……」
その時、聞き覚えの有る声。
「お前達がやったのか? あと、何で、ここに居る?」
声の主は……第2王女の護衛役の女騎士のウシャスさんと……魔法使いのサティさん。
その後ろには……何十人もの兵士達。
「い……一応……この子が……」
「ところで、質問が、もう1つ有る」
「何ですか?」
「王女殿下達が王宮から消えた。お前たちと一緒じゃなかったのか?」
……。
…………。
……………………。
えっ?
そして、偽王子が連れて来てた歩兵の死体から弩を奪うと……。
「どしたの?」
「あそこに居る鳥みたいなモノが見えるか?」
「え……えっと……鳩か何かじゃ……」
「どこの世界に、ずっと空中の同じ場所に留まり続けてる鳩なんてモノが居る?」
草原の民の女の子が、そう言ったと同時に、弩から矢が放たれ……。
矢が当った途端に、鳥のようなモノは消え去り……矢だけが宙を飛んで……いや……違う……。
やがて、矢は、3階建てぐらいの建物の壁に突き刺さって……。
「な……なに……あれ?」
「魔法使いが使う『使い魔』だったか……」
弩から放たれた矢の途中に……いつの間にか紙のようなモノが有った。
そして、その紙には文字か模様のようなモノが一瞬だけ浮かび上がったかと思うと……ボロボロになって消えていった。
「獣化能力者達は、たしか、『熊おじさん』の後継者を決めるゲームをやっていた筈だったな。隣国の王子を助け出す為に来た者達を一番多く殺した者が優勝という……」
「それが、どうかしたの?」
「多分、あれが……審判役だ」
「へっ?」
「『熊おじさん』の組織に雇われた魔法使い達が、使い魔を通して、後継者候補が殺した兵士の人数を数えてたんだろう」
「な……なるほど……」
「さて……『ゲーム』の参加者じゃなくて審判役を全部倒した場合……この『ゲーム』はどうなる?」
自問自答するようにそう言うと……考え込む草原の民の女の子。
「あ……あのさ……」
「何だ?」
「考えんのに時間かかるなら……ボクの縄を解きながらやってくれない?」
「ああ、そうだったな……」
そう言うと草原の民の女の子は……。
「あ……あれ?」
「どうしたの?」
「て……手が……うまく……動かん……」
「へっ?」
「は……はは……」
「どうしたの……」
「笑わんでくれ」
「何をッ?」
「今頃になって……実感が湧いてきた」
「だから……何のッ?」
「人を殺したのは……初めてだったんでな……」
「いや、普通、キミぐらいの齢で人を殺した事の有る奴なんて、そうそう居ないよッ‼ あと、あれって人?」
「まぁ、人の一種だろう……な……多分」
「あのさ、狼男は人間扱いで、ボク達みたいな白肌人種は醜豚鬼扱い?」
「い……いや……醜豚鬼は肌が白いって話なんで……」
「お……おい……質問が有るんだが……」
その時、聞き覚えの有る声。
「お前達がやったのか? あと、何で、ここに居る?」
声の主は……第2王女の護衛役の女騎士のウシャスさんと……魔法使いのサティさん。
その後ろには……何十人もの兵士達。
「い……一応……この子が……」
「ところで、質問が、もう1つ有る」
「何ですか?」
「王女殿下達が王宮から消えた。お前たちと一緒じゃなかったのか?」
……。
…………。
……………………。
えっ?
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