魔導兇犬録:闇黒新世界

蓮實長治

文字の大きさ
18 / 20
第二章:The Wailing

(6)

しおりを挟む
 翌日の昼、特に仕事も無いので、「家」で寝てると……「朝霧陽介」を名乗る男に渡された通話機能オンリーの「飛し」の携帯電話に通知音。
『今、家か?』
「ああ……かけ直す」
『待て、メモは取れるか? あと小銭を多めか千円札を持って外に出てくれ』
「ちょっと待て……」
 一端、電話を切り、着替えて、メモ帳とボールペンをシャツのポケットに突っ込み、マンションから出る。
 防犯カメラの無い細めの道に入り、改めて、自称「朝霧陽介」に電話をかけ直した。
『おい、今から言うコンビニのコピー機のネットワークプリント機能を使って……』
 それから十数分後、俺は、自称「朝霧陽介」に指定されたコンビニの一番近い支店に居た。
 コピー機の前では……七〇前後らしい妙に小綺麗な格好の上品そうな爺さんが何かを印刷している。
 良く見ると、競馬新聞か競輪新聞か競艇新聞のようだ。
 最近は、あんなモノもコンビニのコピー機で有料ネット印刷出来るようになっているらしい。
 俺は、その爺さんがコピー機の前を去ると……。
「おい……そこの爺さん、お釣り忘れてるぞ」
「ああ、すいませんね……」
 やれやれと思いながら、「朝霧」から言われた手順通りに、奴がUPしたPDFファイルを印刷。
 「県内の防犯カメラの運用を独占してるセキュリティ企業」の正体がヤクザのフロント企業、と云う冗談みたいな状況のせいで、そのヤクザの事を調べるのにも、アナログだかデジタルだか良く判ねえ手を使うしかねえ。
「何だ……こりゃ……?」
 奴に指定されたPDFファイルをカラー印刷。
 そのPDFファイルに貼り付けられてた写真は……俺が自称「連絡係」と会った焼肉屋の写真。
 いや……だ。
 工事業者らしい連中が店を改装してる最中で……写真の下には『焼肉屋は投入計画の予定が立てられた直後頃にオープン。客が入らないまま、数ヶ月で閉店。代りに大手全国チェーンの居酒屋が入る予定』……そう書かれていた。
 どうなってる?
 どこかの警察機構カイシャのエラいさんが、神政会に情報を流してた……たった、それだけの事で大半の事は説明が付く。
 たった1つの事を除いては……。
 
 よりにもよって……
 訳の判らないまま……コンビニから出る……。
 どこからともなく……軍歌が聞こえる……。
 右翼の街宣車が軍歌を流しながら町中を走り回る日……そう言や……今日は八月十五日だった……。
 そう言や……この軍歌を流してる右翼団体も……多分、神政会の下部組織の可能性が高い。
 東京では……パラリンピックが開催中で、ついでに少し前に有った国会選挙後の臨時国会が行なわれてるらしい。
 広島県内選出の与党国会も東京に居て……靖国神社に参拝に行くつもりらしい。
 当然ながら……この時点で、俺は、翌日に日本が引っくり返るなんて想像もしてなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

処理中です...