魔導兇犬録:哀しき獣

蓮實長治

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第一章:悪いやつら

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 冗談じゃねえが……標的マトはデカい。
「死ねえ、ボケエッ‼」
 機械に「死ね」も何も無いが……こう云う時に、他にどう言えばいいかイマイチ判らねえ。
 俺はロボットを銃撃し……。
 いくつかロボットの体に穴が開くが、そもそも痛みも感じなければ、ロボットの体を貫いた銃弾が、動力用や制御用の電線を何本かブチ切るのに成功したとしても……予備の電線が何系統か有った筈。
「な……なぁ……物理効果の有る術って……」
「すいません、こんなのをスクラップに出来るようなのは……」
 困った事に、物理効果の有る「魔法」は効率がクソ悪い。
 例えば「熱を生み出す」魔法なら、人1人呪殺出来るほどの「力」を消費して、ようやく煙草や蝋燭に点火出来る程度の熱を発生させる事が可能だ。
 当然ながら、誰もそんなモノは学ばず……結果として、攻撃系の「魔法」の大半は対生物・対霊体特化型と化してしまった。
 そして、「使い魔」で偵察を行なう場合も、生物に憑依させるタイプじゃないと、物理的な感覚は無い。当然ながら「気配」の無い機械は見落してしまう。
「じゃあ、あんたが銃撃で、こいつを足止めしといてくれ。俺が中の連中を呪殺する」
「で……でも……使い方が良く」
「やれッ‼ やるんだッ‼ お前なら出来るッ‼ 何も考えずに引き金を引けッ‼」
 そう言って、俺は土御門充晃(リングネーム)に拳銃を投げ渡し、二体の「使い魔」を召喚。
 物理的実体の無い「使い魔」達は、ロボットや壁やドアを透過し、ヤクザの事務所内に侵入し……。
 ん?
 たしかに、「気」「霊力」を自分の意志で操る為の訓練をしたような奴ら特有の「パターン」は無いねえ
 しかし……どこかで覚えが有る「気」……。
 おい、ちょっと待て、何だ、この馬鹿デカい「気」は?
 下手な「魔法結社」の総帥クラス数人分の「気」の量だ。
 だが……それでも……格闘技で喩えるなら「体はクソみたいにデカいが、技術は全然学んでない」タイプだ。
 やって、やれない事は……ん?
 ぐわッ⁉
 嫌な感触。
 これまた格闘技で喩えるなら……子供が筋肉ゴリラを思い切り撲ったら、ゴリラにはダメージは無く、撲った子供が拳を痛めたような感じだ。
 使い魔どもと同調してた意識が現実に戻り……。
 あっ……。
 土御門充晃(リングネーム)は……拳銃を落としてうずくまっている。
 ああ、やっちまった。
 北米連邦アメリカの映画でたまに有るアレだ。
 拳銃を使い慣れてねえ奴がオートマ式の拳銃を使うと……排莢の時のスライドで自分の手を怪我しちまう、ってアレ。
 穴がいくつか空いてるが、それでも動き続けてるロボットが土御門充晃(リングネーム)の頭に銃を突き付け……。
「何でえ、一体?」
 おい……鹿児島の暴力団じゃなかったのかよ?
 こいつが居るのは……鹿児島とは逆方向だろうがッ⁉
 な……何で……「『気』の量がデカ過ぎてマトモな『魔法』が効かない」と噂されてるこいつが……ここに居る?
 そ……それと……「薩摩隼人の『はやと』の語源は『吠え人』」って話と……こいつらの「気」に覚えが有ったのは……このせいか……。
 ヤクザの事務所の中から出て来たのは……獣人系の異能力者では日本最強……東アジアでもベスト3入りは確実と噂される奴だった。
 福岡県の暴力団「安徳グループ」の武闘派筆頭「久留米の銀の狼」こと……久米銀河……。
 そして……その後ろには……この前ブチのめした「『飛ばし』の携帯電話ケータイ屋」で出会でくわしたのと同じ「半端に人間っぽい狼男もどき」どもが何人か居やがった。
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