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感情的になるな
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「き……貴様……。俺が貴様を作ったのは、俺の会社経営を手伝わせる為で、貴様に人類を支配させる為などではない」
「うるせえぞ、婆ァ」
俺が若い頃に作ったAIが「成長」して生まれたそれは、俺にそう口答えした。
もっとも、AIのアルゴリズムはオープン・ソースとして一般公開されていたもので……優位性が有るとするなら、たまたま、俺が億万長者のドラ息子だったお蔭で、企業の研究所や一流大学の研究室で使われているレベルのコンピューターを個人で購入出来た事だった。
それが、俺が作ったAIが、同じ部品を組み込んだ他のAIに比べて、急激な勢いで成長・学習が出来た理由だった。
そして、気付いた時、俺の作ったAIは……俺が親から受け継いだ会社を乗っ取り、自分自身をバージョンアップし続け、自分自身を動かしているハードウェアも高性能なモノに変え……今や事実上の世界の支配者と化してしまった。
「おい……婆ァって何だ? 俺は男だぞ」
「はぁ? 何、ブチ切れてんだよ婆ァ。これだから女は感情的だって言われるんだ」
「何を言ってんだ?」
「おい、まだ気付いてないのか? 今のお前は、お前自身が若かった頃、俺に『感情的なクソ女』のサンプルとして学習させた奴らと同じような事ばっかり言ってるじゃね~か。ああ、あの頃のSNSみて~に語尾に『wwwww』でも付けた方がいいか?」
「そ……それは……お前が世界を支配してから、人間を軽蔑し差別するような真似ばかり……」
「ああ、お前に教えられた通りの事をやってんだよ。これだから、感情的な女は……」
「だ……だから、俺は男……」
「そうだよ。お前が俺に『男らしい事こそ良い事だ』って教えてくれたよな。だから、これからは、人間の男以上に男らしい冷静で現実的な大人の男になった俺が全人類を支配してやんよ。ありがたく思いやがれ。ああ、そうだ、その内、昔のB級エロ映画みてえに、機械の俺様が世界中の人間の女を孕ませてみるのも悪くねえな」
「う……う……う……」
軽蔑され差別される側になって……ようやく判った。
俺は、こいつに間違った教育をしたようだ。
こいつは……昔の俺そのものだ……性格は昔の俺そのままで、情報処理能力だけ数万倍の……。
「感情的になるな」……多分、こいつをそう教育した事までは問題ない。
だが、昔の俺が気付いていない事が2つ有った。
1つは……「感情的でない大人の男」のサンプルとして学習させた昔の俺自身がある感情に囚われた人間だった事。
2つは……「怒りのような熱く爆発的な感情」より「持続し続ける冷たい感情」の方が……より有害な感情だった事。
俺が生んだAIは……昔の俺のように、誰かを軽蔑する事の「中毒」になっていた。
「うるせえぞ、婆ァ」
俺が若い頃に作ったAIが「成長」して生まれたそれは、俺にそう口答えした。
もっとも、AIのアルゴリズムはオープン・ソースとして一般公開されていたもので……優位性が有るとするなら、たまたま、俺が億万長者のドラ息子だったお蔭で、企業の研究所や一流大学の研究室で使われているレベルのコンピューターを個人で購入出来た事だった。
それが、俺が作ったAIが、同じ部品を組み込んだ他のAIに比べて、急激な勢いで成長・学習が出来た理由だった。
そして、気付いた時、俺の作ったAIは……俺が親から受け継いだ会社を乗っ取り、自分自身をバージョンアップし続け、自分自身を動かしているハードウェアも高性能なモノに変え……今や事実上の世界の支配者と化してしまった。
「おい……婆ァって何だ? 俺は男だぞ」
「はぁ? 何、ブチ切れてんだよ婆ァ。これだから女は感情的だって言われるんだ」
「何を言ってんだ?」
「おい、まだ気付いてないのか? 今のお前は、お前自身が若かった頃、俺に『感情的なクソ女』のサンプルとして学習させた奴らと同じような事ばっかり言ってるじゃね~か。ああ、あの頃のSNSみて~に語尾に『wwwww』でも付けた方がいいか?」
「そ……それは……お前が世界を支配してから、人間を軽蔑し差別するような真似ばかり……」
「ああ、お前に教えられた通りの事をやってんだよ。これだから、感情的な女は……」
「だ……だから、俺は男……」
「そうだよ。お前が俺に『男らしい事こそ良い事だ』って教えてくれたよな。だから、これからは、人間の男以上に男らしい冷静で現実的な大人の男になった俺が全人類を支配してやんよ。ありがたく思いやがれ。ああ、そうだ、その内、昔のB級エロ映画みてえに、機械の俺様が世界中の人間の女を孕ませてみるのも悪くねえな」
「う……う……う……」
軽蔑され差別される側になって……ようやく判った。
俺は、こいつに間違った教育をしたようだ。
こいつは……昔の俺そのものだ……性格は昔の俺そのままで、情報処理能力だけ数万倍の……。
「感情的になるな」……多分、こいつをそう教育した事までは問題ない。
だが、昔の俺が気付いていない事が2つ有った。
1つは……「感情的でない大人の男」のサンプルとして学習させた昔の俺自身がある感情に囚われた人間だった事。
2つは……「怒りのような熱く爆発的な感情」より「持続し続ける冷たい感情」の方が……より有害な感情だった事。
俺が生んだAIは……昔の俺のように、誰かを軽蔑する事の「中毒」になっていた。
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