20 / 20
第二章:The Wailing
(8)
しおりを挟む
少なくとも、ヤツの言った通り、国内のニュースサイトの大半に繋らなかった。
俺が指定された場所に辿り着くと……。
戦場だった。
その場に居る全員が言い争いに近い口調で何かを話し続けている。
「おお、来たか。よし、お前の担当は、この子供だ。組むのは……いつもの『十両』と、そこの4人。車は好きなのを2台使え。ただし……ワゴンだ」
俺の上司である「阿弥陀様」は、そう言って、俺に書類を渡す。
「何すか、これ?」
そこに印刷されていたのは……子供の写真と、その子供の名前に住所、通ってる学校や塾……そして、書類の最後には、手書きで「第2種特殊倉庫④」の文字。
何者なんだ、この子供……ん?
名字は……「深作」?
妙だ。
俺の故郷の辺りには多い名字だったが……故郷を出てからは、ほとんど見掛けない名字だ。
もちろん、この広島でも見掛けた事が無い。
「広域組対の広島県統括部のエラいさんの子供だ」
「エラいさん……? 東京から来たキャリア組ですか?」
「ああ……」
第2種特殊倉庫とは……この職場では「殺さない事を前提にした監禁場所」の意味だ。
どうやら……「阿弥陀様」は……俺達に警察のエラいさんの家族を誘拐して来い……と言ってるらしい。
「あ……あの……」
俺が、そう訊こうとした途端、「阿弥陀様」は俺を手で制し……続いて両手を何度もパンパンパンっと鳴らす。
「おい、聞け、全員だッ‼ 何の事か判ってない奴が大半だろうから説明する」
獅子吼ってのは、元々は、仏の説法の事だそうだが……「阿弥陀様」はコードネームに相応わしい獅子の吼え声のような大声を出す。
「知ってる奴も居るだろうが、東京でエラい事が起きてる。富士山が噴火して……首都圏にとんでもねえ被害が出たらしい」
……な……何だと?
……お……おい……それじゃあ……。
「広域警察は、今、指揮系統が完全に麻痺してる。予想外のハプニングだが……神政会の本当のボスは、このハプニングを利用して、かねてからの予定を早める事にした」
ま……待て……待ってくれ……何が起きてる?
「今から……世の中を引っくり返す。まずは……神政会本家が腐り切ってる警察を支配下に置いて、今よりマシな警察に作り変える」
おい……まさか……俺が潜入捜査をやる羽目になった、あの切っ掛けの事件……米軍の岩国基地から武器・弾薬を強奪した事件は……警察上層部が考えてたような「隣県のヤクザとの抗争」なんかじゃなくて、遥かにデカくて狂った目的の為だったのか?
俺が指定された場所に辿り着くと……。
戦場だった。
その場に居る全員が言い争いに近い口調で何かを話し続けている。
「おお、来たか。よし、お前の担当は、この子供だ。組むのは……いつもの『十両』と、そこの4人。車は好きなのを2台使え。ただし……ワゴンだ」
俺の上司である「阿弥陀様」は、そう言って、俺に書類を渡す。
「何すか、これ?」
そこに印刷されていたのは……子供の写真と、その子供の名前に住所、通ってる学校や塾……そして、書類の最後には、手書きで「第2種特殊倉庫④」の文字。
何者なんだ、この子供……ん?
名字は……「深作」?
妙だ。
俺の故郷の辺りには多い名字だったが……故郷を出てからは、ほとんど見掛けない名字だ。
もちろん、この広島でも見掛けた事が無い。
「広域組対の広島県統括部のエラいさんの子供だ」
「エラいさん……? 東京から来たキャリア組ですか?」
「ああ……」
第2種特殊倉庫とは……この職場では「殺さない事を前提にした監禁場所」の意味だ。
どうやら……「阿弥陀様」は……俺達に警察のエラいさんの家族を誘拐して来い……と言ってるらしい。
「あ……あの……」
俺が、そう訊こうとした途端、「阿弥陀様」は俺を手で制し……続いて両手を何度もパンパンパンっと鳴らす。
「おい、聞け、全員だッ‼ 何の事か判ってない奴が大半だろうから説明する」
獅子吼ってのは、元々は、仏の説法の事だそうだが……「阿弥陀様」はコードネームに相応わしい獅子の吼え声のような大声を出す。
「知ってる奴も居るだろうが、東京でエラい事が起きてる。富士山が噴火して……首都圏にとんでもねえ被害が出たらしい」
……な……何だと?
……お……おい……それじゃあ……。
「広域警察は、今、指揮系統が完全に麻痺してる。予想外のハプニングだが……神政会の本当のボスは、このハプニングを利用して、かねてからの予定を早める事にした」
ま……待て……待ってくれ……何が起きてる?
「今から……世の中を引っくり返す。まずは……神政会本家が腐り切ってる警察を支配下に置いて、今よりマシな警察に作り変える」
おい……まさか……俺が潜入捜査をやる羽目になった、あの切っ掛けの事件……米軍の岩国基地から武器・弾薬を強奪した事件は……警察上層部が考えてたような「隣県のヤクザとの抗争」なんかじゃなくて、遥かにデカくて狂った目的の為だったのか?
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
日露戦争の真実
蔵屋
歴史・時代
私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。
日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。
日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。
帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。
日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。
ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。
ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。
深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。
この物語の始まりです。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる